ぷるーとさん
レビュアー:
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今となっては、妙に現実味がある、ちょっと不気味な物語。
上下巻合わせての書評です。
9人の北朝鮮の武装コマンドが、開発ゲーム中の福岡ドームを占拠した。さらに2時間後には約500名の特殊部隊が来襲し、福岡市中心部を制圧してしまう。反乱分子を名乗るこれらの武装部隊の行動は、北朝鮮が日本から九州を奪い取るために綿密に計画されたもので、コード名は「半島を出よ」だった。
想定された時は、2011年。経済は行き詰まり、日本はすでにアメリカから見放されている。相次ぐインフレ、預金封鎖。そういった状況の中で、九州をのっとろうと北朝鮮が動き出す。
もちろん、今の日本は、まだ世界から見捨てられてはいない。だが、自給率のあまりの低さを政治家たちはまったく危惧していない。金があるのだから、何もかも輸入すればいいと思っている。そうすることで、輸出国も潤うではないかと。だが、資源がどんどん枯渇し自然が崩壊していく中で、自給率の低さは致命傷となるのではないか。 世界的な非常事態となったとき、他国に気を回してくれるお人よしの国があるのか。村上龍の日本の未来に対する危惧は、まずここから始まる。
さらに不安を感じるのは、日本の危機管理体制の甘さ、不透明さ、不完全さだ。何かあったときに、日本という国は国民のために素早く的確な対応ができるのか。おそらく答えはNO。「だって、今までも何もなかったじゃないか」とのほほんとしている政治家たちの姿が『半島を出よ』に描かれているが、もしかしたら実態はもっとお粗末かもしれない。
『半島を出よ』で福岡を北朝鮮の武装部隊から解放するのは、自衛隊でも、日本の特殊工作部隊でも、アメリカの特殊部隊でもない。そういった部隊にはいざと言うときのための準備など何もできていないと作者は考えているからだ。
だが、この作品で活躍したような少年たちがどこかにいるのかというと、それももちろんNOだろう。だからこそ、ちゃんと考えて欲しいと、作者は言っているのだ。たかが想像上の思いつき、そんなこと実際に起きるわけがないというけれど、9.11は起こったではないか。
あまりにも他国に頼りすぎている日本の危うさ。経済的な面でも、有事の緊急対応でも、その弱点があまりにもはっきりとしている。そんな危うい状態に私たちはいる。
9人の北朝鮮の武装コマンドが、開発ゲーム中の福岡ドームを占拠した。さらに2時間後には約500名の特殊部隊が来襲し、福岡市中心部を制圧してしまう。反乱分子を名乗るこれらの武装部隊の行動は、北朝鮮が日本から九州を奪い取るために綿密に計画されたもので、コード名は「半島を出よ」だった。
想定された時は、2011年。経済は行き詰まり、日本はすでにアメリカから見放されている。相次ぐインフレ、預金封鎖。そういった状況の中で、九州をのっとろうと北朝鮮が動き出す。
もちろん、今の日本は、まだ世界から見捨てられてはいない。だが、自給率のあまりの低さを政治家たちはまったく危惧していない。金があるのだから、何もかも輸入すればいいと思っている。そうすることで、輸出国も潤うではないかと。だが、資源がどんどん枯渇し自然が崩壊していく中で、自給率の低さは致命傷となるのではないか。 世界的な非常事態となったとき、他国に気を回してくれるお人よしの国があるのか。村上龍の日本の未来に対する危惧は、まずここから始まる。
さらに不安を感じるのは、日本の危機管理体制の甘さ、不透明さ、不完全さだ。何かあったときに、日本という国は国民のために素早く的確な対応ができるのか。おそらく答えはNO。「だって、今までも何もなかったじゃないか」とのほほんとしている政治家たちの姿が『半島を出よ』に描かれているが、もしかしたら実態はもっとお粗末かもしれない。
『半島を出よ』で福岡を北朝鮮の武装部隊から解放するのは、自衛隊でも、日本の特殊工作部隊でも、アメリカの特殊部隊でもない。そういった部隊にはいざと言うときのための準備など何もできていないと作者は考えているからだ。
だが、この作品で活躍したような少年たちがどこかにいるのかというと、それももちろんNOだろう。だからこそ、ちゃんと考えて欲しいと、作者は言っているのだ。たかが想像上の思いつき、そんなこと実際に起きるわけがないというけれど、9.11は起こったではないか。
あまりにも他国に頼りすぎている日本の危うさ。経済的な面でも、有事の緊急対応でも、その弱点があまりにもはっきりとしている。そんな危うい状態に私たちはいる。
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ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
よろしくお願いします。
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- 出版社:幻冬舎
- ページ数:591
- ISBN:9784344410015
- 発売日:2007年08月01日
- 価格:800円
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