書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

かもめ通信
レビュアー:
こちらかもめ、ただいま“イングランド本島とノルウェーを橋渡しするかのように北海の北辺に浮かぶ”シェトランド諸島上空を飛行中、しばらくこのあたりからの通信が続く予定。
長く厳しい冬を過ごした後に北国で迎える夏は、
本当に体内時計を狂わせる。

例えば3時半過ぎには日の出を迎える今の時期
しっかり遮光しているつもりなのに
どういうわけか早々と目が覚めてしまうし、
16時前に暗くなる冬場と違って
いつまでも明るいものだから
ついつい夕食の支度が遅くなってしまう。

そんなことをつらつらと考えたのは
この本を読んだから。

ロンドンから北へ960キロ。
イングランド本島とノルウェーを橋渡しするかのように、
北海の北辺に浮かぶシェトランド諸島を舞台に繰り広げられる
イギリスのミステリー作家、アン・クリーブスの「シェトランド四重奏」第2弾。

シリーズ第1作の 『大鴉の啼く冬』が風雪の吹きすさぶ
陰鬱な季節だったのに対して、
今回は観光客で賑わう白夜の夏のシェトランドが舞台なのだ。

真夜中の太陽が地表を照らす白夜の季節。
夜中でも夕暮れ時の暗さにしかならない土地では、
「誰もがすこし頭がおかしくなる。」と
前作に引き続き主役をはるペレス警部が考えるシーンを読んで、
白夜の経験はないながら、
北国の短い夏のあれこれを思い浮かべて、
私は思わず納得してしまうというわけだ。


物語はシェトランド諸島を訪れていたひとりの男が
道化師の仮面を付けた首つり死体となって発見される事件で幕をあける。

前作同様、怪しげな人物を配しながらも、
次第に明らかになるあれこれで、
誰もが謎めいて見えてくるストーリー運びはなかなかのもの。

そしてまた、ミステリ以上に読み応えがあるのが、
美しく厳しい北国の自然と、小さな地域社会に生きる人々の人間模様だ。

前回の事件をきっかけに
急速に接近しつつあるシェトランド出身のペレス警部と
離婚後もシェトランドに住み続けることを決めた都会育ちの画家フランに
殺人事件の捜査のために前回同様イギリス本土から出向してきた
シェトランドが苦手なテイラー警部を含め
三人三様の島とそこに暮らす人々との関わり方にも
かつて北国の田舎に移住してきた私としては大いに関心のあるところでもあった。

それにしても……
読み終えてみれば
そこここにヒントがあったことに納得をするものの、
読んでいる最中は真犯人が全くわからなかったことがちょっと悔しい。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2238 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

読んで楽しい:7票
参考になる:30票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. yuko2018-07-04 21:25

    このシリーズ、大好きです!書評あげられる状態でないのが残念・・・

  2. かもめ通信2018-07-04 21:31

    うんうんきっとyukoさん好みだろうと思っていました!私とお揃い♡
    実はこのシリーズ1作目だけレビューを書いて、後は読んでも書いていなかったり、もったいないから(?)と積んだままだったりで…(汗)
    献本にあたったのを機に再読を含めいっき読みしているのですが……果たして〆切に間に合うのか?!(滝汗)

  3. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『白夜に惑う夏』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ