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はるほん
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だんご三兄弟 ~基本のカラ兄
村上春樹氏によると、世の中には2種類の人間がいるという。
『カラマーゾフの兄弟』を読破した者と、読破していない者だ。(確かに)

翻訳作品をあまり読まない自分だが
地下室の手記を読んだイキオイ、いつかカラ兄をという野望を灯した──のが5年前。
私の野望は低燃費・長持ちなのが自慢だ。

折角上中下巻もあるので、3視点でこの文学作品を語りたい。
①カラ兄とは ②読んでない人向け ③読んだ人向け
という訳で、今回は基本のカラ兄である。



カラ兄とは。
一口で言えば「親殺し」推理小説である。
が、盛り込まれた伏線は超メガ盛つゆだくネギ増し増しである。
通常なら選考委員に「要素が多過ぎです。読者に何を伝えたいのか考えましょう」
とでも言われそうなトコロを世界文学にしてしまうあたり、
ドストさんまじパネぇす。

更にややこしいのはストーリーだけではない。
登場人物の名前がまた曲者なのだ。
ペットに多くの名をつけてはいかんという鉄則を無視し、
ページごとに人物の呼び名が違う。
オマケに似た名前のモブという伏兵までいるから、始末に負えない。

翻訳作品オンチの自分なんぞ、5ページで脱落する案件である。
──が、読破したのである。
これらの登場人物全員がシェイクスピアの主人公バリに
ベラベラベラベラベラと自分語りをブチかますのが
たまらなくウザいのに面白い。
しかもなんだかアレに似ている。そう、アレ。

♪弟おもいの長男、兄さんおもいの三男、自分が一番二男、だんご3兄弟

ケチで女好きで、お調子者の父から生まれた三兄弟。
長男も女好き、後先考えないおサルさん。
真ん中はちょっと変わった子になるという俗説通り、
次男はインテリ、若干扱いにくい中二。
三男は何の反動か、天使のごとき素直なカワイコちゃん。

発端は遺産分けすら渋る父と長男が、同じ女に惚れたことだ。
♪ある日親子がケンカ、お金の事でケンカ、すきまのあいただんご

でもすぐに仲直り
…とはいかない。
似た者同士の父と長男、ガサツな長男と繊細な次男、
またそんな父と次男も相性が良いハズもなく、
だんごはアンコとしょうゆダレ、鶏肉をブッ刺したように交じり合わない。
穢れなき白玉の三男だけが、皆の調和を保っている。

ココで事件勃発である。
ケチの父が殺されてしまうのだ。
ソレもどー考えても長男が殺したとしか思えない状況で。
無罪を訴える長男の真実や、いかに!


──が、簡易バージョンの大筋だ。
コレで簡易なのである。
一見推理小説と見えたストーリーには恋愛要素に宗教要素、
心理学にロシアの歴史風土が、まさにだんごになっている──
♪だんご だんご だんご だんご だんごカラ兄弟

次は串から外したそれぞれのだんごに迫りたい。
だんご!
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はるほん
はるほん さん本が好き!1級(書評数:684 件)

歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。

年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。

秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。

2018.8.21

読んで楽しい:26票
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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2018-09-21 09:04

    私は「読破していない者」です。まあ読破する気もないんですがw

  2. はるほん2018-09-21 09:18

    >風竜胆さん
    「読破した者」になりました!\(^o^)/

    でもまあここに来てると有名本なんかは読んだ気になるので(笑)
    読まなくても支障ないんですけどねえ。
    「本読みの性」にまんまとハマった感はありまする。はは!

  3. ef2018-09-22 06:05

    ご指摘のとおり、ロシアのこの時代の小説って、名前がアカンですよね。
    誰が誰だか……の苦行を味わわなければなりません。
    ま、あ。あちらの方には何の苦もなく分かることなのでしょうけれど。

  4. はるほん2018-09-22 07:50

    >efさん
    そう!イワンの呼び名が時々ワーネチカも大概だけど
    グルーシェニカの名前がアグラフェーナってもう別人やん!
    と何度ツッコんだことか!!!
    日本だと太郎をたーちゃん、たろっち、たろぴーと呼ぶ感覚…?
    イヤ変身率が高すぎる…!

  5. No Image

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