DBさん
レビュアー:
▼
動物たちへの愛にあふれた話
子供の頃にシートン動物記を読んだことがあるが、ロボの姿はずっと胸に残っていました。
草原におおわれたコランポーでは牧畜をしていたが、最上の雌牛を狙う狼の群れがいた。
群れはわずか5頭と小さかったが、5頭の狼たちはいずれも平均より大きく力も強い精鋭部隊だった。
中でもリーダーのロボはひときわ大きく賢くて、どんなに罠や毒餌を仕掛けても見破るという。
鉄砲の脅威を正確に知っていて人間には近寄らないものの、夜となれば狙った獲物は必ず仕留め、面白半分に羊の群れを全滅させることもしばしばだった。
あまりの被害に牧場主たちはロボの首に賞金を懸け、シートンとロボの知恵比べがはじまります。
愛する妻ブランカを失ったロボの傷心につけこんでロボを生け捕りすることに成功するが、ロボは自分の領土だったコランポーを遠くに見ながら死んでいった。
シートンの哀惜の念が伝わってくるから胸に残るのだろう。
続いて灰色グマのワーブが主人公の話です。
小熊の頃に母熊と三匹の兄弟熊を撃ち殺され、1人で学び成長しなければならなかったワーブは気難しい熊になっていた。
小熊の頃はコヨーテに追いかけられ黒クマにいじめられていたが、成長するにつれてワーブは誰からも一目置かれる存在となり広い縄張りを持つようになっていた。
大熊となって銃を持つ人間以外は敵なしの状態、銃を持っていても反撃にあって殺された人間もいる。
孤高の存在として君臨し敵とみなした相手は叩き潰すのがワーブのやり方だったが、夏の間に国立公園の中の餌場では「おとなしい大熊」として通っていたのが面白い。
壮年時代も過ぎ去り、目がかすみ体のあちこちに痛みを抱えるようになって、ずる賢い顔に白い斑点のある顔白グマの策略にはまってしまう。
ワーブの眠りに安らぎがあるようにと願わずにいられない。
「カンガルーネズミ」はシートンがコランポー河の住まいの周りで動物の足跡を観察していた時の話だ。
妖精が月光にうかれて踊ったかのような足跡の主を捕まえてみると、それは清く澄んだ大きな美しい目をしたカンガルーネズミだった。
この小さな妖精をブリキの入れ物で飼って観察しながら、地面に掘られた巣を丁寧に掘り起こしていきます。
アリの巣のように複雑な構造になっている巣や、夜中に小鳥のように鳴くという生態を紹介してあった。
カンガルーネズミの脱走で話は終わるが、コランポー河のほとりの妖精の姿が目に浮かぶような話だった。
最後の話は猟師のヤンを主人公に巨大な角を持つ雄ジカを追う「サンドヒルの雄ジカ」です。
ヤンとシカの知恵比べのような追走劇は鹿の賢さがよくわかる。
雪の中を何日もかけて追いつめた雄ジカと見つめ合ったとき、ヤンは銃を下ろして心の中で雄ジカに呼びかける。
純粋な美への賛美であり、自由に走り回るシカを弟のように慈しむ物だと思ったヤンの姿がシートンと重なった。
草原におおわれたコランポーでは牧畜をしていたが、最上の雌牛を狙う狼の群れがいた。
群れはわずか5頭と小さかったが、5頭の狼たちはいずれも平均より大きく力も強い精鋭部隊だった。
中でもリーダーのロボはひときわ大きく賢くて、どんなに罠や毒餌を仕掛けても見破るという。
鉄砲の脅威を正確に知っていて人間には近寄らないものの、夜となれば狙った獲物は必ず仕留め、面白半分に羊の群れを全滅させることもしばしばだった。
あまりの被害に牧場主たちはロボの首に賞金を懸け、シートンとロボの知恵比べがはじまります。
愛する妻ブランカを失ったロボの傷心につけこんでロボを生け捕りすることに成功するが、ロボは自分の領土だったコランポーを遠くに見ながら死んでいった。
シートンの哀惜の念が伝わってくるから胸に残るのだろう。
続いて灰色グマのワーブが主人公の話です。
小熊の頃に母熊と三匹の兄弟熊を撃ち殺され、1人で学び成長しなければならなかったワーブは気難しい熊になっていた。
小熊の頃はコヨーテに追いかけられ黒クマにいじめられていたが、成長するにつれてワーブは誰からも一目置かれる存在となり広い縄張りを持つようになっていた。
大熊となって銃を持つ人間以外は敵なしの状態、銃を持っていても反撃にあって殺された人間もいる。
孤高の存在として君臨し敵とみなした相手は叩き潰すのがワーブのやり方だったが、夏の間に国立公園の中の餌場では「おとなしい大熊」として通っていたのが面白い。
壮年時代も過ぎ去り、目がかすみ体のあちこちに痛みを抱えるようになって、ずる賢い顔に白い斑点のある顔白グマの策略にはまってしまう。
ワーブの眠りに安らぎがあるようにと願わずにいられない。
「カンガルーネズミ」はシートンがコランポー河の住まいの周りで動物の足跡を観察していた時の話だ。
妖精が月光にうかれて踊ったかのような足跡の主を捕まえてみると、それは清く澄んだ大きな美しい目をしたカンガルーネズミだった。
この小さな妖精をブリキの入れ物で飼って観察しながら、地面に掘られた巣を丁寧に掘り起こしていきます。
アリの巣のように複雑な構造になっている巣や、夜中に小鳥のように鳴くという生態を紹介してあった。
カンガルーネズミの脱走で話は終わるが、コランポー河のほとりの妖精の姿が目に浮かぶような話だった。
最後の話は猟師のヤンを主人公に巨大な角を持つ雄ジカを追う「サンドヒルの雄ジカ」です。
ヤンとシカの知恵比べのような追走劇は鹿の賢さがよくわかる。
雪の中を何日もかけて追いつめた雄ジカと見つめ合ったとき、ヤンは銃を下ろして心の中で雄ジカに呼びかける。
純粋な美への賛美であり、自由に走り回るシカを弟のように慈しむ物だと思ったヤンの姿がシートンと重なった。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
この書評へのコメント
 - コメントするには、ログインしてください。 
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:集英社
- ページ数:272
- ISBN:9784087605563
- 発売日:2008年06月26日
- 価格:450円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。








 
 













