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DBさん
DB
レビュアー:
もつれた事件の解き方の話
『クリスマスのフロスト』が面白かったので、続きを読んでみました。
前作で名誉の負傷と引き換えに犯人を逮捕して事件を解決したフロストですが、デントン警察でのフロストの立場はかわらない。
マレット署長と真面目なアレン警部から見ればフロストは頭痛の種だったが、ジョージ十字勲章をもらっているフロストは簡単に追い出せない男だった。
書類仕事と規則と規律が大嫌いなフロストと、出世が一番のマレット署長の微妙な関係は続いています。

だがフロストのパートナーは前作の新米刑事クライヴからウェブスター巡査にかわっています。
フロストに「坊や」と呼ばれるのは前任者と同じだが、ウェブスターはもともと警部だったのが暴行事件を引き起こして降格のうえデントン警察署に送られてしまったという曰く付きの人物だ。
だがそんな経歴を気にするようなフロスト警部ではない。
ちゃんとウェブスターをこき使いながらも、拳を治めることの大切さを教えていきます。

デントン警察署は相変わらず事件に見舞われていて、森の中では婦女暴行魔が獲物を求めて徘徊し、公衆トイレでは浮浪者が死体となっている。
さらにひき逃げ事件で使われた車がある議員のドラ息子だったり、闇金を営む老婆からフロリン金貨盗難の訴えが出たり、質屋に強盗が入ったりストリップバーの売り上げが奪われたりと次々に未解決事件が増えていく。
手がかりを求めているのか新たな事件を求めているのかもわからない様子でフロストはデントンの町を走り回ります。
それにもれなく付き合わされる若いウェブスターの方が、睡眠とちょっとした恋愛のための時間を求めて音をあげそうになるほどのワーカホリックぶりだ。

まったく筋違いの線をたどってしまったり、おとり捜査を断行して見事に失敗したりとミスもあるが捜査そのものは悪くない。
目の付け所がいいのだろうが、ほんの少しの違和感を見逃さないでそれを追いかけた結果、追いかけている事件が解決することもあれば違う事件の糸口となることもあり。
フロスト警部に書類整理用の秘書をつけて、本人は好きなように町を徘徊させておけばデントンは平和になるんじゃないかな。
複雑に絡み合い重なる事件の輪も一つが解ければ次々に解決していくのは前作と同じだった。
一昔前の話らしくどこででもタバコを吸い放送禁止用語連発のフロスト警部ですが、時代を経ても光る個性の魅力があるのだろう。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2049 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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