書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

DBさん
DB
レビュアー:
ケルト神話の伝説の地の本
アイルランドといえば真っ先に思い浮かぶのはギネス。
パブでギネスを飲みながらケルト音楽を聴いていればすでに気分はアイルランドだ。
アイルランドにはエーリウという名の大地母神がいて、そこからエリンというアイルランドの異名が生まれたという。
北部のアルスター、東部のレンスター、南部のマンスター、西部のコナハト、そしてタラの丘を抱えるミースの五カ国に分かれ、タラが五カ国を統べるハイ・キングの座所だった。

そのタラの丘から今回の旅は始まります。
ハイ・キングの称号を拝受する時、新王は「リア・ファール」と呼ばれる運命の石の上に立つ。
その人物がハイ・キングに相応しい人物なら石が雄たけびを上げ、そうでなければ沈黙を守るという。
そう聞けば四角い石かと思ってみたら、一メートルほどの先端が丸い縦長の石で上に立つのはバランス感覚が必要そう。
この運命の石の伝来はダーナ神族にまでさかのぼるそうで、タラとボイン川の名所を紹介しながらアイルランドの辿ってきた歴史を解説していきます。

ダブリンのキルデアストリートにある博物館には、有名なタラのブローチが展示されている。
そしてグレンダロッホの修道院、キルデアの聖ブリジッド大聖堂、ムーンのハイクロスとカールスダーモットのハイクロスとケルト教会の名所を巡っていきます。
エリス・ピーターズの修道女フィデルマシリーズに出てくる場所が随所にちりばめられていて楽しめた。

マンスターにもたくさんの見どころがあるようですが、一番行ってみたいのは古都カシェルの山の上にそびえるロック・オブ・カシェルだ。
著者によればカシェルの城は遠くから眺めるのが一番だそう。
絶海の孤島スケリグ・マイケルへ渡った時の話も出てきます。
聖フィナンによって建てられた修道院だそうですが、遺跡保護のために上陸人数を制限している上にお天気によって島に渡れない日もあるらしく、訪れることができればラッキーだとか。

コナハトではケルト文化が息づく島をキャッチフレーズにしたアラン諸島をめぐり、コナハト王国の都クルーアハンの面影をしのぶラス・クローハンの丘へ。
アルスター説話群に登場する女王メイヴとクーフリンの物語の舞台となった地だ。
オウェイナガートの洞窟は医会への入り口で、洞窟の奥は戦いの女神モリガンの治める領域だそう。
カロウモア古墳群にはメイヴの墓やカロウモア・ドルメンがあり、古代ケルトの伝説が色濃く残っているのが伝わってくる。
神話とフィデルマの世界に浸れた紀行文でした。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:3票
参考になる:24票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『アイルランド「ケルト」紀行』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ