はるほんさん
レビュアー:
▼
ホントはちょっとカッコ悪い戦国合戦。
一口にいうと、戦国時代の武具・武器や戦い方の図説。
刀や馬に載せる鞍などの各部名称がキチンと書かれており、
歴史スキーも自己満足の1冊なのだが、
時代考証的な合戦ネタも含んでおり、なかなかに楽しい。
テレビの時代劇などは、そもそもがフィクションだ。
例えば江戸の女性が鉄漿(おはぐろ)をしていたからといって
忠実にやったら子供が泣き出すだろう。
実際数年前、NHKの「平清盛」で画面が汚い発言があった。
テレビや映画は、あくまで娯楽なのだ。
本書は①日本刀②合戦③槍と弓④大砲と火縄銃
⑤戦場での目印・音⑥首実検と切腹⑦女武者と船戦 …の全7章。
これらで見えてくる「実際の合戦」が面白い。
例えば。
鬨の声と共に敵陣へ飛び込んだ武将が
袈裟懸けに刀を振り下ろすと、敵方が血飛沫をあげて倒れる──
いかにも時代劇であるあるな見せ場だが、
あ り ま せ ん 。
実際のところ、合戦で刀メインで戦う武将はいない。
そもそもあの防御力の高いヨロイを切るなど、
よほどの剛の者か斬鉄剣でもないと無理だろう。
じゃあどーやって戦うのかと言うと
ヨロイの隙間を狙ってえいやっと突き刺すのである。
割とコスいカンジである。
少なくともテレビの見せ場としては、残念なカンジだ。
突くなら槍の方が適しているし、
そもそも弓と言う飛び道具があるのだから、そっちを使えばいい。
実際、戦場では槍や弓による死傷者が高く、
刀による者は多くないのだそうだ。
だが絵的に刀がカッコイイから、刀を使うのだ。
例えば。
馬上で切り結ぶなんて、それどんなシルクドソレイユですかって話である。
実際は組討ちと言って、馬から相手を引きずり落とし
地上で組み伏せて小刀でトドメを差すのが通常だ。
槍も実は突くより、上から叩いた方が相手を攻めやすい。
三間槍と言って、6メートルを超す長槍もあった。
そんなモン出てきたらお茶の間で吹いてしまうので
テレビではカッコイイ長さにカットされているのだと思われ。(笑)
例えば。
「出陣じゃーー!」と言う声と共に、颯爽と進む軍勢。
…とコレも出発するまでにこまごまとした儀式があるのだが、
面倒くさいのか余りテレビではお目見えしない。
将は戦う前に栗を食ったり昆布を噛んだりせねばならず、忙しい。
キンチョーしてステンと落馬したりしたら、やり直し。
が、落馬にも右から落ちるのと左から落ちるのでは吉凶があるのだそうだ。
将のプレッシャーぱねぇ。
例えば。
死屍累々の戦場──、寝そべるエキストラの皆さん。
これを史実に沿ったら、首なしの身体がゴロゴロ転がり、
その首を腰や槍につけ、歩き回る武将まで再現しなくてはならない。
時代劇が一気にR15になってしまう。
またこの討ち取った首級の形相にも、吉凶があったとか。
縁起のいい生首ってどんなの。
…などなど、別に時代劇のあげ足を取る訳ではなく、
娯楽としての努力が伺われて、面白いのだ。
逆に刀ではなく、弓や槍を用いた合戦などを見ると
おおー!時代考証さん頑張ってんな!!と楽しくなったり。
ちなみに刀を抜いたときのチャキン★という音は、本来鳴らない。
鳴ったとしたら、それは目釘の緩んだ整備不良の刀である。
合戦の活躍シーンの形式美に
一人コッソリほくそ笑む為の1冊。(それもどうよ)
刀や馬に載せる鞍などの各部名称がキチンと書かれており、
歴史スキーも自己満足の1冊なのだが、
時代考証的な合戦ネタも含んでおり、なかなかに楽しい。
テレビの時代劇などは、そもそもがフィクションだ。
例えば江戸の女性が鉄漿(おはぐろ)をしていたからといって
忠実にやったら子供が泣き出すだろう。
実際数年前、NHKの「平清盛」で画面が汚い発言があった。
テレビや映画は、あくまで娯楽なのだ。
本書は①日本刀②合戦③槍と弓④大砲と火縄銃
⑤戦場での目印・音⑥首実検と切腹⑦女武者と船戦 …の全7章。
これらで見えてくる「実際の合戦」が面白い。
例えば。
鬨の声と共に敵陣へ飛び込んだ武将が
袈裟懸けに刀を振り下ろすと、敵方が血飛沫をあげて倒れる──
いかにも時代劇であるあるな見せ場だが、
あ り ま せ ん 。
実際のところ、合戦で刀メインで戦う武将はいない。
そもそもあの防御力の高いヨロイを切るなど、
よほどの剛の者か斬鉄剣でもないと無理だろう。
じゃあどーやって戦うのかと言うと
ヨロイの隙間を狙ってえいやっと突き刺すのである。
割とコスいカンジである。
少なくともテレビの見せ場としては、残念なカンジだ。
突くなら槍の方が適しているし、
そもそも弓と言う飛び道具があるのだから、そっちを使えばいい。
実際、戦場では槍や弓による死傷者が高く、
刀による者は多くないのだそうだ。
だが絵的に刀がカッコイイから、刀を使うのだ。
例えば。
馬上で切り結ぶなんて、それどんなシルクドソレイユですかって話である。
実際は組討ちと言って、馬から相手を引きずり落とし
地上で組み伏せて小刀でトドメを差すのが通常だ。
槍も実は突くより、上から叩いた方が相手を攻めやすい。
三間槍と言って、6メートルを超す長槍もあった。
そんなモン出てきたらお茶の間で吹いてしまうので
テレビではカッコイイ長さにカットされているのだと思われ。(笑)
例えば。
「出陣じゃーー!」と言う声と共に、颯爽と進む軍勢。
…とコレも出発するまでにこまごまとした儀式があるのだが、
面倒くさいのか余りテレビではお目見えしない。
将は戦う前に栗を食ったり昆布を噛んだりせねばならず、忙しい。
キンチョーしてステンと落馬したりしたら、やり直し。
が、落馬にも右から落ちるのと左から落ちるのでは吉凶があるのだそうだ。
将のプレッシャーぱねぇ。
例えば。
死屍累々の戦場──、寝そべるエキストラの皆さん。
これを史実に沿ったら、首なしの身体がゴロゴロ転がり、
その首を腰や槍につけ、歩き回る武将まで再現しなくてはならない。
時代劇が一気にR15になってしまう。
またこの討ち取った首級の形相にも、吉凶があったとか。
縁起のいい生首ってどんなの。
…などなど、別に時代劇のあげ足を取る訳ではなく、
娯楽としての努力が伺われて、面白いのだ。
逆に刀ではなく、弓や槍を用いた合戦などを見ると
おおー!時代考証さん頑張ってんな!!と楽しくなったり。
ちなみに刀を抜いたときのチャキン★という音は、本来鳴らない。
鳴ったとしたら、それは目釘の緩んだ整備不良の刀である。
合戦の活躍シーンの形式美に
一人コッソリほくそ笑む為の1冊。(それもどうよ)
投票する
投票するには、ログインしてください。
歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
- この書評の得票合計:
- 43票
| 読んで楽しい: | 34票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 9票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント
- クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:講談社
- ページ数:224
- ISBN:9784062749008
- 発売日:2004年10月15日
- 価格:520円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















