たけぞうさん
レビュアー:
▼
誰か光源氏を去勢しろ。
ショートカット先「カドブン夏推し2023に挑戦!」がきっかけで手に取りました。
わが家には、角川のビギナーズ・クラシックスの古典が数冊あり、源氏物語がめでたく仲間入りしました。読んでみて納得の素晴らしい一冊です。作品の雰囲気を伝えることに成功していて、あらすじ部分に工夫があり、源氏物語の魅力がよく分かりました。さすが1,000年も読まれてきた作品だと思いました。
光源氏は、平安のプレイボーイと言われます。この本では、1,000年前の国産の王朝ロマンと紹介されています。品よく伝えるとそうなるんですね。これを庶民言葉にすると、お下劣ゴシップを和歌と雅な雰囲気でくるんで書いた小説と紹介したいです。
さらに品を落とすと、義母、従姉妹、姪、身がわりの女御など、手あたり次第に手を出しまくる股間で物事を考える男の物語と言えばいいのでしょうか。途中からわたしの頭の中には、次の言葉が浮かぶようになりました。
誰か光源氏を去勢しろ。
半分冗談のつっこみですよ。おーまーへーはー、まーたやりおったっっっ、という楽しみがある小説なんですね。それがあらすじ紹介だけで伝わっちゃうので、原作はもっとすごいのでしょう。光源氏はもちろんのこと、ライバルの男どもや、色とりどりの麗人たちなど、キャラの洪水ですから。
全面的に光源氏に心酔し、愛情をめいっぱい受けようとするお花畑系のお姫様もいれば、光源氏の地位を利用しようとする野心的な人もいるし、光源氏に肘鉄をくらわす人もいるので、読んでいて痛快です。オジさんキモいと光源氏から逃げ回る玉鬘ちゃんなんて可愛いですね。
現代の感覚からみると、乱れまくった奔放な性生活が書かれていて、これこそが物語の魅力でしょう。エロいという意味ではなく、本能むき出しの人間のエゴみたいな部分が、抜群に面白そうなのです。
なによもう、わたしのほうがあの女よりも断然魅力的なんだからとか、なんであんな男がモテるんだ、俺のほうがもっといいとか、妬み・そねみ・権力思考にまみれていて、女の情念や男のひがみがほとばしっているんですね。
紫式部が、朝廷内の権力争いを捉えて、結局はルッキズムと権力じゃないのとばっさり書き下ろしているようにも見え、しかもそれを否定せずに、実際こんなもんじゃんという雰囲気があるのが魅力の根源だと思うのです。そんな人間くささが、ばんばん伝わってきました。
源氏物語は全五十四巻あり、各巻には女性の名前や女性を連想させる題名がついています。つまり、光源氏がその女性とどうなったかを、各巻単位で書いているんですね。この本があれば、どの女性が魅力的かで好きな巻を読むことができるのです。いまの小説みたいに、頭から通しで読む必要はないのかもしれません。
はかなげな夕顔、なびかない空蝉、生き霊となった六条御息所、肘鉄の玉鬘。書き出してみると、わたしは光源氏にひとあわ吹かせたり、光源氏ではままならない女性が好きなようです。
最高のガイドブックです。ぜひご参考に。
わが家には、角川のビギナーズ・クラシックスの古典が数冊あり、源氏物語がめでたく仲間入りしました。読んでみて納得の素晴らしい一冊です。作品の雰囲気を伝えることに成功していて、あらすじ部分に工夫があり、源氏物語の魅力がよく分かりました。さすが1,000年も読まれてきた作品だと思いました。
光源氏は、平安のプレイボーイと言われます。この本では、1,000年前の国産の王朝ロマンと紹介されています。品よく伝えるとそうなるんですね。これを庶民言葉にすると、お下劣ゴシップを和歌と雅な雰囲気でくるんで書いた小説と紹介したいです。
さらに品を落とすと、義母、従姉妹、姪、身がわりの女御など、手あたり次第に手を出しまくる股間で物事を考える男の物語と言えばいいのでしょうか。途中からわたしの頭の中には、次の言葉が浮かぶようになりました。
誰か光源氏を去勢しろ。
半分冗談のつっこみですよ。おーまーへーはー、まーたやりおったっっっ、という楽しみがある小説なんですね。それがあらすじ紹介だけで伝わっちゃうので、原作はもっとすごいのでしょう。光源氏はもちろんのこと、ライバルの男どもや、色とりどりの麗人たちなど、キャラの洪水ですから。
全面的に光源氏に心酔し、愛情をめいっぱい受けようとするお花畑系のお姫様もいれば、光源氏の地位を利用しようとする野心的な人もいるし、光源氏に肘鉄をくらわす人もいるので、読んでいて痛快です。オジさんキモいと光源氏から逃げ回る玉鬘ちゃんなんて可愛いですね。
現代の感覚からみると、乱れまくった奔放な性生活が書かれていて、これこそが物語の魅力でしょう。エロいという意味ではなく、本能むき出しの人間のエゴみたいな部分が、抜群に面白そうなのです。
なによもう、わたしのほうがあの女よりも断然魅力的なんだからとか、なんであんな男がモテるんだ、俺のほうがもっといいとか、妬み・そねみ・権力思考にまみれていて、女の情念や男のひがみがほとばしっているんですね。
紫式部が、朝廷内の権力争いを捉えて、結局はルッキズムと権力じゃないのとばっさり書き下ろしているようにも見え、しかもそれを否定せずに、実際こんなもんじゃんという雰囲気があるのが魅力の根源だと思うのです。そんな人間くささが、ばんばん伝わってきました。
源氏物語は全五十四巻あり、各巻には女性の名前や女性を連想させる題名がついています。つまり、光源氏がその女性とどうなったかを、各巻単位で書いているんですね。この本があれば、どの女性が魅力的かで好きな巻を読むことができるのです。いまの小説みたいに、頭から通しで読む必要はないのかもしれません。
はかなげな夕顔、なびかない空蝉、生き霊となった六条御息所、肘鉄の玉鬘。書き出してみると、わたしは光源氏にひとあわ吹かせたり、光源氏ではままならない女性が好きなようです。
最高のガイドブックです。ぜひご参考に。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
この書評へのコメント
 - コメントするには、ログインしてください。 
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:角川ソフィア文庫
- ページ数:504
- ISBN:9784043574056
- 発売日:2001年11月01日
- 価格:1000円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















