かもめ通信さん
レビュアー:
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奇妙な話なのにすごく自然体で、怖いけれど切なくて、なんだか妙に忘れがたい。
何がきっかけで購入したのかも思い出せないほど何年も前から、
Kindle沼の底で眠っていたこの本を引っ張り出したのは、
「やりなおし世界文学」のためだった。
そうではあるけれど、
何度も読みかけては、なかなか読み進められず、
主人公兼語り手の少女が村に買い出しに出かけている場面から抜け出せずにいた。
ここを抜ければ多分、ぐっと面白くなるはずだ…と思いつつも。
こんな書き出しで始まる物語だが、
年齢より幼げな夢見がちな少女の物語だと見せかけるのは最初の数行だけで、
そこかしこに不穏な雰囲気が漂う。
週2回、村に買い出しに出かけるたびに、
少女は村人達から嫌がらせを受け、
子どもたちは彼女に向かってはやし立てる。
小さな村と幹線道路の間に横たわる広い敷地とお屋敷に
姉と、障害を持つ伯父と共にくらすメリキャット。
両親や弟は6年前に死んでしまって、
砒素を使った殺人の容疑をかけられた姉のコンスタンスは裁判で無罪となったものの、
対人恐怖症になって人前にでることができないらしい。
そういったことが、
メリキャットの風変わりな日常と共に少しずつ明かされていくのだが、
すべてがメリキャットの視点から語られているために
この語り手を信用して良いものかと戸惑わずにはいられない。
なにかがおかしいと感じながらも眺めていると
ある日突然訪ねてきた従兄のチャールズによって
彼女たちの平穏な生活がかき乱されることになり……。
あの人は嫌みだし、
この人はきっと何かを企んでいる。
集団の中で歯止めがきかなくなった人々の悪意も恐ろしい。
だがなによりも怖いのは……。
奇妙な話なのにすごく自然体で
怖いけれど、切なくて、
なんだか妙に忘れがたい“やりなおしがい”のある物語ではあった。
Kindle沼の底で眠っていたこの本を引っ張り出したのは、
「やりなおし世界文学」のためだった。
そうではあるけれど、
何度も読みかけては、なかなか読み進められず、
主人公兼語り手の少女が村に買い出しに出かけている場面から抜け出せずにいた。
ここを抜ければ多分、ぐっと面白くなるはずだ…と思いつつも。
あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド、十八歳。姉さんのコンスタンスと暮らしている。運さえよければオオカミ女に生まれていたかもしれないと、何度も考えたことがある。
こんな書き出しで始まる物語だが、
年齢より幼げな夢見がちな少女の物語だと見せかけるのは最初の数行だけで、
そこかしこに不穏な雰囲気が漂う。
メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん
とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット
週2回、村に買い出しに出かけるたびに、
少女は村人達から嫌がらせを受け、
子どもたちは彼女に向かってはやし立てる。
小さな村と幹線道路の間に横たわる広い敷地とお屋敷に
姉と、障害を持つ伯父と共にくらすメリキャット。
両親や弟は6年前に死んでしまって、
砒素を使った殺人の容疑をかけられた姉のコンスタンスは裁判で無罪となったものの、
対人恐怖症になって人前にでることができないらしい。
そういったことが、
メリキャットの風変わりな日常と共に少しずつ明かされていくのだが、
すべてがメリキャットの視点から語られているために
この語り手を信用して良いものかと戸惑わずにはいられない。
なにかがおかしいと感じながらも眺めていると
ある日突然訪ねてきた従兄のチャールズによって
彼女たちの平穏な生活がかき乱されることになり……。
あの人は嫌みだし、
この人はきっと何かを企んでいる。
集団の中で歯止めがきかなくなった人々の悪意も恐ろしい。
だがなによりも怖いのは……。
奇妙な話なのにすごく自然体で
怖いけれど、切なくて、
なんだか妙に忘れがたい“やりなおしがい”のある物語ではあった。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:254
- ISBN:9784488583026
- 発売日:2007年08月01日
- 価格:693円
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