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DBさん
DB
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ヒト属の進化についての本
人類はいつどこで生まれたのだろうか。
考古学者でなくとも考えたことのある問題でしょう。
そしてその頃の人類はどんな生活をし、何を思って生きていたのだろうか。
本著では現生人類であるホモ・サピエンスが生まれた歴史を化石の発見と分類学上の知見から解説していきます。
そして他の十数種類も存在したホミニドの中で唯一生き残った原因を探っていく。

最初に、おそらくは有名だからという理由でネアンデルタール人が登場します。
ヨーロッパや中東に分布するネアンデルタール人は、寒冷地に適応したずんぐりした体つきだったそうです。背が低いが筋肉の発達した非常に頑丈な身体を持っていた。
さらに脳もホモ・サピエンスより容量が大きかったらしい。
もちろんイコール知能が高いわけではないが、ホモ・サピエンスに能力的に劣っていたわけでもなさそうです。

ネアンデルタール人が進化の過程のどの位置にはいるのかに関する学説の変遷を紹介し、ピルトダウン人についても触れています。
こないだ始祖鳥を見に行った時に、ピルトダウン人についてもコーナーがあって、明らかな模造品でも大英博物館は研究のために保管しているという話があった。
ミトコンドリア・イブの話やネアンデルタール人とクロマニヨン人が同時期に重複して存在していたことを示す化石の発見についても語られます。
ヨーロッパなどの寒冷地で出現したネアンデルタール人と、アフリカで発生し世界へ広がったホモ・サピエンスが同じ地域で共存していた。
しかしおそらくはホモ・サピエンスより死亡率が高かったネアンデルタール人が絶滅して人類がヒト科の唯一の生き残った種となったという結論になってます。

そこからヒトとは何か、という問題を考察する。
言葉を話すとか、文化的であるとかいろんな定義があるだろう。
しかし分類学的に見てヒトとは直立二足歩行をするものである。
それにより手が自由になり、脳の容量が増大した。
そのように思われてるかもしれないが、著者によればそれは二次的な結果であって直立した理由はほかにあるとしています。
ホモ・ハビリスやホモ・エルガステル、ホモ・ルドルフェンシス、パラントルプスといったヒト属が乱立するところは学説もいろいろあるらしく内容がまだすっきりしていなかった。
面白かったのは進化の過程で脳の容量が750ccを超えるとヒト属に入るっていうのを「脳のルビコン」と呼ぶことかな。

本著が書かれたのが1999年だそうなので、その後にも他のホミニドが発見されたりしているはず。
それにネアンデルタール人の遺伝情報が人類も保有しているらしいしね。
その後の新たな発見はまた別の本で見てみるとしよう。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2038 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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