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たけぞう
レビュアー:
小学生から中学生になる女の子の野球愛のお話です。
北村薫さんは野球観戦が好きなのでしょうか。たぶん違います。
はじめにで、物語を書く心がまえを読み取れる文章があります。
心がまえに従って野球をいろいろと調べた結果、野球に興味がある人と
同じレベルまで知ってしまったということなのでしょう。
博覧強記と言われる人です。
秘密を教えてもらった気がして嬉しいです。

わたしが子どもだったころというあとがきで、北村薫さんの子ども時代の
思い出がつづられています。はじめにとあとがき、どちらも特別な内容で
得をした気分になりました。

この作品は児童書です。北村薫さんはたまに書くのですよね。
不思議の国のアリスのエッセンスを散りばめながら、
子どものころの憧れを書いた作品です。
憧れを、夢、目標、想像・妄想と言い換えてもいいかもしれません。

アリスは少年野球のピッチャーです。
三月に隣町のチームと卒業試合をしました。四月からは中学生です。
男の子はクラブチームや野球部に入ったりして野球を続けます。
いまは中学校でも女子の野球部入部が認められています。制度的には。

アリスのいる地区では女子部員の前例がなく、更衣室の準備もなく、
色々と問題があるうえ技術向上の妨げにもなる ────── まあ、そんなところです。
知っていましたか? いまだに高校野球だけは女子部員が認められていないのですよ。
中学校はハードルが高いものの部員になれるし、大学にもチームがあるし、
さらにプロ女子野球もある時代です。しかし高校の壁があるために、
門戸を開かない中学校が多くあっても不思議ではない状況です。

現実的には、中学校で男子は体がどんどん大きくなり、女子との差は開いていきます。
だからといって、女子を締め出す制度には違和感を覚えます。

小学校から中学校に上がる時。
女子と男子が一緒に野球をできる最後のチャンスが、
鏡の国の魔法の空間によって特別な時間になるのです。

野球をあまり知らなくても楽しめます。
女の子が子どもから卒業するという成長物語ですから。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1471 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
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