紅い芥子粒さん
レビュアー:
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芥川竜之介、185通の手紙
芥川竜之介が書いて、誰かに送った185通の手紙が収録されている。
青春時代から晩年まで。
生涯にたくさんの手紙を書いた人なのだなと思う。
三中から一高時代は、文学や哲学を論ずる長い手紙ばかり書いている。
文通の相手は、主に山本喜誉司と井川恭。山本は東京帝大の農学科に進み、井川は京都帝大の法科に進んだ。別れた道を行くことになるが、ふたりが、芥川の大親友であったことがわかる。とりわけ山本には深い親しみをかんじていたようだ。別れたくないとか、君がいなくなるとさびしいとか、恋人にいうようなことを書いている。
のちに芥川は、山本の姪の塚本文さんと結婚することになる。
その文さんへのプロポーズの手紙も収められている。
「ぼくは文ちゃんがすきです、それだけでよければ来てください」。
こんな手紙をもらったら、女子はたまらない。
婚約が決まってから結婚するまでの間にも、何通もの恋文を書いている。
同性の友人にあてて書くのとはまったくちがって、易しく教え諭すような文章で。
「文ちゃんがボクを愛してくれるよりか、二倍も三倍もボクの方が愛しているような気がします」
文さんは、芥川より九つも年下でまだ女学生だった。
作家になってからは、長い手紙は少なくなってくる。宛先は、作家仲間や編集者がほとんど。事務的な連絡や近況報告、伝言のような内容が多くなるが、自分の作品の悪評にはがまんがならなっかたらしい。否定的な批評を書いた人に、長く執拗な反論の手紙を書いている。こんな手紙をもらったひとは、お気の毒である。
芥川は、1927年、35歳で自死してしまう。そのころの手紙は、ほんの数行の、短いものが多い。内容も、心身の不調や薬のこと……。
もうこれ以上は生きられない。そんなうめきが聞こえてくるような……
青春時代から晩年まで。
生涯にたくさんの手紙を書いた人なのだなと思う。
三中から一高時代は、文学や哲学を論ずる長い手紙ばかり書いている。
文通の相手は、主に山本喜誉司と井川恭。山本は東京帝大の農学科に進み、井川は京都帝大の法科に進んだ。別れた道を行くことになるが、ふたりが、芥川の大親友であったことがわかる。とりわけ山本には深い親しみをかんじていたようだ。別れたくないとか、君がいなくなるとさびしいとか、恋人にいうようなことを書いている。
のちに芥川は、山本の姪の塚本文さんと結婚することになる。
その文さんへのプロポーズの手紙も収められている。
「ぼくは文ちゃんがすきです、それだけでよければ来てください」。
こんな手紙をもらったら、女子はたまらない。
婚約が決まってから結婚するまでの間にも、何通もの恋文を書いている。
同性の友人にあてて書くのとはまったくちがって、易しく教え諭すような文章で。
「文ちゃんがボクを愛してくれるよりか、二倍も三倍もボクの方が愛しているような気がします」
文さんは、芥川より九つも年下でまだ女学生だった。
作家になってからは、長い手紙は少なくなってくる。宛先は、作家仲間や編集者がほとんど。事務的な連絡や近況報告、伝言のような内容が多くなるが、自分の作品の悪評にはがまんがならなっかたらしい。否定的な批評を書いた人に、長く執拗な反論の手紙を書いている。こんな手紙をもらったひとは、お気の毒である。
芥川は、1927年、35歳で自死してしまう。そのころの手紙は、ほんの数行の、短いものが多い。内容も、心身の不調や薬のこと……。
もうこれ以上は生きられない。そんなうめきが聞こえてくるような……
掲載日:
書評掲載URL : http://blog.livedoor.jp/aotuka202
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
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- 出版社:岩波書店
- ページ数:458
- ISBN:9784003600160
- 発売日:2009年10月16日
- 価格:945円
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