ソネアキラさん
レビュアー:
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よりぬき怪談奇譚辞典
『奇談異聞辞典』柴田宵曲編を読む。というか、読み中。
作者は俳人・歌人だが、「ホトトギス社に入社し、編集に従事」。いわば編集者でもあった。「博覧強記」で」知られる作者は、『耳嚢(みみぶくろ)』『甲子夜話』など江戸時代の「怪談奇談の随筆集」から、目に適った譚を選んで「五十音順に」並べ辞典としたものがこの本。「あ」の「会津の老猿」から「を」の「ヲサカベ」まで。ミニ鈍器本といってもいい分厚い文庫。労作。
見本に一例紹介。
「小豆洗(あずきあらい)」
映画『妖怪大戦争』(主役が子役時代の神木隆之介)で小豆洗は「ナインティナイン」の岡村が演じていた。あまりにもぴったりで今でも覚えている。こんな感じで取り上げている。「引用書目」を適宜、端折って意訳で紹介。
「『耳嚢』では、内藤宿の旗本の流しに出ると。時おり、小豆を洗う音が聞こえるが、姿は見えず。正体は老いた蟇(ひきがえる)とか」
「『江戸塵拾』では、元飯田町もちの木坂の下、間部某宅で夜更、玄関前で小豆を洗う音がする。人音すれば止む。入谷田圃にもかつては出たと。現われた家の前の小橋を小豆橋という」
「『譚海』では、むじなが小豆洗いや糸くりをすることがあるそうな。渓谷の間から小豆を洗う音が。樹のうつぼ(洞)から糸くりの音が聞こえる」
「『裏見寒話』では、現在の山梨県甲府市内の富士川にかかる土橋の下から明け方小豆を洗う音が聞こえる」
複数の「全国各地の怪異妖怪譚の貴重な資料」を読むと、何か物語性を感じる。
当然「河童」の項目もある。岡本綺堂が随筆で明治の初期まで東京にも河童が出たと書いてあるのを読んだことがあるが。
まずは、巻末にある索引から好きな項目から読んでみよう。次は、頭から。その次は、頁をひらいたところから。ま、空き時間やすき間時間にちょい読みすれば、怪談好きの人なら、いい時間となる。怪奇小説や奇想小説を書きたいなあという人から、ネタで苦しんでいるプロの人まで、たぶん、参考になるはず。
作者は俳人・歌人だが、「ホトトギス社に入社し、編集に従事」。いわば編集者でもあった。「博覧強記」で」知られる作者は、『耳嚢(みみぶくろ)』『甲子夜話』など江戸時代の「怪談奇談の随筆集」から、目に適った譚を選んで「五十音順に」並べ辞典としたものがこの本。「あ」の「会津の老猿」から「を」の「ヲサカベ」まで。ミニ鈍器本といってもいい分厚い文庫。労作。
見本に一例紹介。
「小豆洗(あずきあらい)」
映画『妖怪大戦争』(主役が子役時代の神木隆之介)で小豆洗は「ナインティナイン」の岡村が演じていた。あまりにもぴったりで今でも覚えている。こんな感じで取り上げている。「引用書目」を適宜、端折って意訳で紹介。
「『耳嚢』では、内藤宿の旗本の流しに出ると。時おり、小豆を洗う音が聞こえるが、姿は見えず。正体は老いた蟇(ひきがえる)とか」
「『江戸塵拾』では、元飯田町もちの木坂の下、間部某宅で夜更、玄関前で小豆を洗う音がする。人音すれば止む。入谷田圃にもかつては出たと。現われた家の前の小橋を小豆橋という」
「『譚海』では、むじなが小豆洗いや糸くりをすることがあるそうな。渓谷の間から小豆を洗う音が。樹のうつぼ(洞)から糸くりの音が聞こえる」
「『裏見寒話』では、現在の山梨県甲府市内の富士川にかかる土橋の下から明け方小豆を洗う音が聞こえる」
複数の「全国各地の怪異妖怪譚の貴重な資料」を読むと、何か物語性を感じる。
当然「河童」の項目もある。岡本綺堂が随筆で明治の初期まで東京にも河童が出たと書いてあるのを読んだことがあるが。
まずは、巻末にある索引から好きな項目から読んでみよう。次は、頭から。その次は、頁をひらいたところから。ま、空き時間やすき間時間にちょい読みすれば、怪談好きの人なら、いい時間となる。怪奇小説や奇想小説を書きたいなあという人から、ネタで苦しんでいるプロの人まで、たぶん、参考になるはず。
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女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。
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詩や小説らしきものはこちら。
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- 出版社:筑摩書房
- ページ数:734
- ISBN:9784480091628
- 発売日:2008年09月10日
- 価格:2310円
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