かもめ通信さん
レビュアー:
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数年後、今より幾つか年を重ねてから再読することは可能でも、早く大人になりたかった頃に戻って読むことはかなわない。あの頃に戻れないことを嘆かわしく思うと同時に、戻れないことにどこかホッとしたりもする。
実をいうと私、コレが初めてのレイ・ブラッドベリ。
もちろん名前は知っていたし、
積読山に眠っている本もありはするのだけれど、
なんとなく苦手なSF臭がするような気がしてさけてきた。
そんな私が、今回、この本を手に取ったきっかけはがこちら↓。
只今絶賛開催中の本が好き!公式企画
【公式】東京創元社文庫創刊60周年祝企画 くらりからの挑戦状だ。
なんでも期間内にフェア対象作品100冊を
レビュアーのレビューで紹介し尽くしたあかつきには
企画参加者の中から抽選で5名に献本+αが提供されるのだという。
賞品目当てではないけれど、
これを機に、積読山のあの本や
前々から気になっていたこの本を読もうというわけ。
そんなこんなで『何かが道をやってくる』。
勝手にSFだと思い込んでいたので
道の向こうからやってくるのは当然のごとく、
宇宙人だと思っていたのだけれど、これがね!
全然違いました!!(汗)
ある年の万聖節前夜。
カライアピーの音色と共にやってきたのはカーニバルの一座。
13歳の少年ジムとウィルは、
もの悲しい音楽に惹かれて共に家を抜け出して
カーニバル会場に潜り込み
信じられない光景を目にしてしまう。
あの鏡の迷路で目にしたものはいったい……
後ろ向きに廻る回転木馬に乗ると廻った分だけ若返るのか!?
早く大人になりたいと願う少年と
走り回る我が子を目にする度に
自分の歳を意識せざるを得ない父親。
人の欲望は限りなく
誘惑に抗う勇気を持つのは難しい。
もしもこの物語に
もっとずっと若い頃、
二人の少年に近い年代で出会っていたならば
また違った感想を持ったかもしれないが、
今の私には
54歳だというウィルの父親ハロウェイ氏の
年寄り扱いされる年齢ではないものの
今とこれからの老いを意識せざるを得ないその切なさが
痛いほどわかってしまう。
カーニバルの喧噪と
お祭り気分のざわめきの中で
現在から過去へ過去から未来へと時を超えて、
魔女や恐竜や全身に入れ墨を施した不思議な男が徘徊する
悪夢のようでありながら、とても詩的なダークファンタジー。
初出は1962年、初訳は1964年と年代物で
書かれた時代の限界でもあるのだろう
差別的な表現が気にならないと言ったら嘘になるが、
醸し出されるノスタルジックな雰囲気はすごくよくて、
読み継がれて欲しい傑作だ。
とはいえ、昨今はやりの新訳は必要ないかも。
なんといっても“万聖節前夜”
万が一にも“ハロウィン”なんて訳されたら
渋谷の喧噪を思い浮かべてしまって
うまいことタイムスリップできそうにないから……ね。
もちろん名前は知っていたし、
積読山に眠っている本もありはするのだけれど、
なんとなく苦手なSF臭がするような気がしてさけてきた。
そんな私が、今回、この本を手に取ったきっかけはがこちら↓。
只今絶賛開催中の本が好き!公式企画
【公式】東京創元社文庫創刊60周年祝企画 くらりからの挑戦状だ。
なんでも期間内にフェア対象作品100冊を
レビュアーのレビューで紹介し尽くしたあかつきには
企画参加者の中から抽選で5名に献本+αが提供されるのだという。
賞品目当てではないけれど、
これを機に、積読山のあの本や
前々から気になっていたこの本を読もうというわけ。
そんなこんなで『何かが道をやってくる』。
勝手にSFだと思い込んでいたので
道の向こうからやってくるのは当然のごとく、
宇宙人だと思っていたのだけれど、これがね!
全然違いました!!(汗)
ある年の万聖節前夜。
カライアピーの音色と共にやってきたのはカーニバルの一座。
13歳の少年ジムとウィルは、
もの悲しい音楽に惹かれて共に家を抜け出して
カーニバル会場に潜り込み
信じられない光景を目にしてしまう。
あの鏡の迷路で目にしたものはいったい……
後ろ向きに廻る回転木馬に乗ると廻った分だけ若返るのか!?
早く大人になりたいと願う少年と
走り回る我が子を目にする度に
自分の歳を意識せざるを得ない父親。
人の欲望は限りなく
誘惑に抗う勇気を持つのは難しい。
もしもこの物語に
もっとずっと若い頃、
二人の少年に近い年代で出会っていたならば
また違った感想を持ったかもしれないが、
今の私には
54歳だというウィルの父親ハロウェイ氏の
年寄り扱いされる年齢ではないものの
今とこれからの老いを意識せざるを得ないその切なさが
痛いほどわかってしまう。
カーニバルの喧噪と
お祭り気分のざわめきの中で
現在から過去へ過去から未来へと時を超えて、
魔女や恐竜や全身に入れ墨を施した不思議な男が徘徊する
悪夢のようでありながら、とても詩的なダークファンタジー。
初出は1962年、初訳は1964年と年代物で
書かれた時代の限界でもあるのだろう
差別的な表現が気にならないと言ったら嘘になるが、
醸し出されるノスタルジックな雰囲気はすごくよくて、
読み継がれて欲しい傑作だ。
とはいえ、昨今はやりの新訳は必要ないかも。
なんといっても“万聖節前夜”
万が一にも“ハロウィン”なんて訳されたら
渋谷の喧噪を思い浮かべてしまって
うまいことタイムスリップできそうにないから……ね。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:350
- ISBN:9784488612016
- 発売日:1975年05月03日
- 価格:777円
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