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「蜜柑」の色と仕掛けが鮮やかだ。
「蜜柑」「トロッコ」いいねえ。児童向けも多い短編集。色とキレ。
お釈迦様が極楽から下を見渡すと、血の池地獄にカンダタという者の姿が見えた。生きていた頃は悪事ばかり働いた大泥坊。しかしカンダタは一度、小さな蜘蛛の命を救ってやったことがあった。お釈迦様は傍にいた蜘蛛の糸をカンダタのほうへ垂らしたー。
(蜘蛛の糸)
川端康成、シェイクスピア、太宰治、宮沢賢治、室生犀星と親しんできた。次は芥川龍之介を読もうかなと。先日の「地獄変・偸盗」に続き有名な作品から押さえてみた。
「蜘蛛の糸」はさすがに読んだ事があったけど、他は初読み。「杜子春」ってこんな物語だったのか、と思った。ほか「犬と笛」「魔術」「アグニの神」「仙人」「猿蟹合戦」「白」が収録されている。
「蜘蛛の糸」「犬と笛」「魔術」「白」は人の心根を中心に置いている。「白」は誰でも経験したことがあるような、臆病な行動を扱っている。いずれも分かりやすく教訓的。
「杜子春」も似ているが、心根、というよりは人の情の話で寓話的である。
さて「蜜柑」は本読み仲間の2人がとてもいい!と推奨した短編。奉公に行く少女に不快さを感じた同乗者の気持ちが一瞬にして朗らかな心持ちとなる。きっかけとなった蜜柑、さらには少女の火照った赤い頰までもが想像できる。いかにも大人らしい倦怠感とイライラの背景に鮮やかな色を映し出したテクニカルな作品で、結末の明るさと少しの哀しさで心が潤されるようなインパクトを受けた。
「トロッコ」も状況の波をトロッコの進む道になぞらえている気にもさせ、少年らしい行動と心の動きを書き出している。
無駄のない文章で、やはりキレがある。芥川龍之介を読み進めるのが楽しみになった。
お釈迦様が極楽から下を見渡すと、血の池地獄にカンダタという者の姿が見えた。生きていた頃は悪事ばかり働いた大泥坊。しかしカンダタは一度、小さな蜘蛛の命を救ってやったことがあった。お釈迦様は傍にいた蜘蛛の糸をカンダタのほうへ垂らしたー。
(蜘蛛の糸)
川端康成、シェイクスピア、太宰治、宮沢賢治、室生犀星と親しんできた。次は芥川龍之介を読もうかなと。先日の「地獄変・偸盗」に続き有名な作品から押さえてみた。
「蜘蛛の糸」はさすがに読んだ事があったけど、他は初読み。「杜子春」ってこんな物語だったのか、と思った。ほか「犬と笛」「魔術」「アグニの神」「仙人」「猿蟹合戦」「白」が収録されている。
「蜘蛛の糸」「犬と笛」「魔術」「白」は人の心根を中心に置いている。「白」は誰でも経験したことがあるような、臆病な行動を扱っている。いずれも分かりやすく教訓的。
「杜子春」も似ているが、心根、というよりは人の情の話で寓話的である。
さて「蜜柑」は本読み仲間の2人がとてもいい!と推奨した短編。奉公に行く少女に不快さを感じた同乗者の気持ちが一瞬にして朗らかな心持ちとなる。きっかけとなった蜜柑、さらには少女の火照った赤い頰までもが想像できる。いかにも大人らしい倦怠感とイライラの背景に鮮やかな色を映し出したテクニカルな作品で、結末の明るさと少しの哀しさで心が潤されるようなインパクトを受けた。
「トロッコ」も状況の波をトロッコの進む道になぞらえている気にもさせ、少年らしい行動と心の動きを書き出している。
無駄のない文章で、やはりキレがある。芥川龍之介を読み進めるのが楽しみになった。
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読む本の傾向は、女子系だと言われたことがあります。シャーロッキアン、アヤツジスト、北村カオリスタ。シェイクスピア、川端康成、宮沢賢治に最近ちょっと泉鏡花。アート、クラシック、ミステリ、宇宙もの、神代・飛鳥奈良万葉・平安ときて源氏物語、スポーツもの、ちょいホラーを読みます。海外の名作をもう少し読むこと。いまの密かな目標です。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:151
- ISBN:9784101025032
- 発売日:1971年03月03日
- 価格:340円
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