かもめ通信さん
レビュアー:
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いつ見ても何度見てもぐっとくる。
先日、献本でいただいた『絵を読み解く絵本入門』で
海外の現代作品として紹介されていたので
うれしくなって久々に手に取ってみた。
ベルギー生まれの素描画家ガブリエル・バンサンが描いた
文字のない絵本だ。
原題は UN JOUR, UN CHIEN
ある犬の、ある一日の物語といったところだろうか。
といっても描かれている内容は
たった一日にしてはとても濃い。
疾走する車から1匹の犬が捨てられる
犬は走り去る車を追うがおいつけない
しかたなく犬はとぼとぼと歩き続けるのだが
走ってきた車の音に反応してしまい……
こうした物語はすべてスケッチだけで描かれている。
黒鉛筆1本で描かれたデッサン画のように見える一方で
まるで1本のドキュメンタリー映画を見ているような気分になるほど
とても臨場感のある描写に何度ページをめくってもみるたびに胸が詰まる。
同じ文字のない絵本でも
山ほどの情報が書き込まれている安野光雅の『旅の絵本』とは対照的。
余分な書き込みが一切ない余白がかえっていろいろなことを語りかけてくる。
絵が持っている語る力を思い知らされる1冊だ。
海外の現代作品として紹介されていたので
うれしくなって久々に手に取ってみた。
ベルギー生まれの素描画家ガブリエル・バンサンが描いた
文字のない絵本だ。
原題は UN JOUR, UN CHIEN
ある犬の、ある一日の物語といったところだろうか。
といっても描かれている内容は
たった一日にしてはとても濃い。
疾走する車から1匹の犬が捨てられる
犬は走り去る車を追うがおいつけない
しかたなく犬はとぼとぼと歩き続けるのだが
走ってきた車の音に反応してしまい……
こうした物語はすべてスケッチだけで描かれている。
黒鉛筆1本で描かれたデッサン画のように見える一方で
まるで1本のドキュメンタリー映画を見ているような気分になるほど
とても臨場感のある描写に何度ページをめくってもみるたびに胸が詰まる。
同じ文字のない絵本でも
山ほどの情報が書き込まれている安野光雅の『旅の絵本』とは対照的。
余分な書き込みが一切ない余白がかえっていろいろなことを語りかけてくる。
絵が持っている語る力を思い知らされる1冊だ。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:ブックローン出版
- ページ数:57
- ISBN:9784892389573
- 発売日:1986年05月01日
- 価格:1365円
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