ぷるーとさん
レビュアー:
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摩天楼に吹き荒ぶハリケーンその中で起きた怪事件を描いた幻想的なミステリ。
1969年、ニューヨークのセントラルパーク・タワーの34階に住む大女優ジュディ・サリナスが亡くなった。亡くなる直前、彼女は親しい友人たちを集めて、ある告白をした。1921年に自分は人を殺した、というのだ。
1921年10月3日ハリケーンのせいでアパート全館が停電していたその夜に、ジュディは1階に住む興行主のフレデリック・ジークフリードを射殺したというのだ。34階の自宅を出て再び戻って来たのが15分後、だが、どうやって移動したのかは全く覚えていないという。
ジュディは、さらに不思議なことを言った。自分はファントムに愛されていて、ファントムは誰にも見られることなくジュディをセントラルパークに連れ出し池に浮かぶボートの上で愛を誓ってくれた。そして、ジュディの邪魔になる者は全て排除すると約束してくれたという。
この告白の日に呼ばれていたのが、コロンビア大学助教授御手洗潔。御手洗が幾つかの事件を解決していることを聞き、彼女自身にも分からない謎が解けるかしら?と言ったのだ。
ニューヨークが世界的大都市になっていく途上で造られたセントラルパーク・タワーは、ニューヨークの芸能関係者が住む現在のタワーマンションのような存在だった。その高層アパートで1916年と21年にジュディと縁がある芸能関係者が相次いで亡くなっているのは、本当にファントムの仕業なのか。ジュディが語った不可思議な体験というのは、事実なのか、それとも死を間近にした病人の幻想なのか。
 
1916年の女優の死、1921年に起きた4つの死亡事件。当時事件の捜査に当たった警察官の視点で描かれたパートが何度か挿入されているが、時計塔での事件はとにかく残虐でグロテスクだ。
建物がどんどん高層化して摩天楼となった都市。この作品は、その高層ビルの中でも古参のビルが持つ妖しさを描いている。
作者自身も後書きで書いているように女優と魔人の恋と幻想的な雰囲気は『オペラ座の怪人』に似ていて、作中で「ほら、やっぱり『オペラ座の怪人』じゃん」とミスリードを誘うような描写もあるが、オペラ座の怪人がフランス的なのに対して、こちらのファントムはいかにもアメリカ的だ。
名前は知っていたもののこれまで作品を読んだことがなかったが、久しぶりに一気読み。肩に力が入って、ちょっと疲れたわ。
1921年10月3日ハリケーンのせいでアパート全館が停電していたその夜に、ジュディは1階に住む興行主のフレデリック・ジークフリードを射殺したというのだ。34階の自宅を出て再び戻って来たのが15分後、だが、どうやって移動したのかは全く覚えていないという。
ジュディは、さらに不思議なことを言った。自分はファントムに愛されていて、ファントムは誰にも見られることなくジュディをセントラルパークに連れ出し池に浮かぶボートの上で愛を誓ってくれた。そして、ジュディの邪魔になる者は全て排除すると約束してくれたという。
この告白の日に呼ばれていたのが、コロンビア大学助教授御手洗潔。御手洗が幾つかの事件を解決していることを聞き、彼女自身にも分からない謎が解けるかしら?と言ったのだ。
ニューヨークが世界的大都市になっていく途上で造られたセントラルパーク・タワーは、ニューヨークの芸能関係者が住む現在のタワーマンションのような存在だった。その高層アパートで1916年と21年にジュディと縁がある芸能関係者が相次いで亡くなっているのは、本当にファントムの仕業なのか。ジュディが語った不可思議な体験というのは、事実なのか、それとも死を間近にした病人の幻想なのか。
1916年の女優の死、1921年に起きた4つの死亡事件。当時事件の捜査に当たった警察官の視点で描かれたパートが何度か挿入されているが、時計塔での事件はとにかく残虐でグロテスクだ。
建物がどんどん高層化して摩天楼となった都市。この作品は、その高層ビルの中でも古参のビルが持つ妖しさを描いている。
作者自身も後書きで書いているように女優と魔人の恋と幻想的な雰囲気は『オペラ座の怪人』に似ていて、作中で「ほら、やっぱり『オペラ座の怪人』じゃん」とミスリードを誘うような描写もあるが、オペラ座の怪人がフランス的なのに対して、こちらのファントムはいかにもアメリカ的だ。
名前は知っていたもののこれまで作品を読んだことがなかったが、久しぶりに一気読み。肩に力が入って、ちょっと疲れたわ。
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 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:720
- ISBN:9784488488017
- 発売日:2009年05月30日
- 価格:1260円
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