ぷるーとさん
レビュアー:
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動物たちに囲まれて暮らすことの喜びがたくさん。困ったことも、そこそこ。
 コンラート・ローレンツは、オーストリアで生まれ、ドイツの大学で教鞭をとった動物の行動生理学の博士だ。この本には、彼が一緒に暮らした動物たちのユニークな行動や性癖が多々記されている。
宝石魚の二組のつがいのメスをそっと取り替えると、美しいメスと取り換えられたオスは明らかに相手が変わったことに気づいているらしいのに、素知らぬ顔で、いやむしろ嬉々とした様子に変わる。ところが、美しいメスを取り上げられた最初の夫は、頑として取り替えられたメスを受け入れず、メスに攻撃を加える。
自分の本来の相手よりも新しく来たより美しいメスの方とを好むなんて、なんだかあまりな気がして女性としては「ちょっとどうよ」と言わずにはいられない。一方、メスの方は、オスが変わっても関係ないらしいのだ。メスという種は、自分をちやほやしてくれるならどんなオスでもかまわないものらしい。こっちもこっちで、なんだかなあ…、だ。
集団における上下関係がきっちり決まっていて、一度つがいになったらその夫婦関係も崩れることのない鳥のコクマルガラスの集団。だから、相手のいるオスには他のメスは寄り付かないのだが、一羽のメスが相手がすでにいるオスを好きになってしまう。・・・あとは、読んでのお楽しみ。
これって、完全に昼メロの世界ではないか。
こういった魚たちや鳥たちの俗っぽさは、なんともたまらない。俗っぽいのは、人間だけじゃないんだなあと妙に感心させられてしまう。
ローレンツ博士がこういった稀有なケースを見ることができたのも、たくさんの動物たちと接してきたからこその賜物だ。
他にもいろいろ面白いエピソード満載。残りはぜひ、自分で読んでみてほしい。
ところで、「動物たちへの憤懣」の章で、博士は真剣に動物たちと向き合おうと思ったら人間と動物が対等な立場なければならないと書いている。そこに書かれていることはおよそ読者を尻込みさせてしまうものだ。だが、そうまでして動物たちと対等であろうとした博士の動物に対する真剣な眼差しは、とかく動物たちを自分たちの都合のいいように扱ってしまいがちな私たちを強く批判しているのではないだろうか。
 
あとがきで訳者が、ローレンツ博士を「ユーモア豊かな人らしい」と書いているが、動物への限りない愛と理解とユーモアの精神がなかったら、確かにこれだけのことはできなかっただろう。
それと、博士に対する限りない理解と愛を持った奥さんと。
宝石魚の二組のつがいのメスをそっと取り替えると、美しいメスと取り換えられたオスは明らかに相手が変わったことに気づいているらしいのに、素知らぬ顔で、いやむしろ嬉々とした様子に変わる。ところが、美しいメスを取り上げられた最初の夫は、頑として取り替えられたメスを受け入れず、メスに攻撃を加える。
自分の本来の相手よりも新しく来たより美しいメスの方とを好むなんて、なんだかあまりな気がして女性としては「ちょっとどうよ」と言わずにはいられない。一方、メスの方は、オスが変わっても関係ないらしいのだ。メスという種は、自分をちやほやしてくれるならどんなオスでもかまわないものらしい。こっちもこっちで、なんだかなあ…、だ。
集団における上下関係がきっちり決まっていて、一度つがいになったらその夫婦関係も崩れることのない鳥のコクマルガラスの集団。だから、相手のいるオスには他のメスは寄り付かないのだが、一羽のメスが相手がすでにいるオスを好きになってしまう。・・・あとは、読んでのお楽しみ。
これって、完全に昼メロの世界ではないか。
こういった魚たちや鳥たちの俗っぽさは、なんともたまらない。俗っぽいのは、人間だけじゃないんだなあと妙に感心させられてしまう。
ローレンツ博士がこういった稀有なケースを見ることができたのも、たくさんの動物たちと接してきたからこその賜物だ。
他にもいろいろ面白いエピソード満載。残りはぜひ、自分で読んでみてほしい。
ところで、「動物たちへの憤懣」の章で、博士は真剣に動物たちと向き合おうと思ったら人間と動物が対等な立場なければならないと書いている。そこに書かれていることはおよそ読者を尻込みさせてしまうものだ。だが、そうまでして動物たちと対等であろうとした博士の動物に対する真剣な眼差しは、とかく動物たちを自分たちの都合のいいように扱ってしまいがちな私たちを強く批判しているのではないだろうか。
あとがきで訳者が、ローレンツ博士を「ユーモア豊かな人らしい」と書いているが、動物への限りない愛と理解とユーモアの精神がなかったら、確かにこれだけのことはできなかっただろう。
それと、博士に対する限りない理解と愛を持った奥さんと。
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 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 
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- 出版社:早川書房
- ページ数:261
- ISBN:9784150502225
- 発売日:1998年03月01日
- 価格:777円
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