かもめ通信さん
レビュアー:
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読みたいと思い続けて1年余。思いがけない重版の報に、思わずポチッと購入し、ついに読んでしまったわ!
そもそも事の起こりは去年(2013年)の夏のことだった。
その年は春から本が好き!内で“月間課題図書”と称した連続読書会が持ち上がっていて
8月の課題として、担当のそのじつさんが魅力的なラインナップを準備してくれていた。
そのそのじつさんが「本当はシュミの1冊として入れたかった」と呟きつつも、
あえて課題図書に選ばなかったのがこの本、
平凡社ライブラリーの『ゲイ短編小説集』だった。
収録作品をみると有名な童話1作を除いてどれも未読ながら
名の知れた作家たちの短編がならんでいる上、
著者やタイトルから想像するに
“いかにも”という感じの作品でもないように思われたので
作者の意図がどこにあるのか
編者の目の付け所はどうなのか
読み手(私)の受ける印象はどんなものか
等々、俄然興味がわいてきて(ぜひとも読みたい!)と思ったものの、
重版未定となって久しく、私の利用する図書館にはなかったので
読みたい本のリストにいれたまま保留になってしまっていた。
ところが先日、
Twitterで平凡社ライブラリーの中の人のつぶやきが話題になったことがきっかけで
思いがけず、本書の重版が決まってしまったというので、
喜び勇んでポチッと購入。
早速読んでみたというわけだ。
およそ400ページのうち、参考文献に割かれたページが4ページ、
編者による解説に割かれたページが40ぺージほどあるのだが
読み進め方としては
①収録順にページをめくる方法
②アットランダムに気が向いた作品から読んでいく方法
③作品毎に作品と解説を交互に読む方法
④解説から先に読む方法
が考えられ、どれを選ぶかによって読後の印象も変わってくるかもしれない。
ちなみに私は、既に本のタイトルから受けている以上の先入観なしに
作品を楽しみたかったので②の方法で読み進めたのだが、
何作か読んだ後、冒頭にもどってオスカー・ワイルドの「W・H氏の肖像」を読み、
素直にこの作品から読み進めなかったことを少々後悔した。
というのもこの「W・H氏の肖像」は、
シェイクスピアのソネット集の“解釈”をめぐる物語で、
まさに作品の中に秘められた真の姿を追うというこのアンソロジーのあり方を
暗示するかのような作品だったからだ。
描かれた時代の影響もあるのだろうが
収録された物語はいずれにも露骨な性描写などはなく
(これがどうしてゲイ小説?)と思わず首をかしげてしまう作品も複数ある。
もちろんそうした点については解説に編者の見解が詳しく書かれてはいるのだが、
それはそれとして物語だけでも充分に楽しめる1冊でもあった。
と同時に我ながら意外な気がしたのは、
(これがどうして?)と首をかしげる作品よりも、
(なるほどそうだろうなあ)と思われる作品の方がより面白かったことだ。
これまでそうと思ったことはなかったが、
もしかすると私にも少し、腐女子の血が流れているのかもしれない。
収録作品(お気に入り度を★、解説を読む前に受けた印象からゲイ小説認定の納得度を☆で表示)
・W・H氏の肖像(オスカー・ワイルド) ★★★ ☆☆☆
・幸福な王子(オスカー・ワイルド) ★★★
・密林の野獣(ヘンリー・ジェイムズ) ★★
・ゲイブリエル-アーネスト(サキ) ★★★ ☆☆
・プロシア士官(D.H.ロレンス) ★★★★ ☆☆☆☆
・手(シャーウッド・アンダソン) ★★ ☆☆☆
・永遠の生命(F.M.フォースター) ★★★★ ☆☆☆☆
・ルイーズ(サマセット・モーム) ★★★★
・まさかの時の友(サマセット・モーム) ★★ ☆☆☆
その年は春から本が好き!内で“月間課題図書”と称した連続読書会が持ち上がっていて
8月の課題として、担当のそのじつさんが魅力的なラインナップを準備してくれていた。
そのそのじつさんが「本当はシュミの1冊として入れたかった」と呟きつつも、
あえて課題図書に選ばなかったのがこの本、
平凡社ライブラリーの『ゲイ短編小説集』だった。
収録作品をみると有名な童話1作を除いてどれも未読ながら
名の知れた作家たちの短編がならんでいる上、
著者やタイトルから想像するに
“いかにも”という感じの作品でもないように思われたので
作者の意図がどこにあるのか
編者の目の付け所はどうなのか
読み手(私)の受ける印象はどんなものか
等々、俄然興味がわいてきて(ぜひとも読みたい!)と思ったものの、
重版未定となって久しく、私の利用する図書館にはなかったので
読みたい本のリストにいれたまま保留になってしまっていた。
ところが先日、
Twitterで平凡社ライブラリーの中の人のつぶやきが話題になったことがきっかけで
思いがけず、本書の重版が決まってしまったというので、
喜び勇んでポチッと購入。
早速読んでみたというわけだ。
およそ400ページのうち、参考文献に割かれたページが4ページ、
編者による解説に割かれたページが40ぺージほどあるのだが
読み進め方としては
①収録順にページをめくる方法
②アットランダムに気が向いた作品から読んでいく方法
③作品毎に作品と解説を交互に読む方法
④解説から先に読む方法
が考えられ、どれを選ぶかによって読後の印象も変わってくるかもしれない。
ちなみに私は、既に本のタイトルから受けている以上の先入観なしに
作品を楽しみたかったので②の方法で読み進めたのだが、
何作か読んだ後、冒頭にもどってオスカー・ワイルドの「W・H氏の肖像」を読み、
素直にこの作品から読み進めなかったことを少々後悔した。
というのもこの「W・H氏の肖像」は、
シェイクスピアのソネット集の“解釈”をめぐる物語で、
まさに作品の中に秘められた真の姿を追うというこのアンソロジーのあり方を
暗示するかのような作品だったからだ。
描かれた時代の影響もあるのだろうが
収録された物語はいずれにも露骨な性描写などはなく
(これがどうしてゲイ小説?)と思わず首をかしげてしまう作品も複数ある。
もちろんそうした点については解説に編者の見解が詳しく書かれてはいるのだが、
それはそれとして物語だけでも充分に楽しめる1冊でもあった。
と同時に我ながら意外な気がしたのは、
(これがどうして?)と首をかしげる作品よりも、
(なるほどそうだろうなあ)と思われる作品の方がより面白かったことだ。
これまでそうと思ったことはなかったが、
もしかすると私にも少し、腐女子の血が流れているのかもしれない。
収録作品(お気に入り度を★、解説を読む前に受けた印象からゲイ小説認定の納得度を☆で表示)
・W・H氏の肖像(オスカー・ワイルド) ★★★ ☆☆☆
・幸福な王子(オスカー・ワイルド) ★★★
・密林の野獣(ヘンリー・ジェイムズ) ★★
・ゲイブリエル-アーネスト(サキ) ★★★ ☆☆
・プロシア士官(D.H.ロレンス) ★★★★ ☆☆☆☆
・手(シャーウッド・アンダソン) ★★ ☆☆☆
・永遠の生命(F.M.フォースター) ★★★★ ☆☆☆☆
・ルイーズ(サマセット・モーム) ★★★★
・まさかの時の友(サマセット・モーム) ★★ ☆☆☆
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
- かもめ通信2014-11-02 09:44
これねえ。重版するするっていって、その後結構時間がかかったらしく、ネットで入手可能になったのも9月になってからでした。だから遅すぎることはないと思うよ。
というわけでユーリさんのレビューを楽しみに待つわ!
私はもちろん、次ぎに再版予定で現在調整中というレズビアン短編集の方も読むわよ!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - そのじつ2014-11-02 15:46
>かもめ通信さん
ありがとうございます!
ゲイ小説認定納得度の☆がおもしろい(^.^)
ゲイ小説濃度高めの方が面白度が高くなってるのも嬉しい(^.^)
腐女子の文化は裏読みをするというのが常態だとワタシは思っているので、小説好きな方の楽しみ方と一部重なるのでしょうね。
>junocoさん
腐女子部~!自然発生的にできてましたね(^.^)
協調してなにか活動をしている訳ではないけど、腐女子部の存在は心強いです!
(ユーリさんも男子だけど、勘定に入っております)
部長など恐れ多い!
腐女子読書会とか、おもしろそうだけど、萌える箇所の食い違いからケンカになるといけないので、ひかえておきます…( ´艸`)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
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- 出版社:平凡社
- ページ数:397
- ISBN:9784582763157
- 発売日:1999年12月01日
- 価格:1470円
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