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ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
なまけのワーニャは、いずれ皇帝に。
岩波少年文庫100冊マラソン 48冊目


お百姓の三人息子の内、一番下がとんだ怠け者のワーニャ。彼は森で、盲目の老人に会って、おまえはいずれある国の皇帝になる身だと告げられる。そのために、これから七年の間、かまどの上で寝て暮らし、その間、ヒマワリの種だけを食べ、決して口をきいてはならないと。そうして時が来たら旅に出るようにと。
そのようにして寝て暮したワーニャ、七年経ってみたら、超人的な大力になっていた。


何より驚いてしまうのは、とんでもない怠け者が、骨身を惜しまず人のために尽くす人になっていたこと。
七年のかまどの上暮らしは、一種の精神修養の期間でもあったかも。
ワーニャは身につけた大力を使い、困っている人たちを助けながら旅を続ける。
人々を苦しめる怪物やバーバヤガーなどをこらしめて、彼らの宝物である無敵の槍や、駿馬、耀く鎧兜などを手に入れながら、約束の地に向かう。


ワーニャの冒険は、思いがけないことが次から次で、痛快だ。
なによりもわくわくするのはその都度にどんな人びとと出会うか、ということ。民話らしく出会いも別れもあっさりしているものの、大きな助けになってくれた人たちだ。
彼らは、ワーニャのそばで、伸びやかに持ち前の知恵や知識、超人的な能力を発揮して、彼を助けている。
ワーニャはスーパー大力で、向かうところ敵なしだが、それだけではきっとだめなのだ。助け手が、見た目弱々しい、名もなき人であることは意味あることのようにも思う。
ワーニャの強みって、人を大切に思えること、人の言葉に素直に耳傾けられることかもしれない。大力以上に。
旅が進むほどに、彼が王様だったら素敵だね、と思えてくるのも楽しかった。



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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1750 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

読んで楽しい:2票
参考になる:19票
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