休蔵さん
レビュアー:
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日本列島っていろんな災害に見舞われる可能性があるという現実を改めて突き付けられる1冊。

タイトルから、平穏な世界からスタートして、徐々に巨大災害が重なっていくものと思い込んでいた。
でも、物語は予想外にも東海地震・東南海地震発生の3日後から始まる。
そのタイミングで環境大臣の早乙女美来は被災地に飛んだ。
多すぎるほどの連絡が入っている他の大臣と比較し、やや時間があったというのがその理由。
33歳、女性というのも動きやすさを後押ししたのかもしれない。
二世議員というのも。
そこで、早乙女が見たのは民間が開発したソフトを利用することで安定的な運営をしている避難所の状況だった。
それは利根﨑高志がCEOを務めるアース社が開発したエイドというソフトを軸にして実現できていた奇跡のような光景だった。
早乙女の視察のさなか、半割れにより南海地震が発生。
さらに首都直下型地震が発生し、さらに被害が重なった。
この地震で国会議員の多くに死傷者が出て、防災大臣も犠牲者となった。
早乙女は防災大臣となる。
その就任を祝うかのように巨大台風が発生し、各地震被災地を蹂躙する。
混乱に陥る首都圏。
一連の災害発生下で総理大臣、代理の副総理大臣が死亡。
3人目の継承順位は外務大臣と決まっていたが、彼は入院中。
次の総務大臣も入院中で、しかも82歳。
次いで、防災大臣が継承順位となる。
運命に導かれるかのように、早乙女は総理大臣に就任した。
そして、最後は富士山の噴火である。
災害の総合商社のような状況のなかである。
東海地震、東関海地震、南海地震、首都直下型地震、スーパーハリケーン、富士山噴火など・・・。
その懸念が報道でよく取り上げられるし、特別番組も放送されることがある。
首都機能の分散の議論もある。
ただし、実際に東京を離れた省庁は、記憶の限りでは文化庁のみ、か。
このことからも国の危機意識の薄さが垣間見える。
そのことを「保守的で大きな変化を嫌う臆病な島国の国民」と端的に表現する。
そんな国民性で、首都機能は分散化は推進されるのだろうか。
本書は『M8』や『TSUNAMI津波』、『東京大洪水』、『富士山噴火』など、数多くの災害関連の小説を発表してきた高嶋哲夫による。
新たな知見を重ねて、より大きな視点からストーリー展開は、読み応えたっぷりだった。
利根﨑は危機が予見されながら大して備えを進めない政府や行政に見切りをつけたように、独自に準備を進めていた。
内陸部や日本海側に複数の拠点を作りつつ、ネット環境を最大限活かした仕事のあり方を整備していった。
危機に対して本気で動くということは、そういうことなのかもしれない。
著者は小説という手段を通じて一人でも多くの国民に災害の危険性を訴えているのかもしれない。
そして、そのために何をすべきか考えさせている気がする。
小説として楽しむ面を持ちつつ、さらにそこから学ぶべきことも多いと思う。
でも、物語は予想外にも東海地震・東南海地震発生の3日後から始まる。
そのタイミングで環境大臣の早乙女美来は被災地に飛んだ。
多すぎるほどの連絡が入っている他の大臣と比較し、やや時間があったというのがその理由。
33歳、女性というのも動きやすさを後押ししたのかもしれない。
二世議員というのも。
そこで、早乙女が見たのは民間が開発したソフトを利用することで安定的な運営をしている避難所の状況だった。
それは利根﨑高志がCEOを務めるアース社が開発したエイドというソフトを軸にして実現できていた奇跡のような光景だった。
早乙女の視察のさなか、半割れにより南海地震が発生。
さらに首都直下型地震が発生し、さらに被害が重なった。
この地震で国会議員の多くに死傷者が出て、防災大臣も犠牲者となった。
早乙女は防災大臣となる。
その就任を祝うかのように巨大台風が発生し、各地震被災地を蹂躙する。
混乱に陥る首都圏。
一連の災害発生下で総理大臣、代理の副総理大臣が死亡。
3人目の継承順位は外務大臣と決まっていたが、彼は入院中。
次の総務大臣も入院中で、しかも82歳。
次いで、防災大臣が継承順位となる。
運命に導かれるかのように、早乙女は総理大臣に就任した。
そして、最後は富士山の噴火である。
災害の総合商社のような状況のなかである。
東海地震、東関海地震、南海地震、首都直下型地震、スーパーハリケーン、富士山噴火など・・・。
その懸念が報道でよく取り上げられるし、特別番組も放送されることがある。
首都機能の分散の議論もある。
ただし、実際に東京を離れた省庁は、記憶の限りでは文化庁のみ、か。
このことからも国の危機意識の薄さが垣間見える。
そのことを「保守的で大きな変化を嫌う臆病な島国の国民」と端的に表現する。
そんな国民性で、首都機能は分散化は推進されるのだろうか。
本書は『M8』や『TSUNAMI津波』、『東京大洪水』、『富士山噴火』など、数多くの災害関連の小説を発表してきた高嶋哲夫による。
新たな知見を重ねて、より大きな視点からストーリー展開は、読み応えたっぷりだった。
利根﨑は危機が予見されながら大して備えを進めない政府や行政に見切りをつけたように、独自に準備を進めていた。
内陸部や日本海側に複数の拠点を作りつつ、ネット環境を最大限活かした仕事のあり方を整備していった。
危機に対して本気で動くということは、そういうことなのかもしれない。
著者は小説という手段を通じて一人でも多くの国民に災害の危険性を訴えているのかもしれない。
そして、そのために何をすべきか考えさせている気がする。
小説として楽しむ面を持ちつつ、さらにそこから学ぶべきことも多いと思う。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント

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- ISBN:B0DLJQMYPT
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