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はなとゆめ+猫の本棚
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郵便配達屋さんが走る。すると街が動きだす。街の人々は郵便配達屋さんを待っている
 主人公の平本秋宏は郵便局の配達員。その秋宏と、町の人たちとの交流を描く、心温まる短編が4作品収録されている。郵便屋さんシリーズ第2巻目の本である。

 ごくまれなことだが、郵便局の配達員の人と、玄関で鉢合わせになることがある。すると必ず、配達員の人が大きな声で言う。

「いつも、ありがとうございます。お葉書を配達に参りました。」
そして、ハガキを手渡ししてくれ、大きくお辞儀をする。

 びっくりする。こんなことはかっては無かった。郵便屋さんと交流するなんてことはありえないと思っていたのだが、こんな丁寧なあいさつをされると、この小説のように配達屋さんとの交流は、今はあるんだ、だからこの本のような小説が誕生するのだと思う。

 今、私は、地区の神社の総代代表をしている。そのため、神社のお札の注文をとったり、そのお札を配り、代金を回収する大仕事を毎年する。それで担当地区80軒ほどのお宅を何回か訪問している。殆どは事務的なやりとりで終るのだが、話好きの人がいて、玄関に座らされて、お茶をだされ、話し込む家も結構ある。最近は、孤老住まいの家が多い。それで、ベッドから寝たきり老人を起こしたり、買い物などちょっとしたことも頼まれることもある。そしてお札配りだけではなく、たまに家に世間話をしに来てほしいと頼まれたりする。

 面白いのは、どの家庭も、訪ねると同じテレビ番組をみていること。

 郵便屋さんはバイクで風を切って走り回る。その感じをだすためか、この作品では、町が動いている。人々が交わり、生き生きと動いている。と表現しているが、正直私の町は、静かそのもので、歩いている人や、人の声を聞くことはめったにない。

 この作品集の最後の作品で、栗田という新米の小学校の先生が登場する。レイちゃんという両親からネグレクトされ、痣を何か所もつけて、学校にやってくる。栗田先生が言う。

 「何か辛いことがあったら先生に手紙を書いてね。」と。
痣はなくならないけど、レイちゃんは明るく元気になった。手紙は来ないけど、辛くなったら助けてくれる先生がいつもいてくれるという安心感がレイちゃんを励ます。
 この作品集では、最も印象に残った。
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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6225 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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