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ぱせりさん
ぱせり
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一夜のつもりが二十年。
『リップ・ヴァン・ウィンクル』は、ワシントン・アーヴィングの『スケッチ・ブック』の中の一編で、もとネタはドイツの伝説のようだ。日本の浦島太郎によく似ていることでも有名な作品だそう。


一夜、山の中で眠っただけのつもりが二十年がすぎていたというリップ・ヴァン・ウィンクル。
この物語によく似た出来事が、実際にあったのかもしれない。神隠し的に行方不明になった人が、ずっと後になってひょっと戻ってきた、というような出来事が。


浦島太郎が、竜宮城で面白おかしく過ごしたことも、もしかしたら一夜(ではなくて数十年)の眠りのなかで観た夢だったのかな。
『リップ・ヴァン・ウィンクル』は、目覚めて戻った後の、生まれ故郷での余生が丁寧に綴られているのがよかった。
あっというまに白髪のおじいさんになって終わる浦島太郎がその後どうなったのか、気になっていたのだけれど、リップのような余生を平和に送ることが出来たかもしれない。
リップ・ヴァン・ウィンクルが気のよい怠け者であることを思うと、『三年寝太郎』にもちょっと似ているように思う。


それにしても、物語の長閑なこと。二十年ぶりに帰ってきた父を、あまり騒ぎもせず、わが家に迎えたリップの娘の受け入れの広さがいい。村の人びとも、おおらかでいい。
大きな山の麓、というのもいい。


アーサー・ラッカムのカラー口絵を二十枚も擁した、豪華な本です。




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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1750 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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この書評へのコメント

  1. 2025-06-17 16:18

    ぱせりさん、こんにちは^^この本、映画「野獣死すべし」で松田優作が刑事にする話しですね♪

  2. ぱせり2025-06-17 18:51

    茜さん、こんにちは^^
    そうなんですか? 私はこの物語、初めて読んだのです。しかし、松田優作、懐かしいですね^^

  3. 2025-06-17 20:14

    はい、「野獣死すべし」の中ではリップ・ヴァン・ウィンクルは山へ狩りに行って、小人に会いお酒をご馳走になり、あまりに美味しくてどんどん酔ってしまい眠ってしまい、目が覚めて村へ戻ると何十年もの歳月が経ってという話しで、刑事がそんなに美味しいお酒なら名前を知りたいと言って、「X・・Y・・Z」そう、これで終わりって酒だ!と刑事を銃殺するって流れでした。ユーチューブに以前はこの場面がアップされていたのですが、探してみたんですけれどありませんでした^^;

  4. ぱせり2025-06-17 20:29

    それは、前半は確かに『リップ・ヴァン・ウィンクル』ですね!
    でも、後半が怖いー((( ;゚Д゚)))

  5. 2025-06-17 23:50

    ですよね><松田優作の淡々とした喋りとその後が狂気でしたw

  6. hacker2025-06-18 09:03

    すいません。映画の話となると、つい口をだしたくなって。

    松田優作の『野獣死すべし』(1980年)は大藪春彦原作なのですが、原作とはかなり違っています。松田優作は、役作りのため、過酷な減量をした上に、奥歯を抜いたと言われています。彼と監督の村川透の代表作であることは間違いありませんが、リップ・ヴァン・ウィンクルとは別に、ラストをどう解釈するのかというのは、大きな話題でした。あと、小林麻美がきれいでした。

    なお、役作りのために歯を抜いたというのは、木下恵介監督の『楢山節孝』(1958年)で、おりんを演じた田中絹代が、前歯を抜いたという例があります。

    仲代達也が主演した『野獣死すべし』(1959年)もあり、こちらは、かなり原作に近いストーリーでした。仲代達也が、容疑者として自分を訪れた刑事を適当にあしらった後で、「お茶も差し上げませんで」というにくい台詞とともに追い返す場面が印象的でした。

  7. ぱせり2025-06-18 11:49

    hackerさん。すごい作品ですね。映画人の気迫に圧倒されます。茜さんが読んでくださるといいな。

  8. 2025-06-18 13:11

    hackerさん、ぱせりさん、読みました。松田優作の歯を抜いたという話しは私も知っています^^仲代達也さん版はまだ未視聴です。松田優作版のラストは衝撃でしたね^^

  9. No Image

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