休蔵さん
レビュアー:
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「図書館を建てる、図書館で暮らす」なんて、なんとまあ魅かれるタイトルだろう。そして、副題は「本のための家づくり」。ああ、理想だ。
購入した本を見える状態で配架したいという願望は、きっと本好きの多くが抱える希望であるはず。
それは蔵書量の多寡に関わらず、だと思う。
自身が選んで購入した本をずらりと並べる、気分によって並び替えもする。
本棚1~2台に収まる蔵書量の時には、まだそれは可能だった。
でも、やがて本は棚に収まりきらなくなり、本が床を支配するようになり、どこにどんな本があるかさえ把握できなくなると、配架するなんて夢物語と思ってします。
ついには2冊目を購入する愚行すらおかすようになってしまった。
情けない。
もし自分で理想的な家を作るとしたら、蔵書全てをすっきり収めることができる書庫を持つ家となるだろうか。
でも書庫を家の中に築くことは、現実的にはなかなか難しい。
そんな難しいことを実現した実際が描かれているのが本書である。
2019年に竣工した「森の図書館」。
それは貸出や閲覧に対応する図書施設ではなく、個人の住宅のこと。
そこで著者は約5万冊の蔵書と同居する。
なんとまあ、驚くべき冊数だ。
著者は岩波文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫等、全巻を集めようとしたり、全集類を揃えたりしているそうだから、驚くべき冊数の謎が解けた気がする。
「森の図書館」は本棚に対してもこだわり満点で、九州大学のキャンパス移転に伴って廃棄の危機に直面していた木製什器のレスキュープロジェクトに対応する形で入手した約90年前の設計のものという。
たまたまというようなタイミングで立ち上がった九州大学総合研究博物館を中心としたプロジェクト。
この奇跡的なタイミングは、単なる偶然として済ませるには出来過ぎた話だ。
いずれにせよ、レスキューしたい人たちと、理想的な本棚を求める人がつながり、歴史的な木製什器は、その機能を活かしたまま存続することになった。
また、大テーブルも一緒に救出されてきたそうだ。
本書は家づくりだけでは終わらず、本にまつわる様々な話題も盛り込まれている。
「本にまつわる仕事」の章では、本に関する展覧会について紹介されていた。
「世界を変えた書物展」という展覧会があったそうな。
2012年には金沢21世紀美術館1階市民ギャラリーA、2013年には名古屋市民科学館地下2階イベントホール、2015年にはグランフロント大阪北館ナレッジキャピタルイベントラボ、2018年には上野の森美術館、2019年にはJR九州ホールJR博多シティ9階、2022年には金沢21世紀美術館1階市民ギャラリーA・地下1階市民ギャラりーBで開催してきたと。
不覚にもまったく知らなかった。
そこではアリストテレスやエウクレイデス、コペルニクス、ガリレイ、デカルト、ニュートン、アインシュタイン、ラザフォードなどの古典的名著を集めた「工学の曙文庫」に関する書物が展示されたという。
蔵書の悩みはよく見聞きする。
ただ、解決まで辿り着いた姿を見ることはほとんどなかった。
本書は理想的な解の1つを示してくれた。
もちろん自分ではそんな理想を追い求めることなんて不可能だ。
だからこそ、本を通してその理想に少しだけでも触れ得たことが嬉しくもあった気がする。
家全体を理想形にすることは無理だとしても、本を並び替えるといった方法で蔵書を楽しむことはできそうだ。
本をもっと自由に楽しもうと思った。
それは蔵書量の多寡に関わらず、だと思う。
自身が選んで購入した本をずらりと並べる、気分によって並び替えもする。
本棚1~2台に収まる蔵書量の時には、まだそれは可能だった。
でも、やがて本は棚に収まりきらなくなり、本が床を支配するようになり、どこにどんな本があるかさえ把握できなくなると、配架するなんて夢物語と思ってします。
ついには2冊目を購入する愚行すらおかすようになってしまった。
情けない。
もし自分で理想的な家を作るとしたら、蔵書全てをすっきり収めることができる書庫を持つ家となるだろうか。
でも書庫を家の中に築くことは、現実的にはなかなか難しい。
そんな難しいことを実現した実際が描かれているのが本書である。
2019年に竣工した「森の図書館」。
それは貸出や閲覧に対応する図書施設ではなく、個人の住宅のこと。
そこで著者は約5万冊の蔵書と同居する。
なんとまあ、驚くべき冊数だ。
著者は岩波文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫等、全巻を集めようとしたり、全集類を揃えたりしているそうだから、驚くべき冊数の謎が解けた気がする。
「森の図書館」は本棚に対してもこだわり満点で、九州大学のキャンパス移転に伴って廃棄の危機に直面していた木製什器のレスキュープロジェクトに対応する形で入手した約90年前の設計のものという。
たまたまというようなタイミングで立ち上がった九州大学総合研究博物館を中心としたプロジェクト。
この奇跡的なタイミングは、単なる偶然として済ませるには出来過ぎた話だ。
いずれにせよ、レスキューしたい人たちと、理想的な本棚を求める人がつながり、歴史的な木製什器は、その機能を活かしたまま存続することになった。
また、大テーブルも一緒に救出されてきたそうだ。
本書は家づくりだけでは終わらず、本にまつわる様々な話題も盛り込まれている。
「本にまつわる仕事」の章では、本に関する展覧会について紹介されていた。
「世界を変えた書物展」という展覧会があったそうな。
2012年には金沢21世紀美術館1階市民ギャラリーA、2013年には名古屋市民科学館地下2階イベントホール、2015年にはグランフロント大阪北館ナレッジキャピタルイベントラボ、2018年には上野の森美術館、2019年にはJR九州ホールJR博多シティ9階、2022年には金沢21世紀美術館1階市民ギャラリーA・地下1階市民ギャラりーBで開催してきたと。
不覚にもまったく知らなかった。
そこではアリストテレスやエウクレイデス、コペルニクス、ガリレイ、デカルト、ニュートン、アインシュタイン、ラザフォードなどの古典的名著を集めた「工学の曙文庫」に関する書物が展示されたという。
蔵書の悩みはよく見聞きする。
ただ、解決まで辿り着いた姿を見ることはほとんどなかった。
本書は理想的な解の1つを示してくれた。
もちろん自分ではそんな理想を追い求めることなんて不可能だ。
だからこそ、本を通してその理想に少しだけでも触れ得たことが嬉しくもあった気がする。
家全体を理想形にすることは無理だとしても、本を並び替えるといった方法で蔵書を楽しむことはできそうだ。
本をもっと自由に楽しもうと思った。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント

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- 出版社:新潮社
- ページ数:0
- ISBN:B0DP1SL5XF
- 発売日:2024年12月18日
- 価格:3267円
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