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DBさん
DB
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鳥語を解明した博士の本
家の近くで見る鳥といえばカラスかスズメかハトくらい、春から夏にかけてツバメを見つけるとラッキーな気になる都会暮らしですが、夕暮れ時に小鳥が街路樹の中でピーピー鳴きかわしているのを聞くと「絶対今日あったこととか、明日どこ行く~とか話してるんだ」と思っていました。
本書では東大に研究室を持つ鳥類学者が鳥にも言葉があるということを証明するまでの経緯を紹介してありました。

著者の鈴木博士の研究対象はシジュウカラ、日本全国街から山までどこにでもいる身近な鳥で、鳴き声のレパートリーが驚くほど豊富だそうです。
鈴木博士が大学三年の時、軽井沢で野鳥の観察をしていると、シジュウカラ、コガラ、ヤマガラ、ヒガラ、ゴジュウカラといったカラ類にコゲラやアカゲラといったキツツキも加わって混群という集団を形成しているのに出会ったそうです。
そこでコガラが「ディー、ディー、ディー」と繰り返し激しく鳴いているので見てみると、シジュウカラやヤマガラたちがコガラの方へ急いで飛んでいくのが目に入り、誰かがヒマワリの種をまいてあるところに集まっていったそうだ。
これがシジュウカラだと「ヂヂヂヂ」という鳴き声になるが、群れを呼び寄せて一緒に餌を食べることで見張りの目を増やし安全を確保しているのだとか。
こうして研究対象がシジュウカラの鳴き声に決まったあとは地道なフィールドワークが果てしなく続く。

秋から冬にかけて混群を作るシジュウカラたちを十月から三カ月毎日追いかけ、ひたすら鳴き声とその時の状況を記録していく。
そこでコガラの「ディー、ディー」やシジュウカラの「ヂヂヂヂ」、ヤマガラの「ニーニー」という鳴き声が仲間を集めるための呼び声だろうと見当はついたが、その検証のために音声を録音したものを流して鳥たちがどんな反応を示すかを観察していきます。
こうして初めて「集まれ」という意味の鳥語を理解した鈴木博士は、さらにヘビが出た時とカラスが来た時に親鳥が雛に対して異なる警戒音を出すことや、その警戒音に対するヒナの反応の違い、そして「ピーツピ・ヂヂヂヂ」と警戒音と集合を指示する鳴き声を組み合わせて仲間を呼び寄せて敵を威嚇する行動をとることを発見していきます。
論文を書く時の話や学会発表での話、そして鳥箱を設置して両親が目を配ってくれるおかげでシジュウカラの競争率が激しい実家の庭の話など楽しいエピソードも語られています。
今度シジュウカラを見かけたら、何を話しているのかよく聞いてみたいと思いました。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2053 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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