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ぱせりさん
ぱせり
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小鳥は言葉を使い、文を組み立てて会話している
シジュウカラ(コガラなど、ほかのカラ類も)のさえずりが、意味のある「言葉」であり、言葉を使ってコミュニケーションをすること、単語をつなげて文を作ること(語順――文法もある)や、羽根の仕草までも使って会話をしている事などを知ったのは、2024年の春に放映されたNHKテレビ『ダーウィンが来た!』の『聞いてびっくり!鳥語講座』の回だった。
散歩中、可愛い声を聞かせてくれるあの鳥たちは、こんなことを仲間たちに伝えているのか、あの鳴き声にも意味があるのか、と一気に世界が広がるような気持ちになった。


小鳥の「言葉」を発見し、長年、研究を進めてきたのが、この本の著者、鈴木俊貴さん。
この本は、小鳥たちの言語活動のありようを語るとともに、著者による観察、発見、証明の方法や試行錯誤について、語っている。
アカデミーの世界で絶賛される研究であるが、この本は、難しくない。わたしたち一般の人間にわかりやすい言葉で語ってくれる。小鳥たちのバイリンガルぶりを大柴ルーさんの「ルー語」に喩えたり、小鳥たちが二語文を話すことの証明を「ぼく・ドラえもん」に喩えて説明してくれるので、楽しく、鮮明にイメージすることが出来た。


もともと好きなこと、興味のあることに向かってただ進んでいく(もちろんさまざまな障壁に当ったりするが)著者の研究の日々の記録は、未知の世界を探検する探検記のようでもある。


人間だけが言葉を持つ、という決めつけ、人間至上主義が、人間の生きる世界を狭くしていないか。
知らないから、理解できないから、という理由で、「ない」と決めつけることは傲慢ではないか。
著者は、数十万年前には人間も鳥の言葉を理解していたに違いない、という。
「いつしか人間は自らの持つ「言葉」によって人間と自然を切り分けていった。(中略)そして、とうとう動物たちの言葉を理解できなくなってしまった」と。
諸々の環境問題も、井の中の蛙になってしまった人間の暴走によるところが大きいと言う。


シジュウカラ語を研究する著者は、人間とシジュウカラの言語能力のちがいから、人間にできてシジュウカラにできないことがある、という。また、シジュウカラにできて人間にできないこともある、という。どちらも一長一短、というの、いいな。
他の動物たちはどんな言葉で仲間たちとコミュニケーションをしているのだろう。
いつか人も動物語のバイリンガルになれるかな。

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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1750 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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