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DBさん
DB
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ペンギン観察をまとめた本
南極を中心にペンギンの研究と観察を続けた著者によるペンギン本です。
最初にペンギンの泳ぐ姿を「泳ぐように飛ぶ」と表現した雑誌を紹介しています。
「飛ぶようにに泳ぐ」の間違いではないか、と読者から指摘があったそうですが、空を捨てて海での生活を選んだペンギンの泳ぎはやはり泳ぐように飛んでいるのだとか。
翼をフリッパーに変えて水中での抵抗力を減らし、海面に浮かないように重い身体になり、水の抵抗が一番少ない紡錘形の体形となったのがペンギンだ。
「死んだ水夫の魂はアホウドリかペンギンに宿る」という言い伝えがあるそうですが、空を統べるアホウドリか海を制したペンギンという二大海鳥だ。

イルカが海中から連続ジャンプしながら泳いでいる姿を動画で見ると「楽しそうに遊んでいる」と思っていたが、ペンギンも「イルカ泳ぎ」と呼ばれる同じような泳ぎ方をすることがあるそうです。
実はこの泳ぎは最小限のエネルギー消費で息継ぎをしていて、この泳ぎ方の方が普通の泳ぎよりも代謝率が小さいという合理的な泳ぎ方なんだそう。

南半球に生息するペンギンを日本で目にする機会は水族館しかないが、代表的なペンギンは十七種、孤島にしか住んでいない地域限定の種も含めて世界には二十五種類のペンギンがいる。
日本ではそのうちの十一種類が飼育されているそうで、彼らの見分け方を解説していますがその解説が面白い。
キングペンギン「一見王様ぶっているが、人の鞄を覗きにやってきたり、ゴムボートをみんなで追っかけてきたりする癖がどうしてもなおらない」
ジェンツーペンギン「親も子もきれい好きで、とっつきにくい」
アデリーペンギン「もっとも表情豊かで騒がしく、喧嘩が絶えず、雛は泥んこ。呼ぶと返事をしながら走ってきて、こちらの表情を片目で観察する」
ヒゲペンギン「アデリーペンギン属の中で最もやんちゃ。カシャカシャカシャという特徴のあるしゃがれ声がいい」
イワトビペンギン「犬でさえ尻尾を巻いて逃げ出してしまうほどの喧嘩好き」
マゼランペンギン「人間にいじめられた歴史が長いので、南極のペンギンの様な楽観的な好奇心は微塵もない」
著者が観察所で楽しみながら観察している風景が浮かんできて楽しい。

他にもペンギンの繁殖や捕食、雛の柄や換羽方法の違い、ペンギンの進化の歴史など多岐にわたった話が語られていて、興味深い本だった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2049 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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