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星落秋風五丈原
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私たちを助けてくれるのは誰?
 スギョンは30代、失業中。「個人投資家」の夫と、スギョンの父と母、さらに甥っ子が2人(高校生と小学生)が、ソウルの古くて狭い2DKのマンションに暮らしている。金を稼いでくる大人が1人もいない。どうしてこうなった。

 発端は、スギョンが職場の同僚にけしからん薬を飲まされて、あわや…という事態になったことだ。未遂だったが、いわばスギョンは被害者なのに、会社で居づらくなり、他人が信じられず、人が怖くなったスギョンは退社した。憤って甥は相手を殴り、そのために示談金が必要となった。慌てた父は怪しい詐欺に簡単に引っかかってしまう。夫は退職して自称起業中の身だが、なかなか金がたまらず、頼っていった先輩は、怪しげな商売を紹介する。悪の連鎖である。悪いことをした者が生き残り、被害者が不幸のループから抜け出ず、悪いことにはどんどん深みにはまっていく。誰が、何が、ストッパーになるのか。

 某Uのようなプラットフォーム労働、ギグワーク、詐欺、被害者及び告発者の保護と補償、等々、韓国社会の現代を軽妙な文章で活写する、一つの家族を主人公に据えた群像劇。冒頭に家族構成図のイラストがあるので、わかりやすい。韓国社会の隅っこから、零れ落ちそうなプロレタリアが、彼等の他に、今何人いるのだろうか。
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2327 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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