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morimoriさん
morimori
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聞いて聞き捨て、語って語り捨ての黒白の間、聞き手は神田袋物屋三島屋の次男2代目富次郎。語り手3人が語る怪奇譚。
 「猫の刻参り」「甲羅の伊達」「百本包丁」のタイトルからは想像以上の怪奇譚が、黒白の間で語られる。そして、語りの合間には三島屋のお家事情をも知ることができる。

 初代聞き手のちかから引き継いだ富次郎は、御年23歳で絵師を志したいと勘当覚悟で父伊兵衛に懇願する。三島屋は、長男伊一郎が継ぐことになり富次郎の立場は、気楽な子旦那だ。叱られると思いきや変わり百物語を続けるなどの条件付きで花山蟷螂師匠につくことを許された。そもそも、変わり百物語は百話まで満たしてしまうとその場で怪異が起こるため99話にしなければならないという。さらに、始めたからには99話まで満たさずに止めると恐ろしい凶事を招くという。

 そんなこんなで始まった 「猫の刻参り」は嫁ぎ先で夫の放蕩、姑の嫁いびり、さらには月足らずの赤子を亡くしてしまった悲しみと辛い立場にあったおぶんに代わって猫が起こす怪奇譚。語る孫のお文は、熱病に冒され顔の半分が膠で塗り固められたようになってしまい良縁も破談となり死を決意しいざ、となった時ずっと様子を窺っていた祖母から聞いた話だという。

  「甲羅の伊達」語り手は三島屋の小僧新太と仲良しの深川金巻の爪吉。3ヶ月前に亡くなった大旦那からいつか三島屋さんの変わり百物語で語って聞いてもらうよう言いつけられたという。かわいらしい小僧さんが語る話は、大旦那が小僧として奉公していた金巻で起こった怪異。長編であったが、骸党を名のる盗賊一味の襲撃と略奪から村人が一体となって村を守った内容は、迫力あり恐怖あり緊迫感ありで、この話いったい誰が語っていたのだったっけ?と語り手の存在を忘れるほどのめりこむ怪異譚だった。

 どの作品も素晴らしかったのだが、一番心に伝わったのが 「百本包丁」♪包丁一本晒しに巻いて♪ではなく、百本というからなんなのか?この話も村で起こった怪異なのだが、命からがら逃げきった母と娘が体験する怪異は、ファンタジックな内容だ。しかし、人としての在り方、生き方が現在にも通じる点があると感じた。さらに、安心感と危機感が表裏一体この先何があるのだろう母と娘はどうなるのだろう。長編を3作品読み終え満足感でいっぱいになったところで、三島屋の危機!
長男の伊一郎が、命の危険にさらされた。兄想いの富次郎がとった行動は、
果たしてこの先大丈夫なのか・・・どうする富次郎。どうなる三島屋。

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morimori
morimori さん本が好き!1級(書評数:951 件)

多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。

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この書評へのコメント

  1. 星落秋風五丈原2025-03-17 09:53

    morimoriさんみなさんこんにちは。早いですね!私はまだ図書館予約待ちの長い列の中にいます(涙)。

  2. morimori2025-03-17 14:39

    星落秋風五丈原さん コメントありがとうございます。
    図書館で仕事をしていると予約の多い本、新刊は借りられないので、購入しました。
    予約の方は、もうしばらくお待ちくださいませ。(笑)

  3. No Image

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