編者は作家で翻訳家の西崎憲氏。
国書刊行会らしい布張り箔押しの高級感のある装丁。しかもこれ水や脂に強く耐久性のあるクロス装なのだとか。
まず刊行されたのは4月、5月、6月の本。
続いて3冊ずつ、4回に分けて配本予定。
パンフレット(※リンク先は出版社HP)には収録作品も掲載されていて、手の内を明かしても売れると踏んでいる自信がうかがえる。
(こういうのはやっぱり、12冊並べてみたくなっちゃうよね。)と思いつつも、お財布とも相談の上、まずは1冊、5月の本を手に取ってみた。
「五月」(尾形亀之助)「五月の唯物観」(寺田寅彦)「五月の人ごみ」(谷川俊太郎)「五月の鰹」(吉田健一)など、タイトルに“五月”とあるものの他、
毎年、五月も半ばごろになると(須賀敦子「アスパラガスの記憶」)、
五月の或る午後のことであった。(堀辰雄「あいびき」)など文中で五月と特定する作品など、収録作品は33篇。
吉屋信子が馬主であったことに驚くも、最初に行った競馬場がパリの…とあって、なぜか納得(「馬と私」)。
野上弥生子の「五月の庭」は、伊藤野枝と交流したあの庭かしらと想いをはせたり、渋澤龍彦の訳したレオノーラ・カリントンの「最初の舞踏会」にぞぞっとしたりも。
翻訳もの3作を含め、詩あり、小説あり、随筆ありのバラエティーに富んだ収録で、読み心地もいろいろなので、一気に読んでも、少しずつ読んでも、どこから読んでも問題ない。
ただし、編纂者の嗜好によるものかもしれないが、「5月」という月に期待しがちなさわやかなイメージの作品よりも、どちらかというと5月病を連想してしまいそうな暗めの作品が多い気がしないでも。
こういうのを読み始めてしまうと、(他にはどんな5月があったかしら?)とついつい探し始めてしまうのもお約束だ。
本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- toribakohouse2025-05-12 07:33
流石は国書刊行会な凄いラインナップですね!個人的には須賀敦子、石垣りん、尾形亀之助(七月堂から出てた「カステーラのような明るい夜」とか良かった)、レオノーラ・カリントン(最近話題のオカルトに通暁していたヒルマアフクリント(この展覧会は凄かった)に通じる気がして)が気になります。
ただ、アンソロジーはちょっと苦手なんですけどね、、、クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - toribakohouse2025-05-12 08:58
そうなんですよね、、、好きなもの100%を自分の棚には詰め込みたいわたしとしてはそこがアンソロジーの悩ましいところですが、一応買うかもリストには登録しときました。
それにしても国書刊行会は装丁もいいし、このようなシリーズは悩ましくて困りますよね(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - toribakohouse2025-05-12 09:15
それはいいアイデア!私も欲しいです!
もっともこれをプレゼントしようと思えるような人は全く思い浮かびませんが、、
でも自分の誕生月だけ買うのもありな気がしてきましたね(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - toribakohouse2025-05-12 12:26
私の周りには本好きがいないからどうしようもないですが、本好きの叔母なら絶好のプレゼントじゃないですかね?
本好きなら趣味を押し付けられるのは嫌だけど色がない月毎セレクトなら逆にありがたいし(国書刊行会なら最低センス保証はあるし)、云わんや自分の誕生月でこの美しい装丁の本ならテンション爆上がりすること間違いなしだと思いますけどね。
私なら貰った時点で中身に関わらずこの本を高く上げて小躍りするに違いないですよo(^-^o)(o^-^)oクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:国書刊行会
- ページ数:0
- ISBN:9784336077387
- 発売日:2025年03月19日
- 価格:3080円
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