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ぷるーと
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アメリカの共産主義者の苦難の歴史。
朝鮮戦争勃発後まもない1950年夏、マンハッタンで機械商を営むジュリアス・ローゼンバーグがソ連のために原爆の技術情報をスパイしていたとして逮捕され、翌年死刑判決が下された。ローゼンバーグ夫妻原爆スパイ事件は政府やFBIのでっちあげではないかという疑いが持たれ、再審要求のキャンペーンが繰り広げられたが、夫妻は1953年に処刑された。

『ダニエル書』は、ローゼンバーグ事件とアメリカ共産主義をテーマに据えている。
主人公のダニエルは、ローゼンバーグ夫婦がモデルであるアイザックソン夫婦の長男。彼自身は、アイザックソン夫妻の遺児であることで注目されたり差別されたりすることに辟易し、亡くなった両親のことにははあまり関わらないというスタンスをとっていた。一方、妹のスーザンは自分がアイザックソン夫妻の遺児であることにこだわり続け、活動し、大怪我を負って精神病院に収容されていた。ダニエルは、養父母とともに病院から妹を引き取りに行ったとき妹からかけられた言葉で、それまでの態度を変え始める。

この作品は、ヴェトナム戦争の時代から60年代を振り返りながらアメリカの共産主義者の苦難の歴史をうかびあがらせることであの時代はなんだったのかを検証するという展開になっているのだが、主人公のダニエルが一人称で語っていたかと思うと突然三人称で「ダニエルは・・・」と客観的な描写になったりするという奇妙な構成になっている。また、時制も現在から両親が生きていた時代に変わったりとかなりややこしく、読みづらい。

朝鮮戦争の真っ只中、原爆開発に絡むスパイ活動はアメリカ国家としては許すべからざる行為だった。左翼運動家にとっては、受難の時代だったのだろう。読んでいて、全く系統は違うが、高村薫の『神の火』を思い出したりした。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2931 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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