DBさん
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アステカとマヤの創造神話の本
メソアメリカ文明としてまとめられるアステカとマヤの神話を解説した本です。
だいぶ前に博物館でアステカやマヤの展示を見に行ったことがあって、初めて見る造形の神々の姿や、生贄の詳細を語る説明が衝撃的だったことを覚えている。
その後『太陽と月の神殿』や『メキシコ古代都市の謎』を読んで少しメソアメリカ文明に触れることができたが、どちらかといえば遺跡発掘系の本だったので神話や神々についてまとめられた本書はメソアメリカ文明を別の角度から見ることができた。
メソアメリカでとりわけ繫栄したのはテオティワカンで、西暦紀元ごろに太陽の神殿が建てられはじめているがこの地で太陽と月が生まれたと信じられているそうです。
古代メソアメリカでは暦が時間ばかりでなく空間を定めることにも結び付いており、暦は神聖な力や危険な力の満ちてくる間隔を知るためのものであった。
天体を観察し暦の中に神々の営みを見て、神々に犠牲を捧げる人々の信じる神とはどのようなものだったのだろう。
アステカ人にとって創造とは二者の対立や衝突の結果生じるものであることから、彼らの神も「二元性の神」だった。
一神教のキリスト教徒と相性悪そう。
アステカの創造神話で中心的な役割を果たすのがケツァルコアトルとテスカトリポカの二神で、今の世界は五つ目の太陽の世界でありそれ以前の四つの太陽の世界は神々の手によって破壊されたという。
ちなみに三つ目の太陽の世界を破壊したのは洪水だった。
ケツァルコアトルとテスカトリポカが協力して作った五つ目の太陽の世界はトラルテクトリという怪物の姿をした女神を引き裂いて作り出されたものだったが、この引き裂かれた女神をなだめるために生贄にした人間の血肉を十分に与えることで大地の実りを得ることができるという。
そしてアステカの五番目の太陽ですが、これも神々の中で太陽になるものを決めて燃える火の中に飛び込ませ太陽となったという。
もう一人の神が同じく燃える火に飛び込んで月となったが、明るすぎたので別の神がウサギを投げつけて暗くなり今の月になったそうです。
マヤではアステカのような一大王国ではなく都市国家同士が抗争を繰り返すような地域だったが、マヤの神話は植民地時代初期に書かれた『ポポル・ヴフ』に残されている。
マヤの創造神話では神々はまず動物たちを作ったが、彼らは知能が足りず神々を崇めることができなかったために次の人間の食糧用として野に留められた。
次いで泥から作られた人間は脆くて崩れてしまい、木から作られた人間は魂を持たなかったために大洪水で滅ぼされる。
最後のトウモロコシで作られた人間が今の人間となるのですが、その人間を作り上げるための双子の神の冒険がなかなか複雑で面白い。
メソアメリカの神話を知ることができたので、次に博物館に行ったらもっと楽しめるだろう。
だいぶ前に博物館でアステカやマヤの展示を見に行ったことがあって、初めて見る造形の神々の姿や、生贄の詳細を語る説明が衝撃的だったことを覚えている。
その後『太陽と月の神殿』や『メキシコ古代都市の謎』を読んで少しメソアメリカ文明に触れることができたが、どちらかといえば遺跡発掘系の本だったので神話や神々についてまとめられた本書はメソアメリカ文明を別の角度から見ることができた。
メソアメリカでとりわけ繫栄したのはテオティワカンで、西暦紀元ごろに太陽の神殿が建てられはじめているがこの地で太陽と月が生まれたと信じられているそうです。
古代メソアメリカでは暦が時間ばかりでなく空間を定めることにも結び付いており、暦は神聖な力や危険な力の満ちてくる間隔を知るためのものであった。
天体を観察し暦の中に神々の営みを見て、神々に犠牲を捧げる人々の信じる神とはどのようなものだったのだろう。
アステカ人にとって創造とは二者の対立や衝突の結果生じるものであることから、彼らの神も「二元性の神」だった。
一神教のキリスト教徒と相性悪そう。
アステカの創造神話で中心的な役割を果たすのがケツァルコアトルとテスカトリポカの二神で、今の世界は五つ目の太陽の世界でありそれ以前の四つの太陽の世界は神々の手によって破壊されたという。
ちなみに三つ目の太陽の世界を破壊したのは洪水だった。
ケツァルコアトルとテスカトリポカが協力して作った五つ目の太陽の世界はトラルテクトリという怪物の姿をした女神を引き裂いて作り出されたものだったが、この引き裂かれた女神をなだめるために生贄にした人間の血肉を十分に与えることで大地の実りを得ることができるという。
そしてアステカの五番目の太陽ですが、これも神々の中で太陽になるものを決めて燃える火の中に飛び込ませ太陽となったという。
もう一人の神が同じく燃える火に飛び込んで月となったが、明るすぎたので別の神がウサギを投げつけて暗くなり今の月になったそうです。
マヤではアステカのような一大王国ではなく都市国家同士が抗争を繰り返すような地域だったが、マヤの神話は植民地時代初期に書かれた『ポポル・ヴフ』に残されている。
マヤの創造神話では神々はまず動物たちを作ったが、彼らは知能が足りず神々を崇めることができなかったために次の人間の食糧用として野に留められた。
次いで泥から作られた人間は脆くて崩れてしまい、木から作られた人間は魂を持たなかったために大洪水で滅ぼされる。
最後のトウモロコシで作られた人間が今の人間となるのですが、その人間を作り上げるための双子の神の冒険がなかなか複雑で面白い。
メソアメリカの神話を知ることができたので、次に博物館に行ったらもっと楽しめるだろう。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:筑摩書房
- ページ数:0
- ISBN:9784480512628
- 発売日:2024年11月09日
- 価格:1320円
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