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ぱせりさん
ぱせり
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「ある石は空を飛び、ある石は女の目を飾り、ある石は薔薇の花の夢を見ていた」
「ある石は空を飛び、ある石は女の目を飾り、ある石は薔薇の花の夢を見ていた」
ほんとうにそういうことがあったのか。石、不思議だな。


ある鉱物専門店の店員に
「みなさん、ご自分はふつうと思っていらっしゃるんです。でもね、傍から見たら、とんでもない変人で」
と言われるような、石に取りつかれた人々が次々と出てくる。
ライアル・ワトソン、アニー・ディラード、ゲーテ、ニーチェ、ユング、宮沢賢治……様々な分野の著名人たちが、どうして石に魅せられ、人生のなかで、どのように石と関わってきたのか、遺された文章を引用しながら、振り返る。
また、世界各地の民話や神話には、石が重要な役割を果たす物語がどんなに多いことか。この本に取り上げられたあの物語この物語のほかにも、知っている物語がちらほらと思い浮かぶ。


特に石好きじゃなくても、子どものころに、道端の石ころを蹴り蹴り歩いているうちに別れがたくなり、大事に持ちかえった思い出を持っている人、きっといるでしょう。
海辺や河原では、きれいな石を探してしまうし。


物言わぬ石が実はおどろくほどたくさんの言葉を語っている。
動かぬはずの石が、空を飛ぶこともある。
人に火をあたえ、薬にもなる。
石を透かしてみれば、そこに誰かがいるように思えてくる。あるいは、石全体が一つの意志と知恵とを湛えてそこにあるように感じる。
石について語れば、そこに関わった人の姿が浮かび上がり、人の歴史も浮かび上がる。逆に、人について語れば、石の姿が際立ってくる。


いかに石について表面だけしか見ていなかったことか。気をつけて石に向かい合おうとすれば、きっと石はこちらが思っている以上の言葉を語ってくれる。
「傍から見たら、とんでもない変人」ですって。もしかしたら、それはとても幸せな人たちなのかもしれない。

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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1729 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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