efさん
レビュアー:
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左利きは何故これほどまでに迫害され、その後受容されていったのか?
今ではそんなことはないのですが、昔は世界各地で左利きは軽蔑され、迫害された歴史があったという本であります。
それは言葉にも多々残っているそうで、左(利き)が悪い意味を持つ言葉というのは世界各地に色々あるのだそうです。
なんでそんなに左利きは忌み嫌われたのか?
諸説あるということのようなのですが、その一つに、太陽が昇る時、その方角に顔を向けると、右手は温かな南になるのに、左手は寒冷な北になるため、左側は嫌われたのだという説などが紹介されています。
う~む……そうなのか。
あるいはまた、キリスト教などが左を忌み嫌う習慣に拍車をかけたのだとも。
聖書には左が悪い側とする表現が多々あり、それが左側は悪、不浄等の観念を定着させ、左利きは良くないなどと忌み嫌われたのではないかとも指摘されています。
左利きには犯罪者が多いとか、精神障碍者が多いなどというトンデモ学説なども多々出て来たとか。
学校教育もこの偏見を助長したと指摘されています。昔は文字を書くのは絶対に右手というような強引な教育が普通に行われていたとか。
どうしてそんなに左利きが嫌われたのかが今一つはっきりしないのですが、単純に少数派だからということではないんですかね? 世の大多数が右利きであり、それから見ると左利きは奇異に感じられ、少数派だったことから悪く言われたというような。
でも、日本ではそうでもないですよね。左は高貴とされる文化もあったわけです(左大臣の方が右大臣よりも格上ですし、左側を地位が上とする文化もあったわけです)。
巻末解説によれば実際にそうであったけれど、中国からの大陸文化の影響で、「左遷」とか「左巻き」などの左を悪く言う文化も入って来たのだとしています。
まあ、今では左利きだから特に悪く言われるなんていうことは昔の様にはなく、スポーツの分野などではサウスポーにはアドバンテージが認められていたりもします。
ただまあ、やはり少数派ではあるため、例えば左利き用の道具などはまだまだ不十分なのかもしれません。
私が子供の頃、親に無理矢理左利きを矯正されたという子供って結構いたように思うのですが、あれはどうなんでしょうね?
左利きが悪とか不浄という観念からのことではなく、左利きだと(当時は特に)左利き用の道具なども乏しかったため色々苦労するからという親心で直していたようにも思えます。ただ、無理矢理直すと吃音等の障害が出ることは本書にも指摘されています。
というわけで、本書はどのように左利きは迫害されたのか、その後どのようにして受容され、いや一歩進んで羨むような気持まで生まれるようになったのかという歴史を辿った一冊でございます。
私は右利きなのですが、ここをお読みになってくれた方の中にも左利きの方は絶対にいそうです。「私は左利き~」と言う方、(左)手を挙げて~(笑)。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)/265ページ:2024/09/08
それは言葉にも多々残っているそうで、左(利き)が悪い意味を持つ言葉というのは世界各地に色々あるのだそうです。
なんでそんなに左利きは忌み嫌われたのか?
諸説あるということのようなのですが、その一つに、太陽が昇る時、その方角に顔を向けると、右手は温かな南になるのに、左手は寒冷な北になるため、左側は嫌われたのだという説などが紹介されています。
う~む……そうなのか。
あるいはまた、キリスト教などが左を忌み嫌う習慣に拍車をかけたのだとも。
聖書には左が悪い側とする表現が多々あり、それが左側は悪、不浄等の観念を定着させ、左利きは良くないなどと忌み嫌われたのではないかとも指摘されています。
左利きには犯罪者が多いとか、精神障碍者が多いなどというトンデモ学説なども多々出て来たとか。
学校教育もこの偏見を助長したと指摘されています。昔は文字を書くのは絶対に右手というような強引な教育が普通に行われていたとか。
どうしてそんなに左利きが嫌われたのかが今一つはっきりしないのですが、単純に少数派だからということではないんですかね? 世の大多数が右利きであり、それから見ると左利きは奇異に感じられ、少数派だったことから悪く言われたというような。
でも、日本ではそうでもないですよね。左は高貴とされる文化もあったわけです(左大臣の方が右大臣よりも格上ですし、左側を地位が上とする文化もあったわけです)。
巻末解説によれば実際にそうであったけれど、中国からの大陸文化の影響で、「左遷」とか「左巻き」などの左を悪く言う文化も入って来たのだとしています。
まあ、今では左利きだから特に悪く言われるなんていうことは昔の様にはなく、スポーツの分野などではサウスポーにはアドバンテージが認められていたりもします。
ただまあ、やはり少数派ではあるため、例えば左利き用の道具などはまだまだ不十分なのかもしれません。
私が子供の頃、親に無理矢理左利きを矯正されたという子供って結構いたように思うのですが、あれはどうなんでしょうね?
左利きが悪とか不浄という観念からのことではなく、左利きだと(当時は特に)左利き用の道具なども乏しかったため色々苦労するからという親心で直していたようにも思えます。ただ、無理矢理直すと吃音等の障害が出ることは本書にも指摘されています。
というわけで、本書はどのように左利きは迫害されたのか、その後どのようにして受容され、いや一歩進んで羨むような気持まで生まれるようになったのかという歴史を辿った一冊でございます。
私は右利きなのですが、ここをお読みになってくれた方の中にも左利きの方は絶対にいそうです。「私は左利き~」と言う方、(左)手を挙げて~(笑)。
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□□□ 普通(1~2日あれば読める)/265ページ:2024/09/08
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
この書評へのコメント
- Roko2024-10-28 18:08
efさん、こんにちは
わたしは洋裁学校へ通っていたので、左利きで苦労している人に大勢会いました。
たとえば、刺繍糸や手縫い用の糸は右撚り(ミシン用の糸は左撚り)なので、左利きの方が気にしないで縫っていると撚りがきつくなってしまうのです。
先生にも左利きの方がいて、ずっと右利き用のハサミを使い続けてきたので、左利き用のハサミは使えないと笑ってらっしゃいました。
自動改札や自販機など、日常の様々なところに左利きの方には不便なことがたくさんあって、こういう部分のバリアフリーって難しいのかなと思ってます。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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