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morimoriさん
morimori
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青姫の郷に迷い込んだ杜宇、籤にて命拾いするが姫飯を食したいという青姫の命により米作りを始めた。
 甲斐国巨摩郡高柳村の名主、安住又兵衛の弟杜宇は、寺の堂裏で武家と悶着を起こしたことで故郷を出奔する身となった。苫屋に忍び込み寝ていたところを青姫と若者に見つかった。逃がすか、殺すか、捕縛かを籤で決めるという。結果、捕縛と決まった杜宇の身の上、館に連れて行かれ食を与えられた後、米作りを命じられた。

 故郷高柳村でひとり剣の稽古をしていた時、新任の郡奉行配下の武家が手合わせを申し込んできた。勝った杜宇の放った言葉 「また稽古をつけて進ぜるゆえ、精進されよ。」に激昂した相手。無礼討ちにしてくれる、と投宿先の寺に置いた大小を取りに行った隙に逃げた。こんな些細なことで手打ちにされるのか、さらに、300年続いたという家が潰えてしまうのか。なんともやりきれない思いで、多いに杜宇に感情移入しながらページを捲る。小説とは言え、この時代実際にこういう状況があったに違いない。

 さて、米作りを命じられた杜宇は孤軍奮闘する。田も畑もない郷で土地を選ぶところから始まり、種籾を水に浸し芽を出させ苗代に播いて・・・。時の公方は家光か。天領でもない郷は、青姫の郷だという。その青姫は、年齢不詳で何者なのかもわからない。付き従う朔という若者は、青姫に言いたいことを言うがその者の正体も不明。さらに、烏帽子の老人分麻呂は青姫の家臣なのか。ページを捲るごとに明らかになっていく事実がひとつ、ふたつ、みっつ。

 ファンタジーのような幻想的な郷で起こる、歴史的事実?米作りに精を出す杜宇を応援しつつも、民がこんなにも生き生きと自由に生活していた郷の描写に大いに惹かれた。朝井まかて氏の作品だけあって、幻想的な世界であっても読み手を充分に納得させ楽しませてくれた。ラストは感動に目頭が熱くなった。
 

 
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morimori
morimori さん本が好き!1級(書評数:951 件)

多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。

読んで楽しい:1票
参考になる:22票
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