ぷるーとさん
レビュアー:
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20世紀初期のアイルランドの田園地方を舞台に、家族の絆を描いた作品。
物語の主な登場人物は、モランと3人の娘たち、末息子、モランが再婚した妻ローズの6人で、モランがローズと再婚してから死ぬまでのことが描かれている。
まず、年をとりすっかり元気がなくなってしまった父親に元気を取り戻させようと、今は家を出ている娘たちがかつて父親が一番楽しみにしていた行事の真似事をしようと計画するところから話は始まる。
モランは、1916年にアイルランドがイギリスからの独立を求めて武装蜂起した際部隊長として活躍した。その時の副官が市の日にやって来てモランの家に泊まり昔話に花を咲かせるのがモランにとって1年の一番の楽しみだったのだ。ある年喧嘩別れして以来戦友が訪ねてくるという行事は途絶えてしまったのだった。
そして、その戦友と喧嘩別れした市の日以降、モランとローズの結婚、娘たちの成長と巣立ちなどモランと女たちの濃密な日々が描かれていく。
モランは、頑固で融通がきかず、うまく立ち回ることができないため、家族以外の人間とは積極的に交わろうとしない。そのくせ、身近な者を自分の影響下におかずにはいられず、気分屋で自分の精神状態が家族に強く作用していることを是としている。
娘たちやローズは、モランの精神状態を気にしてピリピリしながらも、上手にそれをかわす術を心得ている。不快に思っていても口に出すことはめったになく、危ない雰囲気になってくるとさらりと身をかわし、自分たちだけで楽しむこともできる。モランはむら気な専制君主だが、家族を愛し、しっかり守ろうとし、機嫌がいいときには有能な父親だから、どんなに怖くても、娘たちはモランが好きで、我が家が一番と思っている。
この家族には、家を飛び出しをイギリスに行ったきり一度も戻って来ない長男がいる。モランは長男が気になってしかたないのだが、長男は父親を「女たちの中でしか生きられない人」といい、関係を修復しようとはしない。
頑なで社会の中に上手く溶け込めない父親と、そんな頑なさを鬱陶しく思い反発しながらも、許容している女たち。いかにも昔風なモラン一家の暮らしぶりを私は少し懐かしく感じるが、こういった父親像も現代では許容されなくなってきているのだろう。
まず、年をとりすっかり元気がなくなってしまった父親に元気を取り戻させようと、今は家を出ている娘たちがかつて父親が一番楽しみにしていた行事の真似事をしようと計画するところから話は始まる。
モランは、1916年にアイルランドがイギリスからの独立を求めて武装蜂起した際部隊長として活躍した。その時の副官が市の日にやって来てモランの家に泊まり昔話に花を咲かせるのがモランにとって1年の一番の楽しみだったのだ。ある年喧嘩別れして以来戦友が訪ねてくるという行事は途絶えてしまったのだった。
そして、その戦友と喧嘩別れした市の日以降、モランとローズの結婚、娘たちの成長と巣立ちなどモランと女たちの濃密な日々が描かれていく。
モランは、頑固で融通がきかず、うまく立ち回ることができないため、家族以外の人間とは積極的に交わろうとしない。そのくせ、身近な者を自分の影響下におかずにはいられず、気分屋で自分の精神状態が家族に強く作用していることを是としている。
娘たちやローズは、モランの精神状態を気にしてピリピリしながらも、上手にそれをかわす術を心得ている。不快に思っていても口に出すことはめったになく、危ない雰囲気になってくるとさらりと身をかわし、自分たちだけで楽しむこともできる。モランはむら気な専制君主だが、家族を愛し、しっかり守ろうとし、機嫌がいいときには有能な父親だから、どんなに怖くても、娘たちはモランが好きで、我が家が一番と思っている。
この家族には、家を飛び出しをイギリスに行ったきり一度も戻って来ない長男がいる。モランは長男が気になってしかたないのだが、長男は父親を「女たちの中でしか生きられない人」といい、関係を修復しようとはしない。
頑なで社会の中に上手く溶け込めない父親と、そんな頑なさを鬱陶しく思い反発しながらも、許容している女たち。いかにも昔風なモラン一家の暮らしぶりを私は少し懐かしく感じるが、こういった父親像も現代では許容されなくなってきているのだろう。
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 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 
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- 出版社:国書刊行会
- ページ数:0
- ISBN:9784336059475
- 発売日:2015年09月25日
- 価格:2530円
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