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三太郎さん
三太郎
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2型糖尿病の予防や治療には糖質カットの食生活改善が効果的だという話です。
2021年に出された、新しい本です。現在の2型糖尿病の治療法に関して知りたいと思い手に取りました。著者は糖尿病の専門医です。

僕は実は5年前に職場の健康診断で糖尿病が見つかり、投薬で治療中です。空腹時血糖値が126以上でHbA1cが6.5以上となり糖尿病と判断されたのですが、発病当時は横浜から滋賀県に単身赴任した4か月後で、体重が一気に増えてHbA1cが10を超えていました。糖尿病の専門医師にメトホルミンを処方されて、HbA1cは7台まで低下しました。

その後、退職して横浜に戻り、さらに故郷の仙台に移住しました。その間に2回病院が変わり、今はメトホルミンを含め3種類の薬を処方されています。体重は7kg以上減って空腹時血糖値は120以下に収まっていますが、HbA1cはまだ7台前半で下げ止まっています。医師には薬の増量も提案されていますが、その前にできることがあるかも思い治療法を調べる気になりました。

本書によるとHbA1cが8を超えている場合には医師によってはインスリンを処方されるとか。しかしこのインスリンが糖尿病の合併症(網膜、腎臓、神経の炎症)を誘発し病状が悪化する原因となっている、というのが著者の主張です。一般には血糖値が高い場合に上記の炎症を起こして合併症になると説明されていますが、実は血液中の糖が増えることによりインスリンの量が増え、このインスリンが細胞内で代謝される際にできる活性酸素が血管にダメージを与えるといいます。

インスリンは血中の糖を筋肉や肝臓に取り込むためのホルモンです。インスリンが減ると血中の糖が細胞に取り込めなくなります。

このインスリンは膵臓のβ細胞で作られますが、糖尿病患者はこのβ細胞の数が減ってしまい、インスリンが十分に作れない状態だといいます。そこで患者にインスリンを投与することでβ細胞を休ませる効果があるとこれまでは言われてきましたが、実際にはそうなってはいないそうです。インスリンの投与によりβ細胞が働かなくなり、さらにインスリンの生産量は減ってしまうとか。

著者の主張は、合併症を防ぐには血糖値を下げるのでなはくインスリン濃度を下げることが効果的だと。ただし糖尿病の人ではインスリンの投与をやめると血糖値が上がってしまうため、糖質カットの食事療法を同時に行う必要があります。

食事から糖質を除いた分のカロリーは肉や卵のタンパク質で摂取します。そもそも日本人はタンパク質不足だと。牛乳から作ったホエイプロテインも推奨されています。

僕は現在もご飯などの糖質は抑えていますが、もっと積極的にタンパク質を摂ろうと思いました。

発症の原因ですが、初めての単身赴任で食生活ががらっと変わったのが大きかったかな。炭水化物中心の食事となり体重が増えたのが引き金になった気がします。

著者の患者さんは皆、糖質カットの食事でインスリンの投薬を最終的には止められといいます。

糖尿病の治療(予防も)には薬に頼る前にまず食事を見直すことが肝要なようです。
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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:829 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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