ぱせりさん
レビュアー:
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思い出を連れていく。
夜明け前のまだ暗い時間。母と子が枕を寄せ合って、話をしている。
「ねえ、おぼえてる・・・?」
「じゃあ、ぼくのばん。
ねえ、おぼえてる・・・?」
二人、交互に、家族の思い出の場面を語り出す。わすれるわけないよ。その日の光や影。色、味、匂い、手ざわりも。
ほんとうならどんどん忘れてしまえばいい、他愛ない、ありふれた出来事。でも、あの日、家族が屈託なくそこにいたこと、一緒に笑い、泣き、肌を寄せたりしたことで、特別な場面になってしまう。
最後の「ねえ、おぼえてる・・・?」は、あのくまさんだ。
「ここ」へ来るまでに、道に迷った母と子を、ぬいぐるみのくまさんが男の子の手の上で、道案内してくれたのだった。
不安な未来への道のりをガイドして、つきそい、安心させてくれた。
このくまさんを、最後に男の子の手に渡してくれたのがあのひとだったことに、泣きたいような気持になる。
朝の光が、部屋の中に山積みされた引っ越し荷物を照らし始める。
「ねえ、おぼえてる・・・?」の思い出の中の脇役たち、大小の道具たちが、荷物の山の中で光を浴びている。
青いブランケット、赤い子ども用自転車、古いオイルランプ……ああ、あれは、これは、あの時の!と、まえのページをひっくり返して確認している。
二人は、大切な思い出をこの部屋につれてきた。これから先もともに暮らすために。
過去の幸せな記憶は、形があってもなくても、この先も寄り添い、励まし助けてくれると思う。
過去(の思い出)は、未来への道案内でもある。
「ねえ、おぼえてる・・・?」
「じゃあ、ぼくのばん。
ねえ、おぼえてる・・・?」
二人、交互に、家族の思い出の場面を語り出す。わすれるわけないよ。その日の光や影。色、味、匂い、手ざわりも。
ほんとうならどんどん忘れてしまえばいい、他愛ない、ありふれた出来事。でも、あの日、家族が屈託なくそこにいたこと、一緒に笑い、泣き、肌を寄せたりしたことで、特別な場面になってしまう。
最後の「ねえ、おぼえてる・・・?」は、あのくまさんだ。
「ここ」へ来るまでに、道に迷った母と子を、ぬいぐるみのくまさんが男の子の手の上で、道案内してくれたのだった。
不安な未来への道のりをガイドして、つきそい、安心させてくれた。
このくまさんを、最後に男の子の手に渡してくれたのがあのひとだったことに、泣きたいような気持になる。
朝の光が、部屋の中に山積みされた引っ越し荷物を照らし始める。
「ねえ、おぼえてる・・・?」の思い出の中の脇役たち、大小の道具たちが、荷物の山の中で光を浴びている。
青いブランケット、赤い子ども用自転車、古いオイルランプ……ああ、あれは、これは、あの時の!と、まえのページをひっくり返して確認している。
二人は、大切な思い出をこの部屋につれてきた。これから先もともに暮らすために。
過去の幸せな記憶は、形があってもなくても、この先も寄り添い、励まし助けてくれると思う。
過去(の思い出)は、未来への道案内でもある。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
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- 出版社:偕成社
- ページ数:0
- ISBN:9784034254004
- 発売日:2024年04月10日
- 価格:1760円
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