DBさん
レビュアー:
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心に美しさが沁みる話
大崎ブックポートのフェアで購入しました。
主人公は「雪のひとひら」です。
無数の兄弟姉妹たちと共にはるか空の高みで生まれ、地上へ向けて舞い降りた。
雪のひとひらは空を舞いながら、水晶のように輝く自分の美しさに感謝し彼女を作った存在へ思いをはせる。
数多の兄弟姉妹たちがいるのに、誰ひとり同じものはなく皆美しいさまに感動します。
雪の結晶の写真集を見たときのことを思い出した。
SNOWFLAKEを雪のひとひらとした訳もよかった。
自分だったら小雪ちゃんと雨粒くんくらいが関の山だ。
雪のひとひらが村の外れの山裾の原っぱに降り立つと、明けの陽光に照らされ薔薇色に輝いた。
その美しさに感動し、赤いほっぺの女の子の姿を見て心惹かれ、灰色の牝牛の瞳に見入る。
見るものすべてが珍しく美しいという情景が表現されています。
吹雪にうもれて何も見えないまま厳しい冬と吹雪の時が続くと、雪のひとひらは何のために生まれてきたのかと悲しみ見捨てられた気持ちになる。
だが春は必ず来る。
若草が伸びてくる原っぱから走り出すかのように街へ、そして川へと流れていった。
そのあいだに雪のひとひらは水晶のような身体から、周りのものを映し出す水滴へと変化していた。
新たな生のはじまりだ。
川を流れてしばらくすると、雨のしずくに声をかけられた。
それまで無数の兄弟たちがいたのに会話することはなかったが、雨のしずくと言葉を交わし思いを交わす。
湖でたわむれ、また川の流れへとうつろいながら、いつの間にか4人の子供たちに囲まれます。
雪と雨で子供が生まれるって、質量保存の法則はどこに行ったんだと思ったりもしたがそこは考えてはいけない。
恋人との素晴らしい時間と家族の愛の本質を読むべきだ。
それに美しさや愛だけではない。
火事にあって命の危機を迎えたり、それを乗り越えても雨のしずくと永遠の別れをし、そして独り立ちしていった子供たちと分かれて孤独に戻る。
南の海で太陽に熱せられその命が終わる時、自らの生涯を振り返りながらその意味を考えた。
全てが無へと帰っていくのなら生きてきたことも意味のないことなのだろうか。
雪のひとひらは人生を振り返り、その経験のすべてに意味があったことを悟る。
宇宙の素晴らしい調和の一部として送り出されたのだから。
最後に生まれてきたところへと帰るとき、その最後の記憶は雪のひとひらを造った創造主からの言葉だった。
女性の人生を雪のひとひらにのせて駆け抜けた小説だった。
自然の情景を映し出す美しい言葉が素敵です。
最期の時に「Well done」と言えるような人生を歩みたい。
主人公は「雪のひとひら」です。
無数の兄弟姉妹たちと共にはるか空の高みで生まれ、地上へ向けて舞い降りた。
雪のひとひらは空を舞いながら、水晶のように輝く自分の美しさに感謝し彼女を作った存在へ思いをはせる。
数多の兄弟姉妹たちがいるのに、誰ひとり同じものはなく皆美しいさまに感動します。
雪の結晶の写真集を見たときのことを思い出した。
SNOWFLAKEを雪のひとひらとした訳もよかった。
自分だったら小雪ちゃんと雨粒くんくらいが関の山だ。
雪のひとひらが村の外れの山裾の原っぱに降り立つと、明けの陽光に照らされ薔薇色に輝いた。
その美しさに感動し、赤いほっぺの女の子の姿を見て心惹かれ、灰色の牝牛の瞳に見入る。
見るものすべてが珍しく美しいという情景が表現されています。
吹雪にうもれて何も見えないまま厳しい冬と吹雪の時が続くと、雪のひとひらは何のために生まれてきたのかと悲しみ見捨てられた気持ちになる。
だが春は必ず来る。
若草が伸びてくる原っぱから走り出すかのように街へ、そして川へと流れていった。
そのあいだに雪のひとひらは水晶のような身体から、周りのものを映し出す水滴へと変化していた。
新たな生のはじまりだ。
川を流れてしばらくすると、雨のしずくに声をかけられた。
それまで無数の兄弟たちがいたのに会話することはなかったが、雨のしずくと言葉を交わし思いを交わす。
湖でたわむれ、また川の流れへとうつろいながら、いつの間にか4人の子供たちに囲まれます。
雪と雨で子供が生まれるって、質量保存の法則はどこに行ったんだと思ったりもしたがそこは考えてはいけない。
恋人との素晴らしい時間と家族の愛の本質を読むべきだ。
それに美しさや愛だけではない。
火事にあって命の危機を迎えたり、それを乗り越えても雨のしずくと永遠の別れをし、そして独り立ちしていった子供たちと分かれて孤独に戻る。
南の海で太陽に熱せられその命が終わる時、自らの生涯を振り返りながらその意味を考えた。
全てが無へと帰っていくのなら生きてきたことも意味のないことなのだろうか。
雪のひとひらは人生を振り返り、その経験のすべてに意味があったことを悟る。
宇宙の素晴らしい調和の一部として送り出されたのだから。
最後に生まれてきたところへと帰るとき、その最後の記憶は雪のひとひらを造った創造主からの言葉だった。
女性の人生を雪のひとひらにのせて駆け抜けた小説だった。
自然の情景を映し出す美しい言葉が素敵です。
最期の時に「Well done」と言えるような人生を歩みたい。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:159
- ISBN:9784102168059
- 発売日:2008年11月27日
- 価格:460円
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