彼は実の母親の殺すように命令され
できないと拒否すると、
今度は母親の腕を切り落とすようにと言われた。
「そうしなければおまえもおまえの母親も命はない」と。
誘拐されて兵士となった子どもたちに
自分の村を襲わせるのは
逃げ出して帰る場所をなくすためだという。
シエラレオネでは戦闘が始まる前に子ども兵に
たっぷりと砂糖をいれたマリファナ茶を飲ませ
子どもたちの恐怖心を麻痺させるという。
「これでおまえたちは弾に当たらない。当たっても痛くない」と。
クロアチアの元少女兵は17歳の時、クロアチア紛争に身を投じ
セルビア人の幼なじみを幼なじみを殺した。
以来、彼女は鏡を見ることができないという。
世界には約70カ国に子ども兵が存在するという。
ゲリラ部隊などの反政府組織だけではなく
多くの政府軍でも子どもたちが兵士となっている。
強制される場合もあれば
貧困から家族を救い、自分の食い扶持を得るために自ら志願する者もいる。
こどもが兵士として通用するようになった大きな要因の一つに
小型武器が普及があると本書は指摘する。
この本が執筆された2005年当時
世界には約6億3900万丁の小型武器があるといわれていた。
多くの紛争犠牲者の約9割が小型武器によって殺されている。
1分間に1人が世界のどこかで小型武器によって殺されている。
その小型武器はどこからくるか。
輸出額の多い順にアメリカ、イタリア、ベルギー、ドイツと先進国の名前が続く
全世界の輸出額合計は24億ドルにおよぶという。
植民地時代の宗主国による分断統治の遺恨
貧困、格差、資源の取り合い
世界の軍需産業になんらかの形で関わっている人の多さ。
様々な原因と様々な思惑が
子どもたちを兵士にしている。
この本を読めば
こんなことが許されていいはずはないと
誰もが思うだろう。
けれどもやはり
今日もまた戦闘で命を落とす子どもたちがいて
誰かに銃を突きつける子どもたちがいる。
本を読み話を聞いて涙を流しているだけではダメなのだと思う。
そう思いはするが……。
この本が出てから10年以上経っているのに
今なお多くの子どもたちが武器を手にとって戦わざるを得ない状況にある。




本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
- かもめ通信2017-08-30 06:23
ただいま掲示板にて「2017:本をとおして戦争と平和について考えてみよう!」を開催中。
http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no294/index.html?latest=20
「戦争」や「平和」に関連する本なら、小説、漫画、評論、エッセイ等ジャンルは問いません。過去の戦争や現代の紛争を取り上げたものだけでなく、未来を描くというジャンルもあるかと思います。あなたが読んで良かった本、お薦めしたい本を紹介してください。
9/5までやっていますので、ぜひのぞきに来てください。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - oldman2017-08-30 13:56
この本は読んではいませんが、あえて「共感した」に入れさせていただきました。
少年兵の問題は世界的なものであり、特にアフリカなどの後進国で顕著にみられます。
携行火器の小型化は今後も進んで行くでしょう。小型化すれば兵士一人の携行弾数が増え、結果的に火力が増し、兵站面で有利になるからです。
また、少年兵は親の仇をうてなど洗脳しやすく、例え戦死しても、自軍の兵力に与える影響が少なく、教育という面でも火器の扱い方を教えるだけで済むのです。
以前、僕が調べたところ、シェラレオネでは、政府軍だけで12000余りの少年兵が存在し、それに対してユニセフなどの活動で救われる少年兵は年間500人が精一杯という状況です。
まだランドセルを背負って小学校へ通う年齢の子供達が、AK47を担いで最前線で戦わされているのです。
ただ、平和を祈るだけでなく今一度世界に眼を向け考えなければなりません。
掲示板 僕もお伺いさせて頂きます。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - かもめ通信2017-08-30 17:06
oldmanさん,共感いただきありがとうございます。
実はしばらく前からこの本↓を読んでいるのですが,イラクに派兵された米軍兵士たちのあどけなさが残る写真に言葉を失いました。
本当にまだ子どもなんですよね。
10代後半~20歳そこそこでこのあどけなさなのですから,アフリカで,アフガニスタンで,東南アジアで,武器を持たされた10歳前後の子どもたちのことを考えると本当に胸が詰まります。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
- 出版社:合同出版
- ページ数:142
- ISBN:9784772603447
- 発売日:2005年11月01日
- 価格:1365円
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