紅い芥子粒さん
レビュアー:
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キノコを食べた美少女が、毒にあたってクルクル舞う話? ではなくて、茸の姫の舞を、若者がうっとりながめる話。
杢若は、町の立派な医者の家に生まれたが、白痴だった。母親は、狂女で、嵐の夜に人魚になって死んだ。ほどなく医者だった父も、急な病で死んでしまった。孤児になった杢若は、町の人たちの扶助で、空き家をあてがわれ養われている。
杢若は、ときどき神隠しにあう。ふっと町からいなくなり、何日かするとけろっと帰ってくる。いなくなった間は、山へ行っているようだ。山からとってきたものを野人のように生で食べる。とくに彼が好むのは、キノコである。不気味で怪しげなキノコでも、うまいうまいといって、食べてしまう。毒があろうがなかろうがおかまいなしだ。
その杢若が、山中のキノコの祭に招かれて、キノコのお姫様の舞を見たという。
お姫様は、まっ白な肌に薄紅をさした紅茸で、何千という侍女を従えている。
天狗の囃子にのって、美しいキノコの姫が舞う。ひいらりひらり。
宝石をちりばめた蜘蛛の巣の衣装が、きらきらきらり……
さては、杢若、キノコの毒にあたって幻覚を見たか?
杢若からこの話を聞いていたのが、神社の厳格な神官で、キノコを食べたわけでもないのに、ヘンになってしまう。いや、町中がキノコの妖かしにかかったようで……
童話のようだが、やっぱり妖しい鏡花の世界。
杢若は、ときどき神隠しにあう。ふっと町からいなくなり、何日かするとけろっと帰ってくる。いなくなった間は、山へ行っているようだ。山からとってきたものを野人のように生で食べる。とくに彼が好むのは、キノコである。不気味で怪しげなキノコでも、うまいうまいといって、食べてしまう。毒があろうがなかろうがおかまいなしだ。
その杢若が、山中のキノコの祭に招かれて、キノコのお姫様の舞を見たという。
お姫様は、まっ白な肌に薄紅をさした紅茸で、何千という侍女を従えている。
天狗の囃子にのって、美しいキノコの姫が舞う。ひいらりひらり。
宝石をちりばめた蜘蛛の巣の衣装が、きらきらきらり……
さては、杢若、キノコの毒にあたって幻覚を見たか?
杢若からこの話を聞いていたのが、神社の厳格な神官で、キノコを食べたわけでもないのに、ヘンになってしまう。いや、町中がキノコの妖かしにかかったようで……
童話のようだが、やっぱり妖しい鏡花の世界。
掲載日:
書評掲載URL : http://blog.livedoor.jp/aotuka202
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
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- ISBN:B009AK9DSQ
- 発売日:2012年09月13日
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