rodolfo1さん
レビュアー:
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ある日、夕凪寿司を営む店主のさやかと祖父で元店主の伊助と未來の元にまひろが現れる。まひろはDVやセクハラ、パワハラに悩まされていたが、さやかと未來にも葛藤があり。。。しかし4人は家族の絆を結び。。。
森沢明夫作「さやかの寿司」を読みました。
【第一章 【ハンバーグの石】22歳のまひろは海沿いの県道を歩いていました。まひろは思わぬ事態で怪我をし、12年ぶりに掘り出したお守りの石もどこかへ飛んで行ったのでした。しかしまひろはめげずに風波商店街にある夕凪寿司を目指しました。その寿司屋は、10歳の頃、珍しく上機嫌だった母親がたった一度だけ連れていってくれた思い出の寿司屋だったのでした。そこでまひろは初めて笑う母親の顔を見ました。それは母親がDV夫と別れて自由になった記念日だったのでした。
実はまひろを虐待していた母親でしたが、先週亡くなり、ほぼ同時にまひろがセクハラやパワハラで悩まされていた会社が倒産し、すべてのしがらみから解放されたのでした。まひろがこの寿司屋を訪れたのはその記念だったのでした。しかし夕凪寿司に来てみると、強い目力の22歳の女、未來がランチ営業は終わったと言いました。帰ろうとしたまひろでしたが、別の童顔の29歳の女性さやかに呼び止められました。
さやかは今から自分達は賄いの海鮮丼を作って食べるが、良かったらまひろも500円でどうかと誘いました。未來は賄いを客に出せないと反対しましたが、まひろは食べたいと言い、先代の店主でまひろの祖父親伊助も賛成し、未來も従いました。出された海鮮丼は素敵に美味しかったのでした。
代金の500円を握りしめてレジに向かったまひろでしたが、子供の叫び声が聞こえた気がして、外を覗きました。すると未來が逃げる気かと叫び、未來の怖い顔が母親と義父の顔に重なったまひろは思わず逃げ出しました。未來が追いかけて来、夢中で逃げたまひろでしたが、前から中年男が現れ、未來は、クマさん、捕まえて!食い逃げだ!と叫びました。
クマさんは通せんぼをし、反転して未來の傍をすり抜けようとしたまひろは未來に取り押さえられました。その拍子に握りしめていた500円玉がちゃりんと落ち、未來は、あ?と小声を漏らしました。するとクマさんは、あんたはさっき娘が車に轢かれそうだった所を助けてくれた娘さんだろうとまひろに言い。。。その時まひろは怪我をして、大事なお守りであるハンバーグの石を失くしたのでした。。。
まひろを店に連行した未來は事情を話せと言い、思わずまひろはみんなに12年前にこの店を初めて訪れた頃から自分がされていた虐待の話をし始め。。。すると実來は、あの時まひろが落とした500円玉を見せて自分が悪かったと言って謝りました。するとクマさんは、娘を助けてくれた時に何かを落としただろうと言い、まひろはそれは大事なものだがただの石だと言い、皆は何の事かと。。。
するとそこに常連客である地元の大手建設会社の社長金光が現れ、未來は、社長の所で事務員が辞めて困っていただろうと言いました。そしてまひろを雇ってやってくれと金光に頼み、金光はあっさり引き受けました。さやかは未來に、まひろの石を探してやれと言い、未來はまひろと連れだって石を探しに行きました。未來はツンツンしながらも膝を泥だらけにして石を探してくれ、きっとまひろには大切な石なのだろう、自分にも思い当たる事はあると言いました。
そしてきっとその石はこれだろうと言って、ハンバーグの石に良く似た石を差し出し、まひろはそれにツンデレさんの石、という名前を付けました。これからはあんたの事をまひろと呼ぶから自分の事は未來と呼べと言い、まひろは自分にこれからがあると言う事に感激しました。2人は夕凪寿司に戻り。。。
【第二章 自転車デート】未來とまひろは休みの日、自転車で海辺のカフェ、シーガルにカレーを食べに来ていました。まひろは最近夕凪寿司に住み込んで働いていたのでした。店主の直斗は筋金入りのサーファーで、良い波が立ったと聞けば、店を放り出してサーフィンに打ち込んでいたのでした。さやかはどうしているのかと直斗は尋ね、未來は店で寿司の研究をしていると言いました。
そして未來は直斗に、明日はまひろが金光建設に就職が決まったお祝いを夕凪寿司でやるのだと言い、直斗はあの社長は良くうちにも来るが、いつも1人で来て、黙ってコーヒーを2杯飲んで帰ると言い、未來は驚きました。金光社長はがらっぱちなキャバクラ通いのエロ親父だと思っていたのでした。まひろは明日は誰が来るのかと未來に尋ね、未來は、社長と仲卸しの龍馬とクマさん、海辺に別荘を持っているトレーダーの金持ち拓人、社長お気に入りの地元のキャバ嬢鮎美だと言いました。まひろはこの店の常連の面々と夕凪寿司で知り合い、友達になったのでした。クマさんは今釣ったばかりだと言うヒラメを差し入れ。。。
皆が夕凪寿司に集まってわいわい言っていると、突然成金オヤジと年増ギャルが現れ、オヤジは無理やりカウンターに割り込みました。オヤジは偉そうに寿司の蘊蓄をギャルにひけらかし、さやかの寿司を、女の握る寿司は駄目だと言ってこき下ろしました。しかしさやかはあくまで冷静にオヤジをあしらい、さまざまな工夫をした凝った寿司を握り、さやかの握る寿司の真価が全くわからなかったオヤジは店の常連の嘲笑を買っていました。どうしてもさやかを言い込められないオヤジは、自分は銀座の波幸の常連だと見栄を張り、一同は苦笑しました。実は伊助とさやかは。。。
【第三章 親馬鹿とジジ馬鹿】金光社長は昔は朋輩であったものの、今は金光の会社の下請けとなり、自分に敬語を使うようになった田中と打ち合わせをしていました。終わって金光は田中の家を訪ね、そこで田中の娘と孫娘に出会いました。孫を可愛がる田中を見て金光は忸怩たる思いに駆られ。。。夕凪寿司を目指していた金光は、鮎美に呼び止められ、キャバクラに同伴出勤しました。その夜は悪い酔い方をした金光でしたが、鮎美は金光に家族はいるのかと尋ね、自分には家族がいないと金光が答え、鮎美も自分には両親が居ない、実は両親はさやかの両親とと同じ釣り船に乗っていて海難事故で死んだのだと言いました。
かつては女房子供の為に身を削って働いてた金光でしたが、妻は不倫にはまり、妻の身辺調査をした金光は不倫の証拠を握りましたが、しばらく黙って一緒に暮らしていました。しかし妻は離婚を言い立て、金光は裁判するとお前は負ける、自分は不倫の証拠を握っているのだと言うと妻は震え出しました。娘の樹里はパパは嫌いだからママと暮らすと言い、息子の久成は、母親を守る為に自分も母親と暮らすと言いました。金光は賠償金も取らず、親権も元妻に譲り、黙って養育費を振り込んでいました。
その後久成はジェシカと国際結婚し、樹里も結婚した筈でしたが、久成は結婚写真を送って来たものの、樹里は行方不明でした。次の日二日酔いの頭を抱えてシーガルでコーヒーを飲んでいると久成が電話を寄越しました。もうすぐ金光の誕生日だから誕生会をしよう、ジェシカも紹介すると言いました。そして久成は、樹里と連絡がついたと言いました。実は元妻の浮気の事を久成には伝えていましたが、樹里には内緒にしていたのでした。久成は夕凪寿司で誕生会をしよう、樹里も来ると言い、もう次の日曜の夜を予約したと言いました。しかし金光は、樹里は元妻の不倫相手の籍に入った自分とは縁のない女だと言い、自分は行かないと言って電話を切りました。
しかしさやかが金光に電話を寄越し、金光の会社の30周年記念会を、次の次の日曜の夜にやろうと言い、久成が2度電話を掛けて来て、次の日曜の予約を取って、それを取り消して来たと言いました。。。記念会当日、いつもの常連が夕凪寿司に集まりました。宴もたけなわになり、さやかはサプライズがあると金光に言いました。それは。。。
【第四章 ツンデレの涙】ある日未來の携帯に電話が入り、それから未來は心ここにあらぬ風情でした。しかしさやかが問い質しても未來は何も答えませんでした。まひろが熱を測ろうと未來の前髪を持ち上げると未來はまひろの手を振り払いました。そこには前髪に隠された傷跡があったのでした。それはさやかと伊助だけが知っていた未來の秘密で。。。
まひろは未來を展望台に呼び出しました。そして人の手を振り払うような事をして後悔しているだろうから自分に謝るチャンスを与えてやると言いました。未來はあっさり謝り、傷の由来を語りました。それは。。。そしてまひろは、何故未來の元気が無いのかよかったら自分に話せと言い、未來は先日かかってきた電話の話をしました。そして未來は。。。まひろはさやかにある頼みごとをし、さやかは自分が未來の背中を押してやると言いました。そしてある日、さやかは未來が担当していた夕凪寿司のウェブサイトを勝手に更新し、それを見た未來は驚愕しました。それは。。。
実にほのぼのとした作品でありました。地方都市にある夕凪寿司を営む店主のさやかと祖父で元店主の伊助と未來の元にある日まひろが現れ、ランチを食べようとしますが、ランチの時間は過ぎており、未來はまひろを断りました。しかしさやかは賄いの海鮮丼を500円でどうかと勧め、まひろが食べたいと言った事から、まひろの運命は変わって行きます。
実はまひろは両親からのDVと、会社でのセクハラ、パワハラに悩んでいましたが、両親は離婚して母親はガンで死に、会社も倒産し、突然すべてのしがらみから解き放たれたのでした。一方未來は未來で額に傷跡を負い、ある事情で逃げ隠れしていました。さやかは天才寿司職人でありましたが、女性蔑視の為にしばしば葛藤し。。。しかしそんな3人は寄り添い、絆を結んで明るい未来を目指します。
そこに大人の事情を抱えるエロ親父と皆に思われていた金光のしぶい大人の悩みが絡み、家族を軸にした再生が始まるのでありました。私はこの作家さんをあまり知りませんでしたが、主要な文学賞とは縁が無いものの、多数の作品が映像化されており、皆に求められる要素をうまく取り入れ、卒なく物語をまとめているからだと思います。これだけ嫌味が無いのがむしろ爽快でした。ひょっとしたらこの先生の作品をもう一冊読むかもしれませんが、きっとそれなりの成果を得られる作品であろうと思いました。
しかしつらつら考えていたのですが、この程度のほっこり話を読む為に1,800円払えというのは無茶ぶりですよね。文庫値段で初めから出している本もありますから、もしお読みになるなら文庫値段になってからではいかがかと思います。文庫値段にはならない可能性も高いと思いますが。。。
【第一章 【ハンバーグの石】22歳のまひろは海沿いの県道を歩いていました。まひろは思わぬ事態で怪我をし、12年ぶりに掘り出したお守りの石もどこかへ飛んで行ったのでした。しかしまひろはめげずに風波商店街にある夕凪寿司を目指しました。その寿司屋は、10歳の頃、珍しく上機嫌だった母親がたった一度だけ連れていってくれた思い出の寿司屋だったのでした。そこでまひろは初めて笑う母親の顔を見ました。それは母親がDV夫と別れて自由になった記念日だったのでした。
実はまひろを虐待していた母親でしたが、先週亡くなり、ほぼ同時にまひろがセクハラやパワハラで悩まされていた会社が倒産し、すべてのしがらみから解放されたのでした。まひろがこの寿司屋を訪れたのはその記念だったのでした。しかし夕凪寿司に来てみると、強い目力の22歳の女、未來がランチ営業は終わったと言いました。帰ろうとしたまひろでしたが、別の童顔の29歳の女性さやかに呼び止められました。
さやかは今から自分達は賄いの海鮮丼を作って食べるが、良かったらまひろも500円でどうかと誘いました。未來は賄いを客に出せないと反対しましたが、まひろは食べたいと言い、先代の店主でまひろの祖父親伊助も賛成し、未來も従いました。出された海鮮丼は素敵に美味しかったのでした。
代金の500円を握りしめてレジに向かったまひろでしたが、子供の叫び声が聞こえた気がして、外を覗きました。すると未來が逃げる気かと叫び、未來の怖い顔が母親と義父の顔に重なったまひろは思わず逃げ出しました。未來が追いかけて来、夢中で逃げたまひろでしたが、前から中年男が現れ、未來は、クマさん、捕まえて!食い逃げだ!と叫びました。
クマさんは通せんぼをし、反転して未來の傍をすり抜けようとしたまひろは未來に取り押さえられました。その拍子に握りしめていた500円玉がちゃりんと落ち、未來は、あ?と小声を漏らしました。するとクマさんは、あんたはさっき娘が車に轢かれそうだった所を助けてくれた娘さんだろうとまひろに言い。。。その時まひろは怪我をして、大事なお守りであるハンバーグの石を失くしたのでした。。。
まひろを店に連行した未來は事情を話せと言い、思わずまひろはみんなに12年前にこの店を初めて訪れた頃から自分がされていた虐待の話をし始め。。。すると実來は、あの時まひろが落とした500円玉を見せて自分が悪かったと言って謝りました。するとクマさんは、娘を助けてくれた時に何かを落としただろうと言い、まひろはそれは大事なものだがただの石だと言い、皆は何の事かと。。。
するとそこに常連客である地元の大手建設会社の社長金光が現れ、未來は、社長の所で事務員が辞めて困っていただろうと言いました。そしてまひろを雇ってやってくれと金光に頼み、金光はあっさり引き受けました。さやかは未來に、まひろの石を探してやれと言い、未來はまひろと連れだって石を探しに行きました。未來はツンツンしながらも膝を泥だらけにして石を探してくれ、きっとまひろには大切な石なのだろう、自分にも思い当たる事はあると言いました。
そしてきっとその石はこれだろうと言って、ハンバーグの石に良く似た石を差し出し、まひろはそれにツンデレさんの石、という名前を付けました。これからはあんたの事をまひろと呼ぶから自分の事は未來と呼べと言い、まひろは自分にこれからがあると言う事に感激しました。2人は夕凪寿司に戻り。。。
【第二章 自転車デート】未來とまひろは休みの日、自転車で海辺のカフェ、シーガルにカレーを食べに来ていました。まひろは最近夕凪寿司に住み込んで働いていたのでした。店主の直斗は筋金入りのサーファーで、良い波が立ったと聞けば、店を放り出してサーフィンに打ち込んでいたのでした。さやかはどうしているのかと直斗は尋ね、未來は店で寿司の研究をしていると言いました。
そして未來は直斗に、明日はまひろが金光建設に就職が決まったお祝いを夕凪寿司でやるのだと言い、直斗はあの社長は良くうちにも来るが、いつも1人で来て、黙ってコーヒーを2杯飲んで帰ると言い、未來は驚きました。金光社長はがらっぱちなキャバクラ通いのエロ親父だと思っていたのでした。まひろは明日は誰が来るのかと未來に尋ね、未來は、社長と仲卸しの龍馬とクマさん、海辺に別荘を持っているトレーダーの金持ち拓人、社長お気に入りの地元のキャバ嬢鮎美だと言いました。まひろはこの店の常連の面々と夕凪寿司で知り合い、友達になったのでした。クマさんは今釣ったばかりだと言うヒラメを差し入れ。。。
皆が夕凪寿司に集まってわいわい言っていると、突然成金オヤジと年増ギャルが現れ、オヤジは無理やりカウンターに割り込みました。オヤジは偉そうに寿司の蘊蓄をギャルにひけらかし、さやかの寿司を、女の握る寿司は駄目だと言ってこき下ろしました。しかしさやかはあくまで冷静にオヤジをあしらい、さまざまな工夫をした凝った寿司を握り、さやかの握る寿司の真価が全くわからなかったオヤジは店の常連の嘲笑を買っていました。どうしてもさやかを言い込められないオヤジは、自分は銀座の波幸の常連だと見栄を張り、一同は苦笑しました。実は伊助とさやかは。。。
【第三章 親馬鹿とジジ馬鹿】金光社長は昔は朋輩であったものの、今は金光の会社の下請けとなり、自分に敬語を使うようになった田中と打ち合わせをしていました。終わって金光は田中の家を訪ね、そこで田中の娘と孫娘に出会いました。孫を可愛がる田中を見て金光は忸怩たる思いに駆られ。。。夕凪寿司を目指していた金光は、鮎美に呼び止められ、キャバクラに同伴出勤しました。その夜は悪い酔い方をした金光でしたが、鮎美は金光に家族はいるのかと尋ね、自分には家族がいないと金光が答え、鮎美も自分には両親が居ない、実は両親はさやかの両親とと同じ釣り船に乗っていて海難事故で死んだのだと言いました。
かつては女房子供の為に身を削って働いてた金光でしたが、妻は不倫にはまり、妻の身辺調査をした金光は不倫の証拠を握りましたが、しばらく黙って一緒に暮らしていました。しかし妻は離婚を言い立て、金光は裁判するとお前は負ける、自分は不倫の証拠を握っているのだと言うと妻は震え出しました。娘の樹里はパパは嫌いだからママと暮らすと言い、息子の久成は、母親を守る為に自分も母親と暮らすと言いました。金光は賠償金も取らず、親権も元妻に譲り、黙って養育費を振り込んでいました。
その後久成はジェシカと国際結婚し、樹里も結婚した筈でしたが、久成は結婚写真を送って来たものの、樹里は行方不明でした。次の日二日酔いの頭を抱えてシーガルでコーヒーを飲んでいると久成が電話を寄越しました。もうすぐ金光の誕生日だから誕生会をしよう、ジェシカも紹介すると言いました。そして久成は、樹里と連絡がついたと言いました。実は元妻の浮気の事を久成には伝えていましたが、樹里には内緒にしていたのでした。久成は夕凪寿司で誕生会をしよう、樹里も来ると言い、もう次の日曜の夜を予約したと言いました。しかし金光は、樹里は元妻の不倫相手の籍に入った自分とは縁のない女だと言い、自分は行かないと言って電話を切りました。
しかしさやかが金光に電話を寄越し、金光の会社の30周年記念会を、次の次の日曜の夜にやろうと言い、久成が2度電話を掛けて来て、次の日曜の予約を取って、それを取り消して来たと言いました。。。記念会当日、いつもの常連が夕凪寿司に集まりました。宴もたけなわになり、さやかはサプライズがあると金光に言いました。それは。。。
【第四章 ツンデレの涙】ある日未來の携帯に電話が入り、それから未來は心ここにあらぬ風情でした。しかしさやかが問い質しても未來は何も答えませんでした。まひろが熱を測ろうと未來の前髪を持ち上げると未來はまひろの手を振り払いました。そこには前髪に隠された傷跡があったのでした。それはさやかと伊助だけが知っていた未來の秘密で。。。
まひろは未來を展望台に呼び出しました。そして人の手を振り払うような事をして後悔しているだろうから自分に謝るチャンスを与えてやると言いました。未來はあっさり謝り、傷の由来を語りました。それは。。。そしてまひろは、何故未來の元気が無いのかよかったら自分に話せと言い、未來は先日かかってきた電話の話をしました。そして未來は。。。まひろはさやかにある頼みごとをし、さやかは自分が未來の背中を押してやると言いました。そしてある日、さやかは未來が担当していた夕凪寿司のウェブサイトを勝手に更新し、それを見た未來は驚愕しました。それは。。。
実にほのぼのとした作品でありました。地方都市にある夕凪寿司を営む店主のさやかと祖父で元店主の伊助と未來の元にある日まひろが現れ、ランチを食べようとしますが、ランチの時間は過ぎており、未來はまひろを断りました。しかしさやかは賄いの海鮮丼を500円でどうかと勧め、まひろが食べたいと言った事から、まひろの運命は変わって行きます。
実はまひろは両親からのDVと、会社でのセクハラ、パワハラに悩んでいましたが、両親は離婚して母親はガンで死に、会社も倒産し、突然すべてのしがらみから解き放たれたのでした。一方未來は未來で額に傷跡を負い、ある事情で逃げ隠れしていました。さやかは天才寿司職人でありましたが、女性蔑視の為にしばしば葛藤し。。。しかしそんな3人は寄り添い、絆を結んで明るい未来を目指します。
そこに大人の事情を抱えるエロ親父と皆に思われていた金光のしぶい大人の悩みが絡み、家族を軸にした再生が始まるのでありました。私はこの作家さんをあまり知りませんでしたが、主要な文学賞とは縁が無いものの、多数の作品が映像化されており、皆に求められる要素をうまく取り入れ、卒なく物語をまとめているからだと思います。これだけ嫌味が無いのがむしろ爽快でした。ひょっとしたらこの先生の作品をもう一冊読むかもしれませんが、きっとそれなりの成果を得られる作品であろうと思いました。
しかしつらつら考えていたのですが、この程度のほっこり話を読む為に1,800円払えというのは無茶ぶりですよね。文庫値段で初めから出している本もありますから、もしお読みになるなら文庫値段になってからではいかがかと思います。文庫値段にはならない可能性も高いと思いますが。。。
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こんにちは。ブクレコ難民です。今後はこちらでよろしくお願いいたします。
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- 出版社:角川春樹事務所
- ページ数:0
- ISBN:9784758414722
- 発売日:2024年09月27日
- 価格:1870円
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