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morimoriさん
morimori
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 お嬢と呼ばれる朝沼議員が自宅で死んだ。自殺か他殺か?高月議員を始め議員秘書、政治記者と女性たちが真実を突きとめる。
 性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律の改正案が、総務会を通らなかったことで高月議員は大勢の議員がいる中で朝沼に説明を求めた。いくつかの国際機関から「人権侵害の恐れがある」などの勧告を受けていた性同一性障害特例法を1年かけて話し合い、調整を続けてきての改正案だった。男性議員たちの意味ありげな視線や薄ら笑いの中、憤慨している高月議員VS朝沼議員。その翌日、朝沼侑子衆議院議員死去のニュースがネットニュースに載り、死亡前日には高月議員と言い争った記事も掲載された。政界の貴公子と称される三好顕太郎との婚約も決まっており、自殺するような原因がわからない。結果高月議員が世間から責められることになり、幹事長からは国対副委員長を辞職するよう告げられた。

 高月議員のピンチを救うため女性秘書沢村が、議員秘書を通じて情報を手に入れるべく動き始めた。そんな折、政治記者和田山に贈られてきた朝沼議員の遺書。なぜ、遺書を政治記者に送ったのか。自殺するような人間ではないのに、なぜ死んだのか。女性たちが情報を得るため、セクハラを受けそうになりつつ行動し真実を突きとめて行く。

 小説の最初には、「女に生まれてごめんなさい。」という遺書らしき文章が綴られていたが、誰が書いたのかなぜ家の名前に泥を塗るだの、秘密だのとあるのか見当もつかずに読み始めた。さらに、国会議事堂の庭にあるという池の鯉の描写。これがいったい何なのか?疑問を抱きつつも女性たちの行動にアッパレ!と応援したくなる。読んでいて気持ちが良いほど、度胸もあれば賢い。政治は男がするものと思っている昭和のおじさんたちがはびこる中、頑張っている姿が良い。知らない世界を教えてくれるかのような小説が興味深い。国会議事堂の庭の池に鯉がいるのは本当?著者は国会議員のことをどこまで知っているのかと思えるほどリアルな描写に驚く。
 
 新川帆立氏の作品はこれまでもいくつか拝読したけれど、どの作品も期待を裏切ることがなかった。気持ちの良い読後感で、女性の活躍もスッキリしてこれで今晩も良く眠れそうだ。




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morimori
morimori さん本が好き!1級(書評数:955 件)

多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。

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