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たけぞう
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岸本さんの意外過ぎる日常。
分厚いです。三百七十頁もあります。単行本未収録の文章をあちこちから選んだとのこと。エッセー、本にまつわる話+書評、日記に分類されています。エッセーはいつも通り楽しめます。この本の最大の魅力は、エッセー以外の部分です。以前読んだエッセーにはなく、特に日記は初公開みたいです。

まずは、本にまつわる話+書評です。もう一度読んでみたシリーズ、ベストセラー快読シリーズ、作家さん・作品と私シリーズ、書評。おそらく、雑誌等で連載されたものと思います。

ベストセラー快読で、「あなたを危機から救う 一分間謝罪法」を紹介しています。過ちを犯して他人に迷惑をかけたら、まずは謝りましょうという本です。アメリカ人が書いています。日本人はあいさつ代わりに謝るような民族だと著者は言います。私たちは謝り疲れている、人に迷惑をかけたら誠心誠意謝るべきだというのなら、どうして自分に迷惑をかけた人たちは一度も自分に謝ってこないのかと指摘します。

著者の頭の中でスイッチが入ります。そして脳内で展開される平謝りの刑。いろいろな人物を登場させて、謝らせ、償いをさせてしまったのです。世の中をよりよくする読書のはずが、またしてもおのれの心の闇に行きついてしまったと締めくくられています。

こんな書評技術を身につけたいものです。自分の価値観と本が大きく違ったとき、正面から否定したら読む人はどん引きです。だからこその変化球です。著者は、例示して読者に連想させつつ、バカ話でおちをつけているのです。本にまつわる話+書評は、単にどんな内容かだけではなく、著者の考えを聞く面白さが詰まっていました。

もう一つ重要な章は日記です。著者には翻訳本でお世話になっているので、知的で落ち着いた人だと勝手に思っていました。全然違いました。恐ろしく内向的なのに、それを振り払うかのように一部の人を飲み歩きにしょっちゅうつき合わせています。しかも飲み方が、著者の言葉を借りるなら気絶・悶絶の雨あられ。やらかしまくっています。

元同僚、教え子、編集者のうち、特定の人が頻出します。困った人ですね。著者の面白さの原点を見た気がしました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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