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ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
『翔の四季』シリーズの四作目、完結編
これは、『翔の四季』シリーズの四作目、完結編。
前作『こえてくる者たち:冬』の終りのほうでちらりと見えた不穏な影の正体が、この物語で、はっきりする。
そして、翔、涼、杏、千里の四人の六年生たちが、それぞれに自分の(そして仲間たちの)持ち前の奇妙な力を意識して、ちゃんと受け止めていこうとすることに繋がっていく。彼らの持っているものは、特殊だし扱いづらいし、とらえようによっては不気味で少し恐ろしい。でも、それぞれの持ち味のひとつなのだ。うまく付き合っていこうと決める事は、一つ成長することでもある。
これはきっと始まりの物語だ。
この本を読んでいる子どもたちへの贈り物でもあるように感じる。
どの子もどの子も、そのまま個性的で特別だよ、しり込みしなくていいんだよ、と。
まだ自分では見えていないことが多いかもしれないし、つい持て余してしまうこともあるかもしれないけれど、それもこれも、自分が自分であることの大切な証。


読んでいて、正直、あれ、と思うところがあった。考え深い翔くん、そこは、気がつかないの?と思うような……。
たとえば、友人の千里をクラスメイトの悪意からかばった涼のことをかっこいいと思うこと。それはそうなんだけれど、千里の立場に立ってみれば、ほんとうにそれはいいことなのかな、と。私だったら、有難迷惑だな、と。
主人公たちは完璧ではないのだ。でも、完璧じゃないからいいのだ。
あちこちに、自分だったらどうするだろう、どう思うだろう、と考えるよすががたくさんある。


夏に始まった物語は、秋、冬、春と続き、やがてまた夏を迎える。わかったのは、過ぎ去ったはずの一年前の夏が、ほんとうに去ってしまったわけではなかったということ。
そのことをしみじみと確認しながら、物語を読み終えられたことがうれしかった。
……また会いたいな。


かげろうのむこうで:翔の四季 夏
黒と白のあいだで:翔の四季 秋
こえてくる者たち:翔の四季 冬
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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1742 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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