ぱせりさん
レビュアー:
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ほんの少し怖い話、あやしい話、不思議な話を。夏だから。
すごく怖い話は苦手だけれど、ほんの少し怖い話、あやしい話、不思議な話は読む。夏だから。
これは、ホラーの内にはいるのかな。児童書なので、いろいろな意味でどぎつい場面がないのがありがたいし、一作ごとに、良いものを読んだよね、とふりかえれるのがうれしい。
『ピアノ』放課後の、誰もいないはずの空き教室から、たどたどしいピアノの音が聞こえてくる。
『霧の町』濃霧の公園で、少年が霧の中に蹴り出したサッカーボールはどうなったか。
『猫谷』は、カーナビで見つけた温泉を訪ねる。朝出発して。いくらも経っていないはずなのに、いつのまにか夜。
『月の音』月から聞こえる小さな音を聞く。月を柄杓ですくい取る。
『魚玉』うそつきとほらふきは、違う。
『魔女の家』魔女の家、と呼ばれるその庭に、飛ばしてしまった靴を回収しにいく。
『よらず池』近づいてはいけないという池に釣りに行った少年たちが、そこで古い鍵をみつけることで、誰もが知っているあの昔話の扉を開いてしまう。
『藤棚』約束を守る、ということ。
八つの物語の読後感が、全部ちがっているのもおもしろい。
この世に住むわたしたちと別の世に住む何者かが、思いがけず出会ってしまうときに、何かしら、起こる。
そもそも、あちらとこちらでは、世の中(?)の在り方もルールも違っているから、ほんのすれ違い程度でも、特に相手を傷つけようなんて気持ちがなくても、その出会いは忘れられないのだ。
いやいや、そもそも、あちらとこちらの境界なんてないのかもしれない。気がつかないだけで(気がつかないふりをしているだけで)色々なものが、わかち難く混ざり合ったこの世なのかもしれない。
出会うはずがない、小さな出会いがあった。
事情があり、出会うべくして出会ったのだ、と後から気がついたとき、人知れずぞっとしたり、得難い出会いを心に留めたり、取り返しのつかないことをした後悔を噛みしめたり、あれはほんとうにあったことなのか、と訝しみながら、しみじみと振り返ったりする。
ちょっとだけ怖い話もあるけれど、余韻を何度も反芻したくなるような、ふしぎ譚なのだ。
これは、ホラーの内にはいるのかな。児童書なので、いろいろな意味でどぎつい場面がないのがありがたいし、一作ごとに、良いものを読んだよね、とふりかえれるのがうれしい。
『ピアノ』放課後の、誰もいないはずの空き教室から、たどたどしいピアノの音が聞こえてくる。
『霧の町』濃霧の公園で、少年が霧の中に蹴り出したサッカーボールはどうなったか。
『猫谷』は、カーナビで見つけた温泉を訪ねる。朝出発して。いくらも経っていないはずなのに、いつのまにか夜。
『月の音』月から聞こえる小さな音を聞く。月を柄杓ですくい取る。
『魚玉』うそつきとほらふきは、違う。
『魔女の家』魔女の家、と呼ばれるその庭に、飛ばしてしまった靴を回収しにいく。
『よらず池』近づいてはいけないという池に釣りに行った少年たちが、そこで古い鍵をみつけることで、誰もが知っているあの昔話の扉を開いてしまう。
『藤棚』約束を守る、ということ。
八つの物語の読後感が、全部ちがっているのもおもしろい。
この世に住むわたしたちと別の世に住む何者かが、思いがけず出会ってしまうときに、何かしら、起こる。
そもそも、あちらとこちらでは、世の中(?)の在り方もルールも違っているから、ほんのすれ違い程度でも、特に相手を傷つけようなんて気持ちがなくても、その出会いは忘れられないのだ。
いやいや、そもそも、あちらとこちらの境界なんてないのかもしれない。気がつかないだけで(気がつかないふりをしているだけで)色々なものが、わかち難く混ざり合ったこの世なのかもしれない。
出会うはずがない、小さな出会いがあった。
事情があり、出会うべくして出会ったのだ、と後から気がついたとき、人知れずぞっとしたり、得難い出会いを心に留めたり、取り返しのつかないことをした後悔を噛みしめたり、あれはほんとうにあったことなのか、と訝しみながら、しみじみと振り返ったりする。
ちょっとだけ怖い話もあるけれど、余韻を何度も反芻したくなるような、ふしぎ譚なのだ。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
この書評へのコメント
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- 出版社:小学館
- ページ数:0
- ISBN:9784092893245
- 発売日:2023年04月12日
- 価格:1320円
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