morimoriさん
レビュアー:
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家康が戦場にも同行させたという側室阿茶は、その智恵で戦国時代を生き抜いた。
 桶狭間の戦いで今川義元が討ち死にしたという知らせを阿茶(須和)の父飯田直政が、今川家家臣神尾忠重から聞くところから小説「阿茶」は始まる。直正は武田信玄の家臣であったが信玄の姉が今川義元に嫁いだ後、忠重の父と直政は取次役をつとめており誼を深めていた。氏直では義元の跡目が務まらないと忠重は武田家に仕官した。義元の死後、今川家は衰退の一途をたどり武田家との関係も敵同士となった。武田家の御家事情の説明に加え、須和と忠重が祝言をあげ仲睦まじい夫婦となったまでは良かったのだがその後、忠重は病のため命を落とす。
阿茶のことは家康の側室という認識だった。夫が戦で命を落としたのかと思っていたのだが違ったようだ。夫の遺言通り、息子を徳川に仕官させるつもりで、成人するまでは家康の侍女として仕えるつもりだった。「どうする家康」では、於愛亡き後に登場したと思ったが、この作品では於愛と阿茶の交流も綴られていた。笑顔を絶やすことなくホンワカとした空気を持つ於愛を慕う阿茶の気持ちは、この作品を読んでいると理解できる。
秀吉が禁教令を出した訳や、家康は心の内ではキリシタンを厳しく取り締まろうとは思わなかったこと。阿茶がキリスト教に傾倒しており高山右近から話を聞いたり、細川ガラシャについての描写もあったのが興味深かった。また、嫡男信康亡き後次男の秀康ではなく、三男秀忠に徳川家を継がせたことにも記述が及んでいて読み手も納得させられる。於愛亡き後、阿茶が秀忠を我が子同然に支える様子も於愛との関係の結果と思えるが、関ケ原の戦いで秀忠が遅れをとった時、家康をとりなしたのは阿茶だけではなかったはず。徳川四天王のひとり、榊原康秀がとりなしたことで家康の怒りが収まったことで、秀忠は康秀に対する恩を榊原家末代まで忘れることはないと宣ったはずだ。そのことに触れられていなかったのが少し残念だった。
政略結婚が戦国時代の常と思っていたが、阿茶は慕っていた忠重と結婚しさらに家康の側室になった後は、戦略会議で意見を言う立場にあったこと、実際に戦場にも同行したことそして、淀君との交渉役を務めたことを考えるとその智恵、勇気、行動力に驚かされた。「女は口出しするでない」と言うことなく阿茶の言葉に耳を傾けていた家康の様子にも好感が持てたがそれだけ、阿茶の言うことは的を得ており、男性以上の知恵を持ち得ていたのだと思った。
阿茶のことは家康の側室という認識だった。夫が戦で命を落としたのかと思っていたのだが違ったようだ。夫の遺言通り、息子を徳川に仕官させるつもりで、成人するまでは家康の侍女として仕えるつもりだった。「どうする家康」では、於愛亡き後に登場したと思ったが、この作品では於愛と阿茶の交流も綴られていた。笑顔を絶やすことなくホンワカとした空気を持つ於愛を慕う阿茶の気持ちは、この作品を読んでいると理解できる。
秀吉が禁教令を出した訳や、家康は心の内ではキリシタンを厳しく取り締まろうとは思わなかったこと。阿茶がキリスト教に傾倒しており高山右近から話を聞いたり、細川ガラシャについての描写もあったのが興味深かった。また、嫡男信康亡き後次男の秀康ではなく、三男秀忠に徳川家を継がせたことにも記述が及んでいて読み手も納得させられる。於愛亡き後、阿茶が秀忠を我が子同然に支える様子も於愛との関係の結果と思えるが、関ケ原の戦いで秀忠が遅れをとった時、家康をとりなしたのは阿茶だけではなかったはず。徳川四天王のひとり、榊原康秀がとりなしたことで家康の怒りが収まったことで、秀忠は康秀に対する恩を榊原家末代まで忘れることはないと宣ったはずだ。そのことに触れられていなかったのが少し残念だった。
政略結婚が戦国時代の常と思っていたが、阿茶は慕っていた忠重と結婚しさらに家康の側室になった後は、戦略会議で意見を言う立場にあったこと、実際に戦場にも同行したことそして、淀君との交渉役を務めたことを考えるとその智恵、勇気、行動力に驚かされた。「女は口出しするでない」と言うことなく阿茶の言葉に耳を傾けていた家康の様子にも好感が持てたがそれだけ、阿茶の言うことは的を得ており、男性以上の知恵を持ち得ていたのだと思った。
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多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。
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- 出版社:幻冬舎
- ページ数:0
- ISBN:9784344433458
- 発売日:2023年12月07日
- 価格:935円
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