書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

たけぞう
レビュアー:
光る君へ。大河ドラマの視聴者にお薦めです。
いやあ、光る君へ、終わっちゃいましたね。近年でこれほど週末が待ち遠しかった大河ドラマは思い当たらないです。ドラマは藤式部(=紫式部)の日々が描かれていて、最初はなぜ源氏物語をドラマ化しなかったのかと思ったのですが、いまになって製作陣の素晴らしさをかみしめています。源氏物語の書かれた背景を知ることは、当時の政治と文化を知ることであり、人々の営みが魅力的に伝わりました。

以前、ショートカット先:「源氏物語 ビギナーズ・クラシックス 」を読み、あらすじから源氏物語の魅力を伝えてもらいました。次に大河ドラマで平安貴族文化と政治を楽しみました。そして、この本にたどり着きました。

著者が古典世界を愛していることが伝わり、読んでいて気持ちの上がる一冊でした。有名なキャラクターの夕顔・朧月夜・明石の君・玉鬘・紫の上といった女性陣、夕霧・薫・匂宮の男性陣。ベースに著者の愛情があるので、肩入れ感があるのも楽しいですね。光源氏や頭中将、六条御息所のような大物のエピソードが控えめなのは、意識してのことでしょう。

題名の通り、三十章に分けて整理しています。源氏物語の五十四帖のうちから、光源氏の青年期、老後、死後のパートで大きく分け、特徴別に中分類でまとめて紹介していくスタイルです。

一番役に立った情報は、物語の世界観と当時の時代背景の結び付けですね。著者が古典研究者というよさが存分に発揮されています。こういうことは、知る機会がなかなかないので、嬉しく思いました。

源氏物語の執筆は1001年~1006年頃です。舞台は、宇多天皇、醍醐天皇、朱雀天皇のいた当時50~100年前です。醍醐天皇を桐壷天皇に名前を変えて書いています。宇多天皇は、臣籍降下といって、皇族から源氏になった人です。その後、理由あって皇族に復帰して天皇になった唯一の人であり、光源氏のモデルになった部分があるようです。

しかし、なのです。光る君へのドラマ中で、一条天皇が「これはわたしへの当てつけか」みたいなことを言っていた通り、当時の天皇関係の皇族・貴族関係のエピソードをいろいろと挟み込んでいて、50~100年前の物語ですよとしておきながら、書かれた当時の人たちを連想させるドキドキの物語だったようなのです。

ここが、大河ドラマを見たあとで一番興奮してしまうところなのですね。読んでいて、定子さま(高畑充希)や、彰子さま(見上愛)、見上愛に甘える東宮の敦康親王の場面がしょっちゅう浮かんできました。

源氏物語の読みどころを整理してあります。著者の好みが色濃く反映されているのも一興でしょう。ファンブックみたいで面白いです。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

参考になる:26票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『30日de源氏物語』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ