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ぱせりさん
ぱせり
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無口な灯台守と若者の話。
大西洋ウェスタンアプローチ海域を航行していた四本マストのスクーナー船ペリカン号が、大嵐で座礁したとき、一部始終を見ていたパフィン島の灯台守ベンジャミン・ポルストウェイトは、ひとりで、乗員乗客合わせて30人全員を救助したのだった。
乗客の中には五歳の「ぼく」もいる。
無口な灯台守のことを忘れられない「ぼく」は、その後何度も手紙を書くが、返事は一度も返ってこなかった。それには理由があったのだけれど。
「ぼく」は、学校を卒業した年に、思い切って、ひとりでパフィン島へベンジャミンを訪ねていくことにする。


他に人のいない世界は、周囲の雑音を消して、本当に必要なものだけが残っていくようだ。
互いに相手を慕い、必要としながら、相手を束縛しない。
老人と若者の交流は温かいだけ、心地よいだけ、ではなかった。


あいだに、戦争が入る。第二次世界大戦だ。
「最後には我々が勝ったと、だれもがいいました。
でも、ぼくにはわかりません。
 戦争に勝ち負けなど、あるでしょうか?」
という言葉が心に残っている。


作者による「あとがき」には、この物語をアラン・ウィリアム・レインに捧げると書かれている。
アラン・ウィリアム・レインは、「ペンギン・ブックス」の創始者だそうだが、特筆すべきは、その児童版として「パフィン・ブックス」を創始したことだ。これまでにたくさんの児童書を出版してきたそうだ。
「かれこそが、ほんとうのパフィンマン(パフィン守)です」と書かれている。
物語のなかの、沢山のパフィンたちが、違う姿に見えてくる。
本が鳥のすがたになって、子どもたちの手許へと次々に飛んでいきますように。
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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1742 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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この書評へのコメント

  1. 星落秋風五丈原2024-12-10 13:41

    ぱせりさんみなさんこんにちは。やはりモーパーゴ作品は戦争を扱ったものが多いですね。

  2. ぱせり2024-12-11 10:00

    星落さんこんにちは。ほんとですね。それも物語ごとに、それぞれ違う方向から、戦争の残酷さをいろいろな方面から説いているように感じますね。だけど、辛いだけではなく、ちゃんと希望のありかも教えてくれるのがありがたいですね。良い本でしたね。

  3. No Image

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