たけぞうさん
レビュアー:
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全世界で六百万部突破のスーパーヒット作。
題名と書誌情報でぴんときて手に取ったのですが、大当たりでしたね。訳者あとがきによると、全世界で六百万部を突破したモンスター級のヒット作と知りました。しかも百回近くも持ち込みを続け、直しに直してデビューできた作品という充分なエピソードがあります。そういえば、ハリーポッターもデビューの立ち位置は似たような感じでしたね。日本とは出版事情がかなり違うみたいです。わたしは日本のベストセラーとはあまり相性がよくないのですが、海外のベストセラーの本著はがっつりはまりましたよ。
舞台は1960年から1970年代のアメリカです。読み始めると、すぐにえげつないジェンダー問題に当たりました。訳者あとがきによると、著者は1957年生まれなので、ご自身もいろいろな経験をされたのでしょう。女性への教育差別、就職差別はもちろんのこと、女性の意見に対する気違いじみたパワハラや、言うことを聞かないとみるやチ〇コを出したりレイプしたりなど、サル以下の男たちが登場するのです。すさまじいハラスメント、精神暴力のてんこ盛りですが、文体がいいのでするりと読み進められるんですね。負の部分は、恨みみたいな煽りをいれずに不条理を淡々と捉えています。その一方で、正の部分は読者をうまく乗せていってくれるので、読んでいて気持ちが上がります。この作品の魅力の一つです。
エリザベス・ゾットは化学者です。南カルフォルニアの町コモンズで、ヘイスティングス研究所の研究員として働いています。しかし研究員といっても地位は低く、いつも足を引っ張られてばかりです。あるとき、研究所のエースのキャルヴィン・エヴァンスと備品の取り合いをしました。それがきっかけで知り合いとなり、事態は急展開していきます。もっとも重要なことは、キャルヴィンだけが研究所でエリザベスを化学者として扱ってくれたただ一人ということなのでした。
マデリン、犬のシックスサーティ、お手伝い役を買ってくれたご近所のハリエット、TV局のウォルター・パイン、ウェイクリー牧師。つい名前を書き留めたくなりような、愛すべき登場人物たちです。
書誌情報では、化学者なのになぜか料理番組で料理を作るタレントを務める話とあります。話のあらすじはそうなのですが、大事なことは、多くの偏見や社会的不平等に立ち向かう人たちへの応援歌という物語のテーマです。読者の気持ちは、負けるなエリザベスと一致団結で奮い立たされます。見守り役の犬のシックスサーティに近い気持ちです。
この素晴らしい物語が、多くの人のこころに届くことを願っています。五十年くらい前のアメリカが舞台で、きっといまはいろいろ改善されていることでしょう。そして日本のジェンダーギャップ指数が世界的に最下位クラスという現実を、この本を読みながらかみしめることになります。
日本が先進国だと思っている人は、まだ高齢者や国の意思決定者には多そうなので、なかなか改善されないのでしょうね。この物語を読んで、思うところがたくさんありました。小説なので演出が強めとはいえ、現代の日本はこの小説の状態にわりと近いように思います。情けないことに。
舞台は1960年から1970年代のアメリカです。読み始めると、すぐにえげつないジェンダー問題に当たりました。訳者あとがきによると、著者は1957年生まれなので、ご自身もいろいろな経験をされたのでしょう。女性への教育差別、就職差別はもちろんのこと、女性の意見に対する気違いじみたパワハラや、言うことを聞かないとみるやチ〇コを出したりレイプしたりなど、サル以下の男たちが登場するのです。すさまじいハラスメント、精神暴力のてんこ盛りですが、文体がいいのでするりと読み進められるんですね。負の部分は、恨みみたいな煽りをいれずに不条理を淡々と捉えています。その一方で、正の部分は読者をうまく乗せていってくれるので、読んでいて気持ちが上がります。この作品の魅力の一つです。
エリザベス・ゾットは化学者です。南カルフォルニアの町コモンズで、ヘイスティングス研究所の研究員として働いています。しかし研究員といっても地位は低く、いつも足を引っ張られてばかりです。あるとき、研究所のエースのキャルヴィン・エヴァンスと備品の取り合いをしました。それがきっかけで知り合いとなり、事態は急展開していきます。もっとも重要なことは、キャルヴィンだけが研究所でエリザベスを化学者として扱ってくれたただ一人ということなのでした。
マデリン、犬のシックスサーティ、お手伝い役を買ってくれたご近所のハリエット、TV局のウォルター・パイン、ウェイクリー牧師。つい名前を書き留めたくなりような、愛すべき登場人物たちです。
書誌情報では、化学者なのになぜか料理番組で料理を作るタレントを務める話とあります。話のあらすじはそうなのですが、大事なことは、多くの偏見や社会的不平等に立ち向かう人たちへの応援歌という物語のテーマです。読者の気持ちは、負けるなエリザベスと一致団結で奮い立たされます。見守り役の犬のシックスサーティに近い気持ちです。
この素晴らしい物語が、多くの人のこころに届くことを願っています。五十年くらい前のアメリカが舞台で、きっといまはいろいろ改善されていることでしょう。そして日本のジェンダーギャップ指数が世界的に最下位クラスという現実を、この本を読みながらかみしめることになります。
日本が先進国だと思っている人は、まだ高齢者や国の意思決定者には多そうなので、なかなか改善されないのでしょうね。この物語を読んで、思うところがたくさんありました。小説なので演出が強めとはいえ、現代の日本はこの小説の状態にわりと近いように思います。情けないことに。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:0
- ISBN:9784163917979
- 発売日:2024年01月16日
- 価格:2750円
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